盛岡食いしん爺日記
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西和賀小旅。
雫石町から山伏トンネルを抜けると西和賀沢内。
数分で利久庵の美味しい蕎麦。
その後、細長い盆地をゆっくり南へ走る。
樹々は色々な花を咲かせていた。
やはり一気に春が来た様だ。
きときと - 四本足の踊り · Masakatsu Takagi
県道から外れ安ケ沢のカタクリの群生地へ。
入口付近にある小さな池の水芭蕉。
一つ花を見つけたが後は葉が大きく空に伸びていた。
強くなった陽射しを受け群生地の下草は伸び、
カタクリの姿はちらほら。
かろうじて薄紫の妖精に会えた。
雪融けと共に大地に積もった枯葉の中から、
真っ先にカタクリが顔を出す。
ところが、後に続く草木が一気に伸びてしまい、
隠れる様に所々に咲いていた。
やはり今年は猛スピードで春が来たのだ。
県道に戻り、南の湯田方面へ。
湯元温泉の道へ曲がる。
西和賀は沢内村と湯田町が合併した。
湯元温泉の辺りは湯田町。
目的はお菓子処「たかはし」さん。
店にはお客さんが目当ての西わらび餅を待っていた。
店の隣に清水がある。
「千葉さん、新製品が出来ました。」
店の御主人も奥さんも変わらず元気だ。
西和賀特産の本わらびから作る希少なわらび粉。
これをたっぷり使う西わらび餅。
新しく「雪わらび餅」が登場。
ちょっと味見させてもらった。
湯田のミルクが入り、本当に雪の様に溶けていく。
ココナッツパウダーのほんのりとした甘味。
「美味しい~」
と言うと、
奥さんが「和菓子を越えたお菓子です。」
なるほど。
早速、買い込んだ。
「この後は、ネビラキさんですか?」
「はい」
忙しそうなのでまた寄ることにして退散。
湯田に向かう途中、焼地台の入口でひと休み。
ここから水没林が見える。
和賀川の流れは、錦秋湖が近くなりゆっくりになる。
緑の葉を湛えた樹々が水没している。
西和賀沢内の細長い盆地も終わると湯田。
ほっと湯田駅近くの「ネビラキカフェ」へ。
「ネビラキ」とは、
雪国に春が近づき樹々の根元の周りから雪が解けだし、
丸く土が見えてくる現象のこと。
2020年7月にオープン。
年を追うごとに進化し、
今では近くにネビラキインという宿も造った。
ネビラキが産声を上げた頃から、
西和賀に変化が起き出したと思う。
B&Bカタスミの存在を知り、
木工のノッカ、藁の上や肉の加工の佐々さんを訪ねた。
最近ではカタカゴ・ヒルズカフェ、焼地台の111カフェなども始まった。
西和賀には古くから来ていたが、
通るだけの様なもので2020年の夏が本当の始まりと言っていいだろう。
ネビラキの存在を花巻のデザイナーさんから聞いて訪れた。
そして、オーナー夫婦から西和賀を教えてもらった。
B&Bカタスミのご夫婦と知り合い、
スノーシューも体験し、西和賀の自然の奥深さを知った。
ひょんな事からお菓子処たかはしさんの奥さんと知り合い、
西わらび餅を味わったり、雪の世界を聞いた。
まだ泊ったことはないが、四季を通じて訪れたい土地になった。
暮らす人々との繋がりから、訪れる度に新たな人や光景を知る。
勿論、美味しい物も。
ネビラキのオーナー夫妻も元気そうだった。
「定点観測に来ました。」
「ゆっくりして行って下さい。」
一言二言話してテラス席へ。
視界いっぱいに蒼い湖と空。
そよ風が吹くたび湖面の表情が変わる。
静かだ。
時の流れがゆっくりになる。
西和賀の錦秋湖畔の「ネビラキカフェ」で湖の絶景を目の前にアイスコーヒーとベーグル。
ネビラキカフェは地元の魅力の発信地。
ベーグルはカタスミ。
店のあちこちに山のうえアイアンの鉄製品。
テラスの木工の柱などの基礎はノッカ。
お菓子処たかはしのフィナンシェも。
もちもちの美味しいベーグルとアイスコーヒー。
美味しいチョイスと自己満足。
時間を忘れ、呼吸も静かにゆっくり。
人間にとって大切な時間の様に思う。
太陽は西の山並みに近くなってきた。
そろそろ帰らねば。
立ち上がった。
もう一つ見たい光景がある。
ご夫婦に挨拶してネビラキカフェを後にした。
北上と横手を結ぶ国道を錦秋湖沿いに少し東へ。
錦秋湖に架かる仮橋が見えてきた。
山が土砂崩れで塞がり、
トンネルが完成するまで、この仮橋で湖を渡って迂回した。
その仮橋も役目を終えてなくなる。
その前に目に見ておきたかった。
そして、水没林。
夕陽を浴びてますます神秘的な光景だ。
水没林を見ていて、ふと思い出した。
西和賀の南にある湯川温泉に親戚と泊まった時、
帰り道で父が薄紫の妖精を指差し教えてくれた。
母が病に伏せる前、
錦秋湖の紅葉は一度は見ておきなさいと真剣な顔で言っていた。
西和賀ゆかりの人が語っていた。
「錦秋湖の紅葉は一日だけだ」と。
自分一人の力で人との縁を繋げてきたつもりでいたが、
色々な人から聞いたことが心の奥に潜んでいたのかもしれない。
その日の帰り道のハンドルを握る顔は穏やかだったと思う。
家に帰り、珈琲を淹れては想いに耽っていた。
あっ、しまった!
気がつくと、写真を撮る前に雪わらび餅がなくなっていた。
喉にほんのりと、優しい甘味だけが残っていた。



































