盛岡食いしん爺日記
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夕方に盛岡から花巻へ向かった。
国道4号線を南下。
盛岡と花巻を幾たび行き来したことだろう。
花巻の街はずれに親戚がいて毎年訪れた。
後は温泉に何度か。
街を歩いた記憶は殆どなかった。
私は、岩手の南、宮城県境の一関で生まれ育った。
中学2年になってすぐ、今の八幡平市安代町へ。
岩手の南から北へ。
その後、まさか花巻の高校へ入るとは思ってみなかった。
今も実家は花巻にあり、年に何度も同級生達と会う。
途中、国道沿いにあるМINARI(ミナリ)COFFEEに寄った。
2022年に開店し、何度も通っていたが、
先月、初めて訪れたばかり。
すっかりファンになってしまった。
閉店前に滑り込んだ。
辺りに迫る夕暮れを背景にオレンジの明りが灯るミナリ。
The Boxer · Simon & Garfunkel
国道4号線沿い、田園風景の中にあり、
すぐ東の方に岩手で唯一のいわて花巻空港がある。
丁度、飛び立つ飛行機が茜色に染まって見えた。
そう言えば、
しばらく乗っていないし、それどころか新幹線にもご無沙汰だ。
あの空港から関西空港に飛び、
奈良と伊勢を巡ったのはもう何年前だろう。
さて、閉店まで間もない。
急いで珈琲を買おう。
このビンテージもののエスプレッソマシンが気になる。
今度は、エスプレッソを飲んでみたい。
閉店間際でも店の素敵な二人は、丁寧に接してくれる。
先月来たことを覚えていてくれた。
一緒の人と珈琲とスイーツを買った。
「毎日飲みたくなる珈琲」を目指した中深煎りブレンド。
毎日というより、日に2、3杯は飲みたくなる。
とてもいい香りで、雑味なく喉越しがいい。
ミナリのスイーツとよく合う。
「閉める間際にすいませんでした」と言うと、
軽く首を横に振りながら微笑む。
「これから花巻祭りです」
そう言ってミナリを後にした。
花巻に向かうと、
陽は西の奥羽山脈に沈み、刻々と茜色が変わる。
暗くなり始めた空が、一瞬青味を増し、
明度も彩度も落ちていく。
「あのさ、どうしてミナリなんだろう?」
と助手席の人が言う。
二人の名前からとったらしいと答えた。
「МINARIだから、なんだろう?りくりゅうみたいに息があってた」
確かにと思った。
花巻のまちが近づいても渋滞もない。
駅の東口の駐車場もやけに空いている。
人影もまばらだ。
例年はどこも満車で待ったりする。
「あれ、花巻まつりは来週だ!」
顔を見合わせて大笑い。
だんだん笑い声が掠れて体から力が抜けた。
空いている駐車場に車を停め、
ミナリの美味しい珈琲とスイーツに救われた。
飲んで食べているうちに、
「来週、また来ればいいんだ。同じコースで」と頷きあう。
先月、盛岡の老舗「ハレの日の陽食屋むら八」で、
令和8年8月8日の「888」に因んで半額のイベントがあった。
あの日、一日間違えて訪れた。
せっかく来たからと美味しいトンカツを食べて満足した。
「近頃、間違いが多くなったのか?」と自問自答。
珈琲を飲みながら思った。
歳を重ねたせいだけではない、
中学生の頃も忘れ物をしたり、
友達との約束の時間を間違えたりもした。
それも結構な頻度だ。
よくよく考えれば、昔より少なくなった気がする。
すぐに歳のせいと決めつけるのは止めよう。
さてさて花巻で夕飯を食べていこう。
意見が一致すると、特に何もなかった気になってきた。
そうそう、心持ち次第で失敗ではなくなる。
これも歳を重ねて得た楽しく生きる術なのかもしれない。












