お母さんと女の子、小さい家族4人のお家に男の子が仲間入りしました。


ある時、小さい家族達の様子の変化に女の子は気づきます。


優しかったはずの男の子の裏側を見た女の子は

男の子に「もう仲間でいる事は出来ない」と言いました。
男の子は謝り「もうしないから。仲間はずれは嫌だ」と言いました。

女の子は、男の子の約束を何日も何日も考えました。


けど小さな家族達を見ていると、

申し訳なさで苦しくなってしまいます。


そして約束したはずの男の子はまた同じ事をしました。

女の子は男の子と仲間でいる事に終わりを告げます。



でも、一時でも仲間になっていた事への感謝の気持ちが女の子にはありました。

だから、男の子が出ていく日には、夕食を準備しました。

男の子は作って貰ったご飯を嬉しそうに食べました。


小さな家族逹はもう、男の子から姿を隠すようになっていました。


それから女の子は外に見送りに出ました。

その間、女の子は一言も言葉を発せませんでした。

男の子は手を差し出し女の子と握手をし

仲間だった家を後にしました。


女の子は小さな家族達に(もう怖い思いをさせなくて済む)と安心しました。

女の子の身体に出来る蕁麻疹と、吐き気も男の子と一緒に出ていきました。

その夜は小さな家族達が女の子のまわりで、寛いでいました。

その姿を見た女の子は心から良かったと思いました。



小さい家族達の心に大きな傷を作った男の子を女の子は許せませんでした。

だけど、出て行って暫くの間は、何故かたまに涙が出ました。

思い出を涙に流して忘れる為だったのかもしれません。


仲間で無くなった事を後悔した訳じゃありません。

女の子は大切な大切な家族を守りたかった。

家族が傷ついてしまったのは、自分のせい。

そのせいで、女の子は小さな家族達に

大きなトラウマを刻み込ませてしまったのです。




でも、一度は仲間になった男の子。

この先、男の子が、また新しい仲間を見つけた時には、2度と同じ過ちを繰り返さない人間になっていて欲しいと女の子は願ってました。



男の子は、女の子に電話をしてきました。

「今、樹海の近くに居るんだ。最後に声が聞きたかったから」と電話は切れました。

慌てた女の子は男の子のお父さんに電話をしました。

お父さんは「自分の部屋に居るけど?」と言いました。

女の子はまた嘘をつかれました。

それきり、女の子は男の子の電話にはもう出ませんでした。



それから数年後、女の子に新たな仲間が出来ました。



その年の暮れに、女の子は家族を傷つけた男の子との仲間だった証明が必要になって、それにより男の子が亡くなっていた事を知りました。


男の子は女の子のお家から出て行った数ヶ月後に新しい仲間を見つけていました。

でも、その仲間とは2年と少しでお別れしてました。

そして、数ヶ月後に亡くなりました。


それを見た女の子は胸が真っ暗な底に落ちてしまったような感覚になりました。


女の子には何があったか知る由もありません。

想像はついても詮索するつもりはありませんでした。



その頃には小さな家族3人はお空へ旅立ち、

小さな家族はたった1人だけになっていました。



女の子は男の子が家族達にした事がずっと許せませんでした。


でも時間が過ぎ、小さな家族の寛ぐ姿を見て女の子は、ある事に気付きました。

純粋な小さな家族達には、痛い、怖い、嫌だという忘れない心はあっても、

許さないという心は持っていないんじゃないかと。。。

だって、幸せそうなアクビをして、甘えた表情で寛いでいる。



仲間だった男の子は寂しく弱い人間だったんじゃないかと思えるようになっていました。

屈折した自己顕示欲が、暴力という認識の中で

手を向ける相手が、女の子の大切な大切な小さな家族逹だった。

それは間違っている事。

女の子の1番嫌いな人間。

許せないという事に変わりはありませんでした。



ただ、過ぎ去った時間が、その気持ちを鎮めてくれているだけだと、ずっと思っていました。


でも女の子は、

許せない気持ちを持ち続けていく事は

とても難しい事なんじゃないのかと気付きます。

それは女の子が、怒りや嫌悪感を、あの時のまま保っていなかったという自分に気付いたから。


女の子は不思議でした。


過ぎ去った時間がそうさせてくれていたのだと思いました。


女の子は小さな家族を抱きしめ

過ぎ去った時間に感謝をしました。



なぜなら、持っていたはずの怒りや嫌悪感をずっと持ち続ける事なくいられたからです。


そして、一度は仲間になった男の子に離れた所から手を合わせました。



ありがとう。

どうか安らかに。






女の子は、弾んで散歩してる小さな背中を見ながら

時の流れを感じずにはいられなかった。