8年前の今日、旅立った猫の話。

13年前の、この地域のボス猫は身体も大きくて、目つきが鋭かった。
時々庭先を通るその猫はボス猫らしく、ゆっくり、のっそのっそと肩を揺らして歩いてた。
ご飯は食べても居着かなかった。
1度だけ子猫を連れてきて、ご飯を一緒に食べて帰った事がある。
そのボス猫が怪我をした時だけ身体を休めていくようになった。1日、2日過ぎるとまた消える。

後部に傷のある猫は喧嘩に負けてしまい逃げた時につけられた傷である事が多い。
前部に傷のある猫は立ち向かって闘ってる証と聞いた事がある。
ボス猫は顔と前両脚の肘にいつも怪我を負っていた。
治りかけてはまた傷。の上塗り状態で皮が裂け肉が見えていた。
頭を撫でながら(そろそろ世代交代した方がいいんじゃない?)と呟いたけど、そうはいかない猫社会だったのかもしれない。

ある日、休息用にと用意してあるダンボールの家から見えた前脚は骨が見えてた。
もう、放っておけなくて病院へ連れて行った。
縫えるだけの皮膚が無かったから注射と飲み薬、塗り薬で皮膚と肉が再生するのを待つしかなかった。
翌日に去勢をするので、その日は病院で預かってくれた。

術後迎えに行き、そのまま家へ入れた。
薬を塗るのも包帯を巻くのも大人しくていい子だった。
でも外へ出たいのだろう、ワーォンワーォン夜になると鳴いていた。

脚の傷はまだ治ってなかったが、可哀想なので夜はリードをつけてボス猫の行く方へ散歩に出るようになった。
リードを嫌がるかなと思ったけど、そんな事よりも、とにかく縄張りへ行く事に夢中だったのか、すんなり散歩に行けた。
ゴンも行きたがり一緒に夜の散歩をした事もあった。


ここを通るんだぁ…あ、こっちまで縄張りなんだね…
そしてわかった事。
爪とぎする木って決まってるんだねびっくり
マーキングの場所も決まってるんだねびっくり(格好だけだけど)(その後ゴンがオシッコしてたけど)
休憩する場所が、この石の上だったなんてびっくり
ちょっと小高くなっててイイ感じ。
そこへ座って周りを見渡し空を見上げたボス猫

名前はソラオ。

ゴンと私はソラオが歩き出すまで暫く待っている。
そんな日課は傷が治るまで続いた。