読了。

 図書館をふらふらしていて、内田洋子氏の著作が目に入った。

メラメラと数冊手にとって貸し出しカウンターに。

 

 内田洋子氏は、コロナ禍でのイタリアの若者たちの日々の記録を紹介する『デカメロン2020』という連載を方丈社のウェブサイトで発表していらしたようだ。

 

 方丈社のサイトによると、連載は8月18日に終了しており、クラウドファンディングで書籍化を目指しているらしい。

 

 そして、現在、方丈社のサイトでは、『デカメロン2020を待ちながら』というタイトルの内田洋子氏の連載エッセイ全10回が掲載されており、最終回が8月24日に公表されたところだった。

 こちらも後日じっくりと読みたいと思う。

 

 本書は、2017年2月に発行されたエッセイ。

 内田氏のミラノでの生活を綴っている。

 

ボローニャの吐息 (著)内田洋子

 

 ご近所の中学生・ラウラから散歩に誘われたエッセイにこうあった。(以下、太字は本書からの引用)。

 

千年前、数百年前の遺物が、手の届くところに散在している。囲いで仕切られているわけでもない。毎日の登下校の道がそのまま古代ローマへの道であり、ルネサンスの残り香が漂う広場でボールを蹴っているのである。(中略)異国人の私が今さら何をどう読み聴きしても、彼らの血の中に流れる美意識に敵うはずもない。

 

 かつて訪れて実際に見た、そして、雑誌のグラビアやテレビ、インターネットで目にするイタリアの町並み。イタリアのみならず、ヨーロッパ全体にも言えることだなと思った。

 なるほど。なるほど。こういう背景のもと、美意識や価値観が作られていくわけだ。

 

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 著者がふらりと入ったバールは、客がおらず「開店休業」状態。話してみると、本当に廃業するらしい。そこで著者が食べた食事は、

 

「ブーリア州から直送の手作り」パスタを「固めに塩茹で」し、「黄色にも緑色にも見えるオリーブオイル」を振りかけ、「熟成チーズの塊」を削り、「赤ピーマンの天日干し」を擦り合わせて落としたもの。

 

 食べると、パスタは「香ばしい焼きたてパンのような味わい」がして、「干したピーマンの酸味少々」が小麦粉の甘い味を引き立て・・・「目の前に夏の麦畑が広がった」とのこと。

 

 おおお。こういうの食べてみたい。

 

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 近所の中学生ラウラとブレラ美術館を訪れ、フランチェスコ・アイエツの『接吻』を鑑賞する。

 

 著者が「きっと何かメッセージが隠されているに違いない」というと、ラウラが「ああ、トリコロールのこと?」とさらりと受ける。

 この後、ラウラによる『接吻』の解説が始まる。イタリアの中学生、深い学習をしていらっしゃる・・・。

 

 読んでいて、この『接吻』どこかで見たような・・・ブレラ美術館には行ったことがないような気がするが・・・とゴソゴソと「絵はがきファイル」を探すと、出てきてビックリ。

 

 

これである。政治的なメッセージが含まれているらしい。全くそういうことを思いつかなった気がする。

 

 別のエッセイには、『エステルハージの聖母』の盗難事件が紹介されており、ほう・・・こういうことが・・・。

 

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 ヴェネツィアの仮面工房では、「鳥のくちばしを思わせる、先の尖った長い鼻をこちらに向けている白い仮面」に出合う。これも興味深かった。

 

 ペスト大流行時に、当時の医師や聖職者がこの長い鼻の仮面を着けながら、距離を取り、看護などをしたということである。うむ・・。現在と重なる。