読了。

本書は、「マヌサーリー」同様、「BRUTUS 2016年1/1・15合併号」に紹介されていたもの。

 

 

著者のリシャルト・カプシチンスキは、ポーランドのジャーナリストで、「取材の対象に偏見を持たず、差異を受け入れ、ジャッジをしない」と紹介されていた。

又、「これ、読まないと人間に生まれてきた意味がないです」と大絶賛であった。

 

黒檀 (著)カプシチンスキ (訳)工藤幸雄/阿部優子/武井摩利

 

 

訳者である阿部優子氏が「解説」で、

カプシチンスキの特派員時代(1958~72年)は、「危険を顧みない体当たりの(ほとんど無茶と言ってよいほどの)取材ぶり」で、その無茶ぶりについては、

 

「生涯、銃撃されること4度、銃弾飛び交う前線に立つこと12回、革命、クーデターの目撃証人となること27回、ウガンダで脳性マラリアに罹り・・・(中略)驚愕の伝説は幾つもある」と述べている。

 

本書にもクーデターの現場、脳性マラリアの治療、砂漠で車が故障しあわや・・・などドキドキする出来事がたくさん書かれてあり、著者の「無茶ぶり」が非常によく分かる。

 

私がかなり惹きつけられたのは、著者が1967年にナイジェリア、ラゴス市で地元の一般市民が住むエリアに住まいを借りたエピソードである。

 

ラゴス市には、ナイジェリア人富裕層やヨーロッパ人、外交官などの住む、厳重に警備されたデラックスな地区があったようだが、

著者は「あまりにも人工的、排他的だ。ぼくとしては、アフリカの都市、アフリカの通り、アフリカの家に住みたい。そうでなしに、この街が分かるか、この大陸が判るようになれるか?」と色々手を尽くして、横丁にある倉庫の2楷をイタリア人から借りた。

 

停電にあったり、空き巣に数多く遭遇したようだ。

 

ある日、著者の住む部屋の大家であるイタリア人に夜警として雇われていたスレイマンという名の男性が訪れる。

数回会い、良い関係になり、空き巣について話したところ、

 

空き巣は、ごく自然なことだそうで、

「盗みは、確かに嫌なものだが不平等を均す役割も果たす。物を盗まれるというのは結構なことであり、盗む側からすれば、友情の表明なのだ。つまり、あなたは彼ら盗人の役に立っているのであって、それゆえに、あなたは受け入れられる」と言われる。

 

そして、警察に通告しないようにと言う。

 

その一週間後に、スレイマンが訪れ、お守り、魔除けなどが売られているマーケットに案内され、「雄鶏の白い羽の一束」を買うように薦められる。

スレイマンは購入した羽根を著者の住まいの戸口の上に結びつける。

 

その後、著者が空き巣に会うことはなかったようだ。

 

この出来事は、今から50年前。

現在のナイジェリアにもお守りや魔除けのマーケットがあるのだろうか。

著者とスレイマンという元夜警との関わり、そして、スレイマンの話す内容など、ああ、これがアフリカなのかなと感じられた。