=第14話「ありがとうメル」=
1匹目の子猫の頭が見えてきて、しばらくするとほぼ出てきたのですが、子猫の反応が弱い。
メルが顔を舐めてくれれば良いのですが、なかなか舐めてくれません。出てきた瞬間は呼吸もしていたのですが、しばらく動かない様子。僕とYuさんは戸惑いました。お医者様からは、出産に人間が関与しすぎると、育児放棄をする猫もいると聞かされていたからです。そのため、できるだけ手をかけないようにしていました。なかなか動かない子猫を前によくない想像すらしてしまいました。
「ひょっとしたらダメかもしれない」
その時、メルが奥の方に動いてくのにつれて、出てきた子猫も引っ張られていきました。やはりまだ出きっていなかったのです。さすがにこのままでは圧死の危険性がある。Yuさんは意を決して、子猫を引っ張り出しました。なんとか子猫を取り出して、メルの目の前に置いてあげました。出てきた子猫はちゃんと息をしているようでした。そして、すぐにメルが子猫を舐め始めました。
すると、子猫が元気に動き始めたではありませんか。
僕とYuさんの目からは涙がこぼれました。
よかった。。。ただそれだけでした。
メルは一生懸命、子猫を舐めてあげていました。
そして、しばらくして、メルがまたいきみ始めました。2匹目の出産です。
今度は1匹目よりはスルッと出てきたのですが、やはり少し引っかかっていたようなので、最後だけ手伝ってあげました。
メルは2匹目も丁寧に舐めて、へその緒も食べてあげていました。
そして3匹目も無事に誕生。
ようやく、長い戦いが終わりました。
僕とYuさんはただひたすら、生命の誕生に感動していました。
ぐれおじさん、ゆき姐、ティオも、大人しく見守ってくれていました。
僕はティオに、
「パパになったね」
そう声をかけてあげました。
そして、何より、
メル、ありがとう。本当によく頑張ったね。
第14話 完

