退任後はどうなるかは未定だそうです。ただ、日経新聞には、「商品の良さを伝え、商品で人を幸せにしたいという初心を追いかける。100年、200年続く企業を残せるよう貢献したい」と語っています。
ジャパネットたかたは通販企業では国内第7位ですが、テレビでおなじみの高田社長のあの独特の語り口もあって、私にはAmazonよりよほど大きな存在感があります。いや、それは私だけではなかったようで、この高田社長退任のニュースは、テレビや新聞でも大きく取り上げられました。
いま、芸能人には「家電に強い」というのが1つの分野として確立しているようです。その原型となったのは、あのどんな芸人より目が離せなくなってしまう高田社長ではないでしょうか。
聞くところによると、高田社長の声は掃除機をかけていても聞こえ、ジャパネットたかたのテレビ通販番組が始まると、思わず掃除機を止めて見入ってしまう人もいるのだそうです。
それくらい広く親しまれてきた方ですから、退任するともなると大きなニュースになるのは当然です。
テレビニュースなどを見ると、「会社は立派に存続できるしくみを作ったので、長男にまかせて引退」という感じでまとめていたのですが、私は「本当か?」と疑ってしまいました。それは単に私があまのじゃくだからかもしれませんが、いずれにしても、なぜそう思ったかを述べておきたいと思います。
まず、通販についてはいまAmazonの一人勝ち状態が続いています。あとを楽天が追っていますが、そうとう水を空けられています。
ジャパネットたかたは高田社長が新たな家電のあり方を提唱することで販路を拡大してきました。たとえば、ICリコーダーであれば「留守中にお子様に声でメッセージが残せます」と言って、メーカーもあまり想定していない使い方を表に出して売り、視聴者に「なるほど!欲しい!」と思わせて、その瞬間に集中して売るというやり方をやってきました。
ところが、ネットが普及すると、そういった売り方の強みが減っていきます。というのは、AmazonのレビューやSNSや掲示板がその役目を担うようになってきたからです。しかも、ネットだと価格を比較して安価に買えるのでので、「テレビ通販は安い」というイメージもすっかり薄らぎました。
そうやって売り上げを落としていったジャパネットたかたは、今度はアフターサービスに力を入れるようになりました。一度買ってもらった顧客を大切にして購買し続けてもらう戦略に出て、成功を収めます。
今回の高田社長の退任発表はそういった新たなしくみ作りが整ったあとだったので、「引退して子供に禅譲するのだろう」と考えるのは自然なことかもしれません。
ただ、ひねくれ者の私は「そうは言っても、やっぱり高田社長あってのジャパネットたかただというのは変わらないだろう」と考えます。65歳はまだまだ仕事ができる年齢です。しかも、高田社長は若々しい方で、少なくともあと20年は仕事ができそうな雰囲気があります。
私など、むしろ「何か重大な病気でも見つかったのではないのか」と一瞬疑ったほどです。
そこではっとひらめきました。高田社長は「社長」という枠を外して、さらにジャパネットたかたを大きくしようとしているのではないか、と。
わかりにくいと思うので、1つ例を出しましょう。しばらくくだらない妄想におつきあいください。
私は大富豪。「日本のウォーレン・バフェット」、あるいは「イケブクロの賢人」などと呼ばれ、いくらあるかわからないほどお金を持っています。そのもてあました財産で、いま日本のテレビ局の株式を物色している最中。
私は調査を依頼して、分厚い資料を作成してもらいます。そのTBSの項目にある安住紳一郎というアナウンサーに目をつけます。私は「これほどのアナがいるならTBS株が安泰だろう」と考え、TBS株を大量に買いつけます。彼ほどの人がいれば、少なくともTBSの番組がすべて泣かず飛ばずということはないでしょう。
でも、安住アナには1つだけ大きな心配材料があります。それは安住アナの存在があまりに突出しているので、芸能プロダクションからフリーランスの誘いが多く、安住アナが辞めたら、TBSの株価が急落するかもしれないということです。
そして、ある日、その心配は現実になります。「安住アナがTBSを退社!」というニュースが新聞やテレビをかけめぐります。朝新聞に目を通しながら、「これは大変だ!」と私は叫びます。
そこで私は、大慌てでTBS株を売る・・・・・・かというと、必ずしもそうはなりません。なぜでしょう。
フリーになった安住アナがほかのテレビ局で番組を持ったら、たしかにTBSは大打撃です。TBSの平均視聴率は落ちこむでしょう。
でも、可能性はそれだけではありません。
もし安住アナがTBSにフリーの立場で参加するようになれば、雑用から解放され、労働基準法のしばりもなくなります。所属プロダクションが雑用をこなして、演出ブレーンもつけ、安住アナは自分の能力を以前より存分に発揮し、TBSの出演番組がさらに増えるかもしれません。
そうすると、安住アナがフリーになることで、TBSの平均視聴率は伸びる可能性があります。愛社精神が旺盛な安住アナなら、これも選択肢として十分に考えられます。
私が高田社長の退任のニュースで考えた「邪推」は、ようするにそういうこと。社長業を退任し、フリーの立場からジャパネットたかたの経営に参加すれば、もしかしたら、もっとおもしろいやり方で、会社を盛り上げられるかもしれないことです。
とくに高田社長は抜群の知名度とタレント性を持っているので、広告塔としてこれ以上の人はいませんし、全国で講演やメディアでの活動をすることで、これまで得られなかった大きな人脈をつかんで、さらに事業拡大ができないとも限らないのです。
そういった邪推から、私は高田社長が「引退」しようとしたのではなくて、会社を大きくし、顧客を喜ばせ、社員たちをもっと幸せにするために、フリーな立場になって飛躍しようとさらに大きな賭けに出たのではないのかと考えてしまいました。
はい、いつものように何の根拠もありません。ただ、そうやって考えると、高田社長の述べた言葉「商品で人を幸せにしたいという初心を追いかける。100年、200年続く企業を残せるよう貢献したい」の意味が、なんとなく見えてくる気がします。


Image(s): FreeDigitalPhotos.net
【告知】
ディスカヴァー・トゥエンティワンからマイケル・マハルコ著の翻訳書『クリエイティブ・シンキング入門』を出版いたしました。日本ではロジックの大切さが強調されていますが、世界的な趨勢はロジックにとらわれずに、自由な発想でクリエイティブに活動するほうへと流れています。
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本書がなぜ今の日本に必要なのかを書きました。ぜひご参照ください(→過去ログ)。
ジャパネットたかたは通販企業では国内第7位ですが、テレビでおなじみの高田社長のあの独特の語り口もあって、私にはAmazonよりよほど大きな存在感があります。いや、それは私だけではなかったようで、この高田社長退任のニュースは、テレビや新聞でも大きく取り上げられました。
いま、芸能人には「家電に強い」というのが1つの分野として確立しているようです。その原型となったのは、あのどんな芸人より目が離せなくなってしまう高田社長ではないでしょうか。
聞くところによると、高田社長の声は掃除機をかけていても聞こえ、ジャパネットたかたのテレビ通販番組が始まると、思わず掃除機を止めて見入ってしまう人もいるのだそうです。
それくらい広く親しまれてきた方ですから、退任するともなると大きなニュースになるのは当然です。
テレビニュースなどを見ると、「会社は立派に存続できるしくみを作ったので、長男にまかせて引退」という感じでまとめていたのですが、私は「本当か?」と疑ってしまいました。それは単に私があまのじゃくだからかもしれませんが、いずれにしても、なぜそう思ったかを述べておきたいと思います。
まず、通販についてはいまAmazonの一人勝ち状態が続いています。あとを楽天が追っていますが、そうとう水を空けられています。
ジャパネットたかたは高田社長が新たな家電のあり方を提唱することで販路を拡大してきました。たとえば、ICリコーダーであれば「留守中にお子様に声でメッセージが残せます」と言って、メーカーもあまり想定していない使い方を表に出して売り、視聴者に「なるほど!欲しい!」と思わせて、その瞬間に集中して売るというやり方をやってきました。
ところが、ネットが普及すると、そういった売り方の強みが減っていきます。というのは、AmazonのレビューやSNSや掲示板がその役目を担うようになってきたからです。しかも、ネットだと価格を比較して安価に買えるのでので、「テレビ通販は安い」というイメージもすっかり薄らぎました。
そうやって売り上げを落としていったジャパネットたかたは、今度はアフターサービスに力を入れるようになりました。一度買ってもらった顧客を大切にして購買し続けてもらう戦略に出て、成功を収めます。
今回の高田社長の退任発表はそういった新たなしくみ作りが整ったあとだったので、「引退して子供に禅譲するのだろう」と考えるのは自然なことかもしれません。
ただ、ひねくれ者の私は「そうは言っても、やっぱり高田社長あってのジャパネットたかただというのは変わらないだろう」と考えます。65歳はまだまだ仕事ができる年齢です。しかも、高田社長は若々しい方で、少なくともあと20年は仕事ができそうな雰囲気があります。
私など、むしろ「何か重大な病気でも見つかったのではないのか」と一瞬疑ったほどです。
そこではっとひらめきました。高田社長は「社長」という枠を外して、さらにジャパネットたかたを大きくしようとしているのではないか、と。
わかりにくいと思うので、1つ例を出しましょう。しばらくくだらない妄想におつきあいください。
私は大富豪。「日本のウォーレン・バフェット」、あるいは「イケブクロの賢人」などと呼ばれ、いくらあるかわからないほどお金を持っています。そのもてあました財産で、いま日本のテレビ局の株式を物色している最中。
私は調査を依頼して、分厚い資料を作成してもらいます。そのTBSの項目にある安住紳一郎というアナウンサーに目をつけます。私は「これほどのアナがいるならTBS株が安泰だろう」と考え、TBS株を大量に買いつけます。彼ほどの人がいれば、少なくともTBSの番組がすべて泣かず飛ばずということはないでしょう。
でも、安住アナには1つだけ大きな心配材料があります。それは安住アナの存在があまりに突出しているので、芸能プロダクションからフリーランスの誘いが多く、安住アナが辞めたら、TBSの株価が急落するかもしれないということです。
そして、ある日、その心配は現実になります。「安住アナがTBSを退社!」というニュースが新聞やテレビをかけめぐります。朝新聞に目を通しながら、「これは大変だ!」と私は叫びます。
そこで私は、大慌てでTBS株を売る・・・・・・かというと、必ずしもそうはなりません。なぜでしょう。
フリーになった安住アナがほかのテレビ局で番組を持ったら、たしかにTBSは大打撃です。TBSの平均視聴率は落ちこむでしょう。
でも、可能性はそれだけではありません。
もし安住アナがTBSにフリーの立場で参加するようになれば、雑用から解放され、労働基準法のしばりもなくなります。所属プロダクションが雑用をこなして、演出ブレーンもつけ、安住アナは自分の能力を以前より存分に発揮し、TBSの出演番組がさらに増えるかもしれません。
そうすると、安住アナがフリーになることで、TBSの平均視聴率は伸びる可能性があります。愛社精神が旺盛な安住アナなら、これも選択肢として十分に考えられます。
私が高田社長の退任のニュースで考えた「邪推」は、ようするにそういうこと。社長業を退任し、フリーの立場からジャパネットたかたの経営に参加すれば、もしかしたら、もっとおもしろいやり方で、会社を盛り上げられるかもしれないことです。
とくに高田社長は抜群の知名度とタレント性を持っているので、広告塔としてこれ以上の人はいませんし、全国で講演やメディアでの活動をすることで、これまで得られなかった大きな人脈をつかんで、さらに事業拡大ができないとも限らないのです。
そういった邪推から、私は高田社長が「引退」しようとしたのではなくて、会社を大きくし、顧客を喜ばせ、社員たちをもっと幸せにするために、フリーな立場になって飛躍しようとさらに大きな賭けに出たのではないのかと考えてしまいました。
はい、いつものように何の根拠もありません。ただ、そうやって考えると、高田社長の述べた言葉「商品で人を幸せにしたいという初心を追いかける。100年、200年続く企業を残せるよう貢献したい」の意味が、なんとなく見えてくる気がします。

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