なぜ集団的自衛権が必要となったか | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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国連事務次長の明石康さんが書いた『国際連合――その光と影』(岩波新書)を読んだのは大学生のころだっただろうか。国連職員のトップとして活躍する日本人がどんな人なのか知りたかった。



本書の初版が1985年なので、もう出版されてから30年近く経っていることになる。本書の前身は『国際連合』というそのままのタイトルで出ており、初版は1965年だというから、もう50年近く経っていることになる。



さて、内容についてはもはやうろ覚えなのだが、いま思い出せるのは、国連平和維持軍がどれだけぎりぎりの活動をやっているか、憲法のしばりから自衛隊が参加できないといったところである。



当時は「憲法改正なんてとんでもない」という空気だったから、筆者もそれなりに気をつかっていたものの(国際法の優位を認めて、憲法改正なしで自衛隊を派遣するなど)、護憲派の権化のような岩波書店がよく出せたものだといった印象だった。



本書からわかったのは、国連が「集団的安全保障」という考え方を土台としていることである(「集団的自衛権」ではない)。



集団的安全保障とは、私の理解でごく乱暴に言えば、「みんなでルールを守ることを約束して、約束を破った人はみんなで制裁して止めさせる」ということである。この場合のルールとは主に「戦後に引いた国境は守る」ことだ



もしかしたら、日本の伝統的ムラ社会の「隣組」「村八分」の制度に似たところがあるかもしれない。





とはいえ、日本が国連維持活動でも気兼ねなく自衛隊を派遣できれば、大きな国際貢献となる。また、日本にとっても「国連」を背に、自国の安全を高めることができるわけだから、すばらしいことである。



だが、国連には1つだけ欠点がある。常任理事国であるアメリカ、ソ連(ロシア)、中国、イギリス、フランスに拒否権があることだ。この5カ国がルールを破っても、拒否権を使われると国連は手を出せない。



つまり、第二次世界大戦の戦勝国には大きな特権があり、この集団的安全保障の「ルール破り」をしても制裁の対象にならないということになる。



考えてみると「国際連合」は単なる日本語訳で、もとの英語はthe United Nationsである。これは二次大戦のときの「連合国」と同じで、戦後になって日本語のほうを変えただけのことである。



その「国連」の常任理事国制度のせいで、いまだにそのときの「戦後体制」が温存されてきたとも言える。




さて、日本の軍事的脅威である当時のソ連(とのちの中国)に関しては、国連はほとんどアテにできないということになる。



それでも日本がこれまで「国連中心外交」を貫けたのは、日米安保を結び、米軍を国内に配備したからだろう。これによって、中国が沖縄に手を出しても、ソ連が北海道に手を出しても、アメリカ軍が対抗することで日本の安全保障が保たれる。だから、安心して国連を中心にして外交を展開できたわけだ。





ただ、日米安保は日本がやられたときにはアメリカは助けなければいけないのに、アメリカがやられても日本が助ける義務がない。アメリカにとってメリットがさほどないようにも思える。



では、なぜアメリカはこんな一見、バランスを欠いたかに見える条約を日本と結んだのだろうか。



もちろん1つには、冷戦状態にあったソ連に対抗するためだ。ソ連の侵攻によって日本が共産化されれば、アメリカが最も恐れる共産圏の太平洋進出が実現する。今考えるとリアリティがないかもしれないが、戦後まもない日本は共産党や社会主義思想が強く、当時はリアルな脅威であった。



アメリカとしても、それだけはなんとか阻止したかった。



実はもう1つ大きな理由がある。それは石油の安定供給を守るためである。



国家の生命線は石油の確保にある。それは戦前からそうだった。そもそも日本が太平洋戦争開戦に踏み切ったのは石油を止められたことが大きなきっかけだったのはご存じのとおり。



その後も、日本人はオイルショックによって石油が止まることの恐怖を体験している。



石油は国家にとって最も重要なものの1つである。だから、産油国の多い中東の平和維持と石油タンカーが通るシーレーンの確保はアメリカにとって、そしてもちろん日本経済にとっても生命線と言っていい。何かあれば、日本もアメリカも大混乱だ。



だが、アメリカ本土から中東は遠く、ハワイを基地とする第7艦隊からでも機動的な活動ができなかったのである(のちに、第7艦隊指揮下の第5艦隊が中東専従となる)。





そこでポイントとなるのが日本である。日米安保により日本が第7艦隊のメンテナンスを受け持つことで、アメリカ軍の中東における機動性が保たれる。逆に言えば、日本の高いメンテナンス技術がなければ、アメリカ軍の中東へのコミットは困難だったと言っても過言ではない。



つまり、一見すると「アメリカの一方的献身」と思える日米安保は、アメリカ側の日本を必要としたためのものであって、実は立派にギブアンドテイクの関係が成り立っていたわけである。



ところが、この関係が崩れるきっかけがいちどきに4つも続けざまに起こる。シェール革命、中国の軍事的台頭、日韓関係の悪化=中韓の接近、そして東日本震災である。



続きます。




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本書がなぜ今の日本に必要なのかを書きました。ぜひご参照ください(→過去ログ)。