ナカジは大リーグでheroになれるか?・その5 | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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「大リーグで活躍した日本人野手」と言うと、真っ先に浮かぶのはイチローと松井秀喜だろう。残念ながら内野手で「活躍」までした選手はいなかったが(松井稼頭央が数年間、岩村明憲が1年間がんばっているが)、外野手ではこの2人が出色である。



2人の個性は真逆である。



松井は最初から抜きんでた才能を備えた野球エリートである。清原にならぶ屈指の器を備えていた。



イチローは清原や松井とちがって、スラッガーとして大きな器を持つ選手ではない。抜群の野球センスで、個性を磨き上げて職人的な技を見せるタイプの選手である。

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また、2人は性格も真逆だ。松井は和を尊ぶ協調型で、イチローは強烈な個を持った個性型である。松井はチームプレーを優先するところがあり、抜きんでた能力を備えながら大リーグでは日本の成績からするとやや寂しい成績に終わったが、イチローは単打の積み上げについては他の追随を許さない選手である。



独断で単純化すれば、大きな器を小さくまとめてしまった松井と、小粒ながら強烈な個性を磨き上げたイチローといった印象だ(青木宣親はイチローに近いだろう)。



余談だが、松井秀喜が、かつてニューヨーク・ヤンキーズで同僚だったアレックス・ロドリゲスやデレク・ジーターを成績でも上回るくらいの力があったかもしれない思うのは私だけだろうか。



全体の中の自分の役割を重視する「和」を重んじるタイプではなく、松井が強烈な自己表現を追求する「個」を重んじるタイプであれば、現在の「一流スラッガー」という評価を超える「超一流スラッガー」として大リーグ史でも名を残せたかもしれない。



昨日の引退会見の最後の「自分にかけたい言葉は?」という質問に、松井は「もっと良い選手になれたかもね」と声をかけたいと述べた。あれは、彼がアメリカにいながら、一貫して「日本的礼儀正しさ」に制約され本来の力を出せなかったゆえの後悔の弁だったのではないだろうか。



最後まで礼儀正しい一流スラッガーの枠を超えられないまま引退した松井は、引退会見でも終始礼儀正しかった。それこそがまさに松井秀喜らしさを表現していた。



ところで、もう1人忘れてならない元大リーガーの日本人野手がいる。新庄剛志だ。



新庄は「クールなアメリカでクールに活躍する自分」というイメージで日本を飛びした選手である。



彼の強みは何も背負っておらず、単に「あのアメリカ」で野球ができることを喜びに変えられた点である。彼は日本野球の窮屈さを嫌って、「自由」の象徴であるアメリカに渡った。いわば、アメリカに憧れて、自分でも何をするつもりかわからないけれど、とにかくバックパックを背負って渡米した少年のようなものだ。


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このタイプは海外に出ると強い。なぜなら「ダメでもともと、活躍すれば大絶賛」という自由な立場な上に、他人の評価より自分の満足を追求するタイプであるからだ。この点はイチローと近い。



新庄と逆なのが、大リーグで失敗した西岡剛である。彼は典型的な日本的リーダーシップを発揮するタイプで、ファンの評価やチームの評価などと戦いながらトップ選手になった。この点は松井と近い。



新庄にとってプレーとは内なる個の表現であり個のエンターテイメントそのものである。西岡にとってプレーとはまわりからどれだけ評価を受けたかを知る対象の一部である。



日本人選手の大半が西岡タイプなのである。日本社会に対応してきた人間は日本的なのが当然で、それは自由競争のプロ野球でも同じだ。新庄タイプこそが日本人離れし、だからこそ個の戦いである大リーグでも個性を発揮しつづけようとできる。



では、中島裕之はどちらのタイプなのだろうか。


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不動のショート松井稼頭央が抜けて、22歳からレギュラーをまかせられた中島は、自らがショートという膨大な事前情報と連携が必要なポジションに悩みスランプに陥りながら、ピンチの投手を励まし、自分より若い選手を励ましづつけた。



野手の大黒柱だった和田一浩が抜け、赤田将吾が不振で一軍にないあいだ、練習に没頭しながらも20代でチームを献身的に支え続けた。3番に座ってからは中村にチャンスを回すべく、我慢のバッティングに徹した。「チームを背負い、チームの和を重んじる」という点で、これ以上献身的な選手もいないかもしれない。



だが、私は中島が新庄型だと考えている。中島は内に強烈な個性を持ち、それを表現することに喜びを感じる選手なのである。



続きます。


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