打撃センス、守りのセンス、走るセンスの3つを兼ね備えていました。もちろんそういった選手は各球団にいるものですが、この2人がとくに打撃センスに卓越しています。
それがわかったのが、打ち損じをしたときです。
普通の選手は打ち損じると、内野の頭を越そうとそのままバットを振り切るか、内野のあいだを抜こうとバットを止めるものです。ところが、この2人は持っているバットの力を抜き、左側に球を転がすことができます。
すると、いわゆる「ぼてぼてのサードゴロ」になります。どちらも抜群に足のある選手なので、これで内野安打を稼げます。しかし、これは私の知るかぎりイチローくらいしかやらないような高度な技術です。また、どちらも球に逆らわずに長打にする技術がありました。「モノが違う」という感じです。
実際、我らが西武ライオンズは荻野選手にいいようにかき回されました。パリーグの各投手には「荻野恐怖症」のようなものまで出始めていました。
ところが、荻野選手は5月に半月板損傷という大けがをしてしまいました。手術の場所が場所だけに、まだ昨シーズンの力は戻っていません。本当に残念です。
さて、今年から試合の球が「統一球」に変更されました。統一球は球が飛ばないうえに、縫い目が高く変化球が投げやすいので、完全に投手有利になります。
昨年、統一球になるという話を聞いたとき、私がすぐに思い浮かんだのは長野、荻野両選手のことです。ほとんどの選手が苦労するだろうが、この両選手ならすぐにアジャストしてしまうだろうと考えました。
病み上がりの荻野選手は置いておいて、実際、セリーグで3割をキープしているのは長野選手だけです。しかも、本塁打12本で同率6位、打点は42で9位です。最近、頭にデッドボールを受けたので、しばらく苦労する可能性はありますが、現在のところ絶賛していい成績です。
それに比べて、昨年までの長距離ヒッターがかなり苦労しています。
たとえば、パリーグを代表する長距離砲であるオリックスバッファローズのT岡田。打率は.256、ホームラン10本です。高卒3年目の日本ハムファイターズ中田翔のほうが上なのです。中田選手がたぐいまれな資質を持っているのは周知ですが、すでに「完成品」である岡田選手が彼に離されているのです。
「球が飛ばない」とはいえ、彼の実力からしたら考えられないような数字です。では、なぜ長野選手がアジャストできて、T岡田選手がいまだに苦労しているのでしょうか?
続きます。
