もう1つおもしろかったのは、「岡田准一が好き」と言った女性は、たいてい「木村拓哉はかっこいいとは思わない」「福山雅治はとくに何とも思わない」と言うことです(「嫌い」ではないことに注意)。
さて、ここまで「嫌われない」で名前を出した3名(和田毅投手、大江麻理子アナ、岡田准一さん)に共通点はあるでしょうか。なかなか難しいところですが、あえて考えてみましょう。
1つは決して「トップ」ではないことです。人気投手と言えばダルビッシュ、人気女子アナと言えば高島彩、男性スターと言えば木村拓哉、のようにそれぞれ「定番」があります。3名とも2番手以降といった立場です。
もう1つは所属しているところもトップではないことです。和田投手はソフトバンクの選手です。目立つためにはやはり巨人や阪神に所属したほうが有利でしょう。また大江アナはテレビ東京の所属で人気を得るには不利です。岡田さんもSMAPや嵐ではなくV6ですから、すごく恵まれているとまではいえません。
そういうわけで、嫌われない理由として、共通して「1番手ではなくて2番手以降だから」と言ってもかまわないように感じます。
ただし、気をつけなければならないのは、それだけの理由だったら本質的な理由にならない点です。2番手以降という人はかなりの数がいるからです。
ところで、唐突に話が変わります。
この記事の最初で、戦後日本における「アイドル」として、石原裕次郎、美空ひばり、長嶋茂雄、山口百恵の4名を出しました。当時は「スター」と「一般人」は別世界に住んでおり、好き嫌いの対象にならないなどと言いました。むしろ空気みたいな存在であると。
実を言うと、山口百恵さんはそれに当てはまりません。山口百恵さんの時代にはすでにゴシップ誌が花盛りで、アイドルに関する悪い噂というものも結構あったそうです。すでにスターの世界と一般人の世界が地続きになっていたのです。実際、初期に山口百恵さんをはるかに凌駕する人気者だった桜田淳子さんにはけっこうなアンチもいたそうです(上の世代の人に聞きました)。
では、なぜ山口百恵さんだけが、前世代と同じような「アイドル」なりえたのでしょうか。しかも、百恵さんは日本だけでなく、中国においても国民的に知られた伝説的大スターです(→過去ログ)。
実はそれが知りたくて、彼女のビデオをまとめて見たことがあります。そこでの印象なのですが、どうも「浮いている」感じがするのです。彼女はとても明るいし、コントなどおもしろいこともやっているのですが、どこか醒めているのです。
それが明確になるのがコンサートです。歌はとてもうまいとまでは言えないのですが、それなりの表現力があります。ぞくっとするような色気もあります。
ただ、ほかの歌手と違うのは、ほかの人が「ファンに喜んでもらおう」「ファンと一体になろう」「自分を魅力的に見せよう」などといった気持ちが伝わるのに、百恵さんにはそういった自意識の表出とでも言うべきものが皆無です。
まるで百恵さんと観客とのあいだに見えないカーテンがあって、お互いの意識が完全に切り離されてしまったような印象があります。
「これはどういうことだろう?」と考え込んでしまいました。
続きます。
