たとえば、いま日本シリーズを戦っている中日ドラゴンズ。
ドラゴンズは打者の構成、投手陣の編成、バッテリーの組み立てなど、すべて理想に近いところにあるチームである。隙のない「負けない野球」をする点では、おそらく12球団ではナンバーワンだろう。
では、その野球は面白いものだろうか。
もちろん意見はいろいろあるだろう。
通におもしろい野球をやっているのは間違いがない。いわゆる「玄人ごのみ」「通好み」の野球である。これから、野球チームが国際戦を展開するのであれば、ドラゴンズのような野球を極めていったほうが有利である。
清原和博や秋山幸二が活躍した西武ライオンズの黄金期の野球は、今の中日野球をさらに極めたような感じであった。また、V9を果たした川上哲治ひきいる読売ジャイアンツも同様であったようだ。
最大のファンサービスが勝つことである点は今も昔も変わらない。
スターは強いチームにいるものである。ジャイアンツが絶対的な人気を持つ時代であればそれでよかった。「巨人派」も「アンチ巨人派」もチームを応援するものであった時代はそれがベストであった。
しかし、今は人々の関心が多様化している。スポーツへの関心も多様化している。
若い女性の野球ファンが年々増えており、また、「巨人ファンだけど、選手は楽天の田中将大を応援している」などという人も多い。嗜好がチームから選手に移る傾向にある。
そうなると、これからさらに野球人気を広げるのであれば、選手の個性をもっとアピールすることが有効になる。それには大リーグ流の選手の個性を最大限に伸ばすような野球がベストである。日本野球は日本文化に根ざしたものであるものの、今後はそういった方向に行くのはまちがいないだろう。
だが、それは日本野球の強みがなくなっていくことも意味している。大リーグ流の野球であれば大リーグにはかなわないからである。
今後、野球の国際戦の機会も増えていくだろうから、たんに大リーグ流を追随するだけでは日本は強さを発揮できなくなる可能性がある。選手の個性を生かしながら、いかにこれまでの強みを残していくかが課題になっていくだろう。
それにはどうすればいいのか? 今回は長くなったので、またあらためて考えたい。
(おしまい)
