本来ならあんな暴挙に出たのだから、アメリカなどと一緒に北朝鮮を非難すべきでしたが、逆にかばう動きを見せました。ところが、中国は国際ルールを無視してアメリカや韓国との関係悪化をかえりみず、理屈を捨てて金正日を守るという動きをしました。
北朝鮮内がじつは一枚岩ではなく、金政権が軍の力をコントロールできなくなっているとしたら(これはあくまで私の推測です)、中国の動きがよくわかります。「最高権力者である金正日が頭を下げて頼ってのだから、国際ルールなど置いておき、北朝鮮の安定を守るために中国がタテになる」と考えればよくわかります。
中国の外交は、このようにルールより事情とるということをやります。国際的に「ルール破り」と非難されても気にしません。なぜから、彼らの価値観では公のルールよりコネや実効のほうがはるかに大切だからです。
今回の尖閣諸島での中国の動きに、私は魚雷攻撃のあとの北朝鮮と同じような印象を受けました。
中国も一枚岩ではなく、つねに複数の意見を持つ勢力がせめぎ合っているのではないかということです。確かに私たちには、これまで中国が温家宝首相を中心に対日融和をはかってきているように見えます。実際、日中関係はうまくいっていました。
しかし、中国国内には対日強硬路線に走りたい勢力もいるはずです。
わかりやすいのは軍部でしょう。軍部の仕事はおもに攻めることと脅すことです。対外的に緊張がなければ、仕事がないのです。仕事がなければ自分たちの存在意義が見いだせません。軍部が「仕事をしたい」というのは、ようは「脅したい」「攻めたい」ということです。
日中関係が良好になって、我らの鳩山首相が、当時、とんでもないことを言ったことを覚えておられるでしょうか。
「日中の間で衝突があったとき、アメリカは安保条約の立場で行動する。しかし(尖閣諸島の)帰属問題は日中当事者同士で議論して結論を出す、と私は理解をしている」と述べたのです。
日本は一貫して尖閣諸島は日本の領土だと主張してきました。中国も領有権を主張してきましたが、それは東シナ海の大陸棚に大油田があることがわかったあとです。いま中国が尖閣諸島を取りに行こうとしているのは、油田を取りにいくためです。これでは、あまりにも露骨でしょう。
それなのに、日本の首相が上に述べたようにとんでもないことを発言してしまったのです。当然、軍部の要人などは「釣魚島を我が領土にするチャンスだ!」と大喜びしたはずです。「うまくやれば話し合いで正式に中国領土にできるかもしれないぞ!」と思って当然です。
ところが、彼らの喜びに反して、胡錦涛も温家宝も全く動きませんでした。当然、彼らの怒りはおさまりせん。「せっかくのチャンスをみすみす見逃すのか!」と思ったはずです。そうなると「先にけんかの種を作ってしまえ」と思うのは当然のことでしょう。鳩山首相の不用意なひとことが、ここへ来てとんでもない爆弾を引き寄せてしまったのです。
おそらく鳩山氏ご本人は「中国どうしちゃったんだろう?」と不思議がってるだけでしょう。とってもすなおで敵を作らない平和的な性格をお持ちですから。
しかし。鳩山氏のこの罪は日本海溝より深いものだと私は思います。もっとも、そんな政治オンチを首相に祭り上げてしまった国民も同罪と言えなくはありませんが。
続きます。
