土曜日の朝。
人気(ひとけ)の少ないラッシアワーで通勤の電車を待つ。
昨日から気温が上がって、寒さも ひと段落した3月中旬のニューヨーク。
ちょっと着込みすぎた厚手のマフラーが、重く感じる。
気温とは裏腹に、気持ちはマフラーとともに重い。
土曜日に出勤、これはもう5年も働いてるから容認しているのに、
あぁ、週に4日のスタンスで働きたいな。
でも、給料は今よりも上で、
そう言う妄想を抱いては、同じように土曜日に出勤であろう人の 虚ろな顔を見て現実逃避から引き戻される。
気持ちが落ちてるな。
上を向いている感じではない。
出先に、夕べ届いた医療明細書を開いて、また請求書に一悶着ある金額を目にしたからだろう。
また、病院とやり取りバトルかと思うと、もう、ウンザリで、
そう言う時に限って、他人の頑張りや成功が目に飛び込んできたりするもので、
関係のない他人と自分を比べて、
それは他人への嫉妬なのか、自分への落胆なのか、
自分を勝手に無能と蔑んで、全く無駄にディプレッションを感じている。
仕事も行かず、請求書とかも無視して払わず、
今頑張ってることとか、何の意味があるのか?
みんな手放してしまえたら・・・
何もかも放り投げてしまえば、ラクかもしれない。
でも、じゃあ、生きてる意味って何だろうか?
こんな風に思った時に、
ふと、受け入れられると言うか、もしかしたらって思った。
これは一週間前の出来事で、
あまりのショックに、しばらく文字でも感情と向き合えなかったこと。
人の死とか、
想像を絶するし、理解なんて出来なくて、
勝手に涙が溢れたのよ。
5日前、ウチのオフィスの患者様からメールで連絡が入った。
「息子が死んだので、土曜日の予約はキャンセルして下さい。」
えっ?!
オフィス一同、混乱に陥った。
だって、その息子さん、17歳よ!
とっても元気なハイスクールスチューデントで、
マンハッタンのトップハイスクールに通い、いい大学に進学予定も決まっていた。
何か不運な事故にでも巻き込まれたのか?
とにかく、連絡が死んだとしかメールで来ていないので、メールを返信して事情を聞く状況ではない、
オフィス代表のボスが電話をして聞くことになった。
従業員一同、心配で、聞き耳を立てる。
「What? Suicide?!」
思わす声を荒げたボスは、オフィスを出てプライベートスペースに行ってしまった。
スタッフ一同、驚きで仰天。
彼は自殺したのだ。
17歳の高校生男子。
想像もしていなかった、いや想像なんか出来なかった彼の死因に、もう感情がついていけなかった。
半年前に、歯の定期検診とクリーニングに来ていたあの子が・・・。
もう ただただ驚きと現状把握で、脳と感情がパニックを起こしそうだった。
ボスが帰ってきて、
「彼は、マンハッタンの自宅マンションのビルから飛び降り自殺したらしい。」
そう聞いた途端、勝手に感情が涙となって溢れ出した。
泣きたい気持ちというのは、悲しくて泣くと言うと行動を起こすコントロールがあると思っていたが、
全く自分でコントロール出来ない感情によって起動した涙に、これも感情の生体反応の一部なのかと、今になって思う。
アタシにとっては、その子は数いる患者の一人であって、個人的に親しい間柄でもない、
多分、あの涙は、悲しい通り越して、17歳の若者が飛び降り自殺をした事実の衝撃のリアクションだったように思う。
勝手に出て来てしまった涙を、同僚に見られてしまって、
「こりんごは、センシティブで気が弱過ぎるから。」
と言われた。
あぁ、アメリカでも、泣くと言う行為は、勝手に気が弱いと思われるのかなと思った。
待てよ、女はすぐ泣くからって、だから立場は弱いとされているのか?
いや、男も泣くべきだと思う。
涙は感情の生理現象だから、それを無理して止めたら、生体反応に逆らっていて体に悪い気がする。
いや、今回は意思に反して出て来た涙は無理して止めらるものでもなかのだけれど、
Anyway.
衝撃な高校生の死。
ゴシップが飛び交う。
Why? 何で自殺なんか・・・
親が甘やかせ過ぎたんじゃ?
勉強が苦痛だったのでは?
人間関係?
思春期の過ち?
そんな本人しかわからないことを他人が話し合っても仕方がないことなのに、
いや、みんなも衝撃で、その事実に理由をつけて納得させたいのかもしれない。
「彼は自分勝手過ぎる!
残された親や兄弟が、これからどんな辛い想いで生きていくか考えていない!」
自分も子供を持つボスがそう言った。
アメリカは、宗教的なこともあるから、自ら命を絶つとか許されない行為だったりするのか、
また子を持つ親の気持ちが理解出来るからか、
そう言う意見もあるんだなと、特に否定はしないが、
アタシは独身で、子供もいない、無宗教徒、
だから、死んでしまった彼を、身勝手だと攻める気にはなれなかった。
今朝、気分が落ちてて、もう何もかも放り出して逃げ出したいって思った自分もいたくらいだから、
これって、もう人生諦めたとか、give up とか、この想いが強ければ、この世を去る、自殺するっていう方向に向かう可能性だってなきにしもあらずで、
人間っていつも強く生きていらない。
大人だったら、そう言った想いをコントロール出来ても、
まだ心も体も発展成長途中の子供だったらどうだろうか?
自殺を図った子の気持ちは、本人にしわからないけれど、
親や兄弟が悲しむだろうな、なんて考えてる余裕はなかったと思う。
だから、死んでしまった彼に、身勝手過ぎるとは思えなかった。
ただ、やっぱり残された家族は、アタシなんかが想像もつかないくらい 張りさけん思いに苦しむんだろうな。
今、子供が欲しい、家族を作りたいと思っているんだけれど、
迎え入れたい生命が、最高の喜びと共にやって来たとして、
その命が、自ら断たれてしまったら、いったい、どんな感情にさいなまれるのか想像もできない。
今日は、気分が滅入る土曜日だな。
あ、だけど街は緑に染まってるはず。
セントパトリックスディーパレードが5番街で行われているはずで、
しかし、今年は、サクッと見に行く気力もなくて、
なので、おととしのリブログで勘弁してね。
セントパトリックスディ(3月17日)は、キリスト教をアイルランドに広めた、セントパトリックさんの命日なのよ。
だけれど、緑一色でアイリッシュバーやパブで、一日中飲んだくれてると認識される日でもあってね。
命日なのに、この盛り上がり方。
(写真お借りしました。)
辛いこともいっぱいあるけれど、このくらいの勢いで、人生を生きていかないとね。
本日のNYこりんごラジオ、過去放送ピックアップは、
一度、三途の川を渡りそうになって愛馬に引き留められた、敏腕馬術師の中山光右さんと、奥様のちかこさん。
素晴らしい馬がいると聞くと、世界中、どこにでも飛んで行った中山さん。
そんな人生もあるのね~。
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