

【ポエム集/化学療法からの贈り物】9篇
この記事の公開期間 2025.12.09から3日間
闘病期間は、2024年10月2日から2025年3月5日です
The gifts from chemotherapy
闘病中に生まれた詩
11月の作品/ラインナップ
女の子はみな乳牛のあかねちゃん
稲妻心臓を飛び交う
彼等に、末永くさちあれ
待機中
私の事など忘れて
オスヒヨコ殺処分じゃなく、単にオスヒヨコ殺し
今日まで平和
ナイチンゲール的には
景色なし
2024.11.03
「女の子はみな乳牛のあかねちゃん」
おっとりとした少女に帰りたい
最後にたくさん働いて
済んだら少女に帰る
絶対に
もう、チャキチャキすることに疲れた
全部に疲れた
おっとりとした少女に帰りたい
最後にたくさん働いて
済んだら少女に帰る
(✰2024.11.03 「文化の日」に詩作す、あかねちゃんはアニマルライツセンターの記事で報告された乳牛の名です)
2024.11.03
「稲妻心臓を飛び交う」
16:00
看護師さんを呼ぼうと思ったら胃が痛くなった
心臓までキリッと痛んだ
暫くおさまるまで
待つことにした
体拭きのタオルを貰うことになっていた
16:30
胃は痛くない
さっきまで
「タオルを2枚だけ下さい」と言おうと思っていた
さっきまで
「着替えのパジャマの上が無いので
バスタオルも無いので
下さい」と言おうと思っていた
でも やめた
努力はもうやめた
心臓が今キリッと痛んだ
7回目だった
合計11回心臓に稲妻が走った
心電図をとって貰って以後
それらは消えた
2024.11.04
「彼等に、末永くさちあれ」
認知症を患った母が他界した時
これが死ぬということなのだと
私は分かった気がした
あの時、頭では理解していたのだ
だけど、今度の私の病気は
母の死のさらに上級編だった
こんな水際まで死が押し寄せて来るなんて
私は真の怖さを分かっちゃいなかった
今、半分くらい理解できた、死ぬとはどういうことなのか
そんなギリギリの世界を知らずに
生きている赤子のような人達に末永くさちあれ
嫌なものを見ない人生を
ずっとずっとおくれますように
2024.11.05
「待機中」
明日 退院です
車椅子のレンタルの件
待ってて下さいと言われたまま
明日 退院です
13:00過ぎたけど
ヘアカットも言いますから
待ってて下さいと言われたまま
14:00から飛び入りの骨髄穿刺
こいつが悩ましい
あんた
何故
今
出て来んのさ
ヘアカットの日程
苦労して苦労して組んだのに
は〜
私は準備できてるのに
この無駄に流れている時間は何だ?
2024.11.05
「私の事など忘れて」
もう ほっといて下さい
私の事など
忘れて下さい
食事が多過ぎて食べられない
一日三食は多くないですか?
時間が来たら配膳車が来る
時間が来たら食べないといけない
食べたくなくても
時間だから食べないといけない
一番食べ物を不味くするシチュエーションだ
入院生活は
食べたくないときに配膳されるという
残念なことの繰り返し
病院の食事で美味しかったのは
ミカン(缶)の潰したやつ
あとは無い
もう ほっといて下さい
私の事など
忘れて下さい
規則通りに
ロボットみたく
食べこなす私ではありません
私の胃にはちゃんとした事情がある
だから
もう ほっといて下さい
私の事など
忘れて下さい
今夜は
私の担当者がいない夜でありますように
2024.11.06
「オスヒヨコ殺処分じゃなく、単にオスヒヨコ殺し」
生まれることは喜びなのに
祝福されないひよこたちが
ベルトコンベアーに乗せられ戸惑っている
人類
赦さん
人類、赦さない

2024.11.12
「今日まで平和」
※抗ガン剤を投与された私の実感
今日は早く寝たい
明日は明日
今日が平和なんだからいいじゃない
抗がん剤治療が明日から再開する
主治医から薬名を聞いたけど
私は抗がん剤の事はあまり調べたくない
抗がん剤は殺し屋
殺しを生業とする者と
抗がん剤は酷似してる
暴力的、反道徳的な世界を生きる人間を
感情無しで描写してゆく
それがハードボイルド小説らしい
優しさ、人間らしい感情、当たり前に備わっている道徳
それが欠損した人間を主人公にしている
己が生きることに執着し
途轍も無い規模の金に執着し
その為なら機械になり人の生きることを奪う
暴力と無感情を生きる殺し屋と
抗がん剤は酷似している
抗がん剤の破壊力
抗がん剤の非情さ
私は一週間攻撃されたから
その冷血な恐ろしさを知っている
抗がん剤治療が明日から再開する
主治医から薬名を聞いたけど
私は抗がん剤の事はあまり調べたくない
抗がん剤は殺し屋
殺しを生業とする者と
抗がん剤は酷似してる
もし、抗がん剤が血管ではなく
街へ放たれたなら
どこも廃墟と化してしまうだろう
2024.11.15
「ナイチンゲール的には」
隣のベッドには静かな患者さんがいい
いつまでも騒いで
私は今朝から急に具合が悪くなった
抗がん剤治療のせいだと看護師さんから言われた
私のせいじゃない
吐きそうで
しんどくて
力が出なくて
少し頭が痛いから
ベッドで寝てるしかない
なのにいつまでも騒いで
ナイチンゲール的には
こういう状況は看護師が改善しなきゃいけないはずだ
なのにいつまでも騒いで
看護師も一緒に騒いだりしている
私はカーテン1枚こちらで
額にウェットティッシュをのせ
耳を塞ぎ
うめいているしかない
うめいているしかないのだ
隣のベッドには静かな患者さんがいい
2024.11.29
「景色なし」
たまたま私が血液検査を望み
それが異常値を示していた
町医者は
古いダイヤルが繋がらなくて
区役所を介して私に連絡して来た
直ぐに来院するように言われた
暑い日だった
洗濯できてなかったので
ある物を着て行った
これが血液内科を受診した初めての日
町医者は入院を口走っていたが
果たして
骨髄穿刺の結果
私は入院することになった
あれが9月の終わり
今11月の終わり
確実にふた月過ぎた
私は今 どの辺りにいるのだろう?
さっぱり分からない
死にそうなのかどうかも分からない
死にかけてるのかも分からない
今見てることは
そのまま あの世への土産になるかもしれない
母と同じだけ生きれなかった不幸を
お赦し下さい
あれは9月の終わり
今11月の終わり
入院してるうちに
無菌室にいるうちに
確実にふた月過ぎた
私は今 どの辺りにいるのだろう?
さっぱり分からない
なんの景色も見えやしない






