夏井いつき先生選
啓蟄や癌闘病に放免日 楓摩ゆみ

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夏井いつき先生選
土筆たち誰も喋らぬ厨かな 楓摩ゆみ

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夏井いつき先生選

鳴兎眼にいつぱいの朝の露 楓摩ゆみ
3/1〜3/5
161.ねじ込まるる狭所恐怖のケージ鶏3/1
162.六度八分病室の外(と)は暖かし3/1
163.寒戻る牢屋の如き無菌室3/1
164.啓蟄や癌闘病に放免日3/2 兼題句【入選句】俳句ポスト・並選
165.春地獄金にする豚虐め抜く3/2
166.膳に乗り無菌室入り雛あられ3/3
167.春眠へ落ちかかりては床の上3/3
168.殺処分ありきの畜産飛花落花3/4
169.春の雨看護師われを忘れけり3/5
今年の入院俳句169句にて終了
期間1/1〜3/5
64日間詠む
2025/03/05 13:00 血液内科病棟退院
3/6詠まず
啓蟄
耳たぶら悲鳴をあげぬ春北風3/7
外(と)に出れば地獄ばかりや風光る3/7兼題句
猥褻画流す電視台夜半の春3/8
再発患者もどる処なし死人花3/8
泣寝入る春の闇かな養豚場3/9
沈丁花くその寝床に仔牛死す3/10
土筆たち誰も喋らぬ厨かな3/12 兼題句 【入選句】俳句生活・人
花に月檻の獣ら泣疲れ3/14
うらうらや灰猫枝に正座せり3/15
風光る皿のチキンに鶏の影3/16兼題句
春の闇ちぶさを探す子豚かな3/18
飛花落花養鶏場に散れる足3/19
春分
われずっと無菌室の外若葉雨3/20
青チューリップ生還すれど死にたくて3/21
姉の使ひ忘れし弟除夜の鐘3/22
実験室とは無縁の猫や長閑なり3/23
犬肉祭とは無縁の犬や花吹雪3/23
べーコンに乳首ありけり桜雨3/28
きさらぎや猫出口探す実験室3/28
きさらぎやわれ出口探す無菌室3/28
うさぎ猫狩らるる星で目借り時3/30
さみだれや母豚歩む道の外3/30
咳く人に咳かるる人の冷たさよ3/31
あわび・なまこに触るべからずや磯遊4/1兼題句
春の月雛らのた打つ養鶏場4/3
清明
春寒き農場手当てされぬ牛4/4
夏至光や茹で殺さるる鶏ら4/5
玉中に混ざる石ころ新社員4/10
春の雷口中ほんの少し腫れ4/11
植込みのあちらこちらに馬酔木かな4/11
四月の餓鬼ら玄関ホールでほたえをり4/12
駆り出さるる子羊たちや春の雨4/13
人間ら愛らしき海豚血染めにし4/15
誰が仕業ひととこに花菜チューリップ4/16
ノン・クリスチャンは夾雑物かな復活祭4/17
医療過誤されてみつきや躑躅咲く4/18
夏至の道乳飲み仔牛ら駆り出さる4/19
穀雨
ケージ鶏死すわれ闘病死す春の雨4/21
夕牡丹蜂の仕事の長きこと4/22
面接地ヒールで歩く青田中4/23兼題句
悄気てをるペンギンの展示春ともし4/26
剪毛期羊投げ落とす床の上4/26
永き日や開口呼吸のブロイラー4/30
永き日や担当をらぬ癌患者4/30
行く春や実験待ちの籠の猿4/30
鵞鳥らを並べ肝抜く立夏かな5/1兼題句
鶏を追回す子豚紅躑躅5/1兼題句
水槽に鯱海の水温む頃5/1兼題句
穀雨のニュース コアラ七百頭を駆除5/1兼題句
病める鳥歌ふや春の夢の中5/1兼題句
永き日のペンギン無為に過ごしけり5/4
家鴨の為散らしを配る暮春かな5/4
炎熱の輓馬路上に崩れけり5/4
糞塗れの牛のミルクや蠅生る5/4
🌿立夏
駆上がる捨身の馬や見手涼し5/6兼題句
鶏は売物なれど蹴られけり5/8
理事長を論破せしへ赤カーネーション5/11
糞尿農場メタンガス出す炎暑かな5/12
夏の灯や大量の雛捌かれて5/12
母の日やみなしごばかりのカウハッチ5/12
鶏に更の敷料夏来たる5/16
黒南風や人工授精さるる牛5/16
弾む如夏山駆ける子鹿かな5/17
外(と)にやるや米粒ほどの夏の虫5/18
母より出れば孤児(みなしご)となる子牛かな5/20
鶏の死骸食おうと誘ふ役者かな5/20
小満
子牛小屋ですることもなし夜の秋5/22 兼題句【入選句】俳句ポスト・並選
「2025年、日本」
地を覆ふ異国の花や美女柳5/22
金網より草へ手伸ばす子熊かな5/24
傷心の牛に吸付く搾乳機5/24
夏野原牛に食はるる謂れなし5/28
「日本のKFC農場」
解剖さるる仲間見てゐるブロイラー5/28
泥状の敷料に臥すブロイラー5/31
罪の無き兎は皮を剥がれけり5/31
健脚のダックスフント梅雨晴間6/1兼題句
平和なり菖蒲の葉には雨蛙6/1兼題句
五月闇付番されたる牛の群れ6/2兼題句
ぽたぽたと雀糞する露台かな6/2、6/3兼題句
B5サイズの鶏の寝床や熱帯夜6/2、6/3、6/4、6/6兼題句
牛泣けど捌かれてゆく酷暑かな6/4
束の間の自由得し熊撃たれけり6/4
芒種 11
八月や内臓脱の血の卵6/8
クーラーや縫ひ付けらるる子猿の目6/8
火事の跡途方に暮るるカンガルー6/13
初夏の風撫づるびしょ濡れ子牛かな6/13
開戦日実験室の子豚たち6/13
遠花火卵産みつつ死ぬる鶏6/13
おとなしきブロイラーたち熱帯夜6/13
海知らず繁殖の赤ちゃんイルカ6/17
ふれあひカフェ監禁されし春の獺(うそ)6/17
海住まひの海老捕らはれて捥がれけり6/17
夏海や砂地を歩むロブスター6/18
夏至 17
寒灯下牛奪ひ合ふオークション6/21
W杯前の野良犬掃除夏至の街6/21
河馬の背に立ち白鷺の川渡り6/25
流行らぬ店水槽のベタ動かざる6/25
鶏の頚捩づる男や終戦日6/29【入選句】俳句ポスト・並選
夏の夜や病鶏食へば病人に6/29
血を垂らす闘牛夏の夜の悪夢7/1✰
原爆忌ラボに猿の子生まれけり7/1
繁殖にて生まれし子鯱死ににけり7/1
車中の犬出口を探す炎暑かな7/2兼題句
しっかりと葉っぱ掴むは空蝉よ7/2兼題句
廃棄用トマト頂く河馬らかな7/2 兼題句
炎熱の棚や二万の雌鶏(めどり)たち7/2兼題句
大西日犬救ふサインまたひとつ7/2兼題句
猛暑日の警告音や大鶏舎7/6
拷問され臓器取らるる家鴨かな7/6
ネグレクト犬優しき顔に春ともし7/6
小暑 4
アヴィアジェン社の廊下冷たし鶏の死骸7/12
七月や通り這ひずる負傷牛7/15
子犬らを売るチラシかな秋の風7/18
檻の獣衰弱死待つ旱かな7/20
大暑 19
八月や羊ら並ぶ屠殺ライン7/22
朝の風吹き敷く家や蝉時雨7/23
ゴミ出せば床に倒れぬ蝉時雨7/23
がん治療ゼリー主食となりにけり7/24
夏の子牛ロデオに放り込まれけり7/25
夏空や体重たきブロイラー7/26
縮こまるラボの檻の犬寒燈下7/27
鳴兎眼にいつぱいの朝の露7/30 兼題句【入選句】俳句ポスト・並選
一息に皮膚を剥がるる兎かな8/1
原爆忌ぎゅうぎゅう詰めのひよこたち8/1
金魚悲し水淀みゆくプラボトル8/1
運動場で喘ぐ牛らや夜風死す8/3兼題句
フランスの鯱逃せし須磨のプールかな8/3兼題句
向日葵や蜂蜜禁の零歳児8/4兼題句
失ひしは夏の波かな蟹水槽8/5兼題句
春夕べ殴殺さるるひよこかな8/6
中国人神鹿に紙食はせをり8/6
夏号や初ページ飾る保護鶏ら8/6兼題句
ソーダ水看護師時代と違ふ味8/6
立秋 13
日射病の馬働かす男かな8/13
八月やぼろぼろのひよこさ迷ひて8/14
浮見堂鹿雨やどる白雨かな8/15
寝相よき母豚子豚星月夜8/16
中雛に鶏冠生へたり秋の風8/17
黒猫の伏したるままや床涼し8/18
雀らに餌付けする人秋の雨8/19
高層階メンズコスメへ蟻の道8/20
大洪水木槿の花も流れけり8/20
涼さや木槿に寄れば風の中8/20
知床の旅人熊に菓子撒けり8/21
漢民族大和の鹿を蹴回れり8/22
鹿好きの人ばかりなり奈良の秋8/22
処暑 16
食止(くひさし)の柿の木に居る鶫かな8/24兼題句
ピッグ・スクランブル子豚なぶらるる落葉中8/24
春の昼農家に血染めの子羊ら8/24
長き夜や立通しなる跛行牛8/24
縋付く猫の爪痕秋の薔薇8/25
秋まひる行基広場に親子鹿8/26
離るる子子犬見送る秋の暮8/27
北山椒魚生き埋めにしてメガソーラー8/28
はらぺこの鳥見つけたり木守柿8/29 兼題句「俳句ポスト」類想(選外)
心友の雄牛馳せ来る夏野かな8/30
秋の夜や産院の庭歩く猫8/31
裏町の店見つからぬ飛燕かな9/1
日出づる国鰻に魚粉与へをり9/2
神鹿に跨る愚かな男かな9/3
台風や鹿踏ん張れる風(かざ)おもて9/5
夜の寺石段のぼる百足かな9/6
白露
咳をする病気の鶏ら売られけり9/8
足つかぬプールにマウス溺れをり9/8
触れ合ひのあと消ゆる春のひよこかな9/8
月影や実験施設の外(と)にマウス9/9
公営の空き家に蟷螂(たうろう)暮らしをり9/11
金秋や鶏に賜る良き卵9/12
秋分の日蚊遣香焚きも仕舞ひなり9/13
秋の空遺伝子組み換へ蚊の大群9/13
プラ皿にぱさぱさの鮭クリーン食9/14
夕闇や牛コスモスと別れゆく9/16
見せられて貰へぬお煎鹿鳴けり9/18
秋うらら客はもっぱら痩せ雀9/19
その場所に母馬の匂ひ秋の草9/20
緑色(りょくしょく)の猛毒染むや岩の牡蠣9/21 兼題句「俳句ポスト」類想(選外)
秋分
迷ひなし軽鳧の子母のあとを飛ぶ9/23
躊躇ひの軽鳧の子池に飛び落ちぬ9/23
染料に投げ込まれ鳴く雛らかな9/23
カラ―ひよこ袋の穴より息をせり9/23
眠らせて切る赤子の爪春うらら9/24
血に染まる羊の毛刈る男かな9/24
いつも通りの鶏舎の夕べ外(と)には秋9/26
フィヨルドに鯨や歓呼の日本人9/27
無菌室謎の魚「ホキ」を睨みをり9/28
和布食む電磁波より身守らむと9/29
鶴の雛規制緩和の音の中9/30
ケージより出るは頚だけ秋あわれ9/30
藪蘭や縁石に休む我(わ)と荷物10/1
出てみれば狐の松明夜の犬10/2
公園に鹿行けば頭蹴られけり10/4
表参道YOUTUBERに鹿蹤き来10/4
ママの背に乗合ふスワンの雛らかな10/5
ペンギン舞ふ鯱数頭の群の中10/6
増ゆる藻やおもちゃで遊ぶ海豚たち10/7
寒露
獣医学生に子牛笑はれ秋の雨10/9
「フランス マリンランド・アンティーブ」
ひもすがら藻浮かぶプール親子鯱10/10
竜田姫そっと差出す鹿せんべい10/11
「宮城県大崎市」
冬隣ぼっちの子熊さまよへり10/12
気絶させて貰へぬ牛の息白し10/13
母鹿の舐むや真黒な濡れ子鹿10/14
熊めくが月輪熊を食ひたがる10/15
稲雀大阪の移民止まらざる10/17
死の手もてにほへる少女仔鹿撫づ10/18
ネグレクトのわんこは天へひつじ雲10/20
銀杏黄葉家犬止まる御堂筋10/21
霜降
菓子売場の真黒な人や秋ともし10/23
羸痩の熊彷徨へり街の中10/30
芯冷ゆる子猫打たるる氷雨かな10/31
鹿が芝はむ音低き冬至かな11/1 兼題句
饑るさや母に遅れぬ子熊たち11/2
屠殺場形(かた)美(は)しき兎耳(とじ)積まれをり11/3
立冬
立冬や子豚の嗁呼(ていこ)やまぬなり11/7
美(は)しき鶴の子はもふもふよ枯葦原11/14
隠れ処へ鼠(ねず)咥え飛ぶ鼬かな11/15
雪道に出る木狸に嗅がれけり11/19
風花や取上げられし子牛追ふ11/21
小雪
檻の熊の周りを子熊風冴ゆる11/22 兼題句
秋の水猪豚と犬並び飲む11/23
河豚あはれ食思のブレーキ壊れをり11/25
豚の臓器移植して人死ににけり11/26
豚の欠片二つパックのスパゲティー11/26
辛き時較ぶや鵞鳥のガバージュと11/27
首折られミンク襟巻となりにけり11/28 兼題句「Web投句箱」選外
檻を出て狸地獄に着きにけり11/28
断末魔のミンクの襟巻売られけり11/28
無菌室マフラー仕舞ふクロゼット11/28 兼題句「Web投句箱」選外
三度目の蹲みで鵙は冬空へ12/3
信貴山のバスを逃して熊の道12/6
大雪
冬山の獣巻込む火攻めかな12/11
奈良の鹿守らる京の鹿狩らる12/12
溝蓋に閉眼のめじろ鮮やかに12/13
脚ちぎり逃げ出す鹿やくくり罠12/16
北風や腫れいや増せる鹿の皃(かほ)12/16
潮氷まなこ死にたる鱵かな12/20 兼題句
冬至
しかと紐独楽に巡らすおととかな12/22 兼題句
夜の火事寝起きの豚ら呑込めり12/22
みなしごの海猫の雛逃げ惑ふ12/23
雷鳥の放たれてより敵の影12/24
風吹いて顔腫れ鹿へ木の葉かな12/25
紐這はす独楽の木膚(こはだ)の硬さかな12/26 兼題句
別世界より小鳥来る水場かな12/26
白血病患者鹿に逢はむと初電車12/27
大北風や警官の書類はためけり12/27
柿畑に熊ゐすわれる冬夜かな12/30
鹿の群れ寝耳にきくや除夜の鐘12/31
退院後に詠んだ俳句は246句です。
いつ終わるとも分からぬ日々。直近の作品だけでもと思い、まとめておきました。
入院中に詠んだ俳句は時間があれば、別にまとめます。
誤字脱字ありましたらすみません。読んで頂きありがとうございました。







