私はアメリカにいると「日本語教育」の専門家として、様々なお仕事をいただくのですが、日本からは「英語教育」についての助言を求められたり、英語学習の教材開発に関わったりします。

 

ここ2年ほど、日本の大手英語教材会社のリサーチ部門からお仕事をいただいて、コツコツとデータを集めています。

 

アメリカで生まれ育った日本人の子供は、一見(というかちょっと聞くと)英語ネイティブと同じように話すのですが、音声データをミクロの単位で解析すると、英語モノリンガルとはかなり異なる音素体系を持った発音をしていることが多いです。

 

これを一般的な言葉で言うと「母語、あるいはもう一つの言語の影響を受けている発音・話し方」ということになります。これは日本人が外国語として英語を学習した人の音素体系とも異なり、日本語と英語の同時性バイリンガル習得をした人独特のものです。

 

もちろん日本語と英語のモノリンガル話者の発話も千差万別であるように、バイリンガル話者の話し方も人によってまったく異なるのですが、日本語がかなり話せる英語ネイティブスピーカーの英語がどこまで日本語の影響を受けているかは、その人の両言語の使用頻度や習得を開始した年齢によって、一定の類似点があるように思えます。

 

現在、幼い頃に英語を自然習得してから日本に帰った帰国子女の子供たちの英語のデータをとっていますが、日本に帰国して3年ほどすると、それまでの英語力に関係なく英語の発話に日本語の影響が出てきます。ただしこれは音声データを波形やオンセット(音が出る瞬間)などで機械処理すると差が出てくるということで、普通に耳で聞いている分には大した差には気づかないかもしれません。

 

この日本語の影響を受けた英語の発話がどこまで英語ネイティブスピーカーの発話とずれる(差が出る)と、聞き取ってもらえなくなるのか、発音が悪いと思われるのかを数値で出そうとしているのが今の私が関わっている研究課題です。

 

実際、World Englishesという言葉があるように、英語ネイティブスピーカーといってもどこの国のどの地方の出身かによってかなりの振り幅があり、英語以外の言語も話すバイリンガルの場合には、もうひとつの言語が何語であるかによってもかなり差があります。

 

「日本人は英語が下手だ」と言われますが、「謙遜」や「自虐」の観点を超えて何がどう下手なのかを分析しなくてはいけない時期に来ていると思います。

 

 

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