ここのところ、毎日 日本語と英語のバイリンガルの人のインタビューデータを聞き続けています。
日本語と英語のバイリンガルの両言語の能力を測る方法は、一般的に確立されたものがありません。(あったら教えてください)
バイリンガル学会では様々な方法で両言語の能力を測った研究結果が発表されていますが、データサンプルが小さすぎて一般化していないのが現実です。
同じ絵を見せて両言語で説明してもらうものや、試験問題が2言語で書かれていてどちらの言語でも答えていいような指示が出ているものなどがよく使われますが、どうしてもたくさんのデータを集めるためにはテストの開発が必要となってきます。
バイリンガル研究をしていると、よく聞かれるダブルリミテッド(またはセミリンガル)の可能性ですが、今のところ私が言えることは2言語のどちらかで、年齢相応の言語発達が3年以上遅れ続けている場合、1言語であっても遅延がある可能性があるということです。日本語と英語のバイリンガルの場合、年齢相応の言語発達が3年以上遅れ続けている状態が数年続くことは非常に稀です。
最近多い「往還型」(トランスナショナル)の子供が日本語と英語で教育機関を交互に受けたりした場合、たいていは3年以内に優勢言語が移行します。
例えば、5歳くらいまで日本に住んでいて、小学校に入る前にアメリカに来て小学校3年生くらいで日本に帰ったとしましょう。おそらくこの子は日本に帰る直前には英語が優勢言語(自分にとって強い言語)になっている可能性が多いです。そして日本の学校にもどり、2−3年すると日本語が優勢言語(自分にとって強い言語)になりますが、英語力も保持している場合があります。ただしこの英語力は一般的に言われる「生活言語」の能力であり、学習言語はインターナショナルスクールなどで英語で学習していない限り、どうしても弱くなっていきます。
どちらの言語でもメインストリームのモノリンガルの子供達を対象とした教育についていける子供は、ダブルリミテッド(またはセミリンガル)になることはありません。ただしバランスよく両言語が伸びていくためには2言語で教育を受け続ける必要があります。
「往還型」(トランスナショナル)の子供の場合、2言語で同時に教育を受けるのではなく、1言語教育を集中的に受け、学習言語(何語で教育を受けるか)が数年ごとに変わるので、その時々に優勢言語が変わることもあります。そのため、弱い方の言語が現地で使われている言語だと学習の遅れが心配されたり、言語発達自体が停滞しているように感じられることもあります。
バイリンガルの子供にとって、一番大きな問題はモノリンガルの親や教師が、バイリンガルの子供の言語力を正しく評価できないことです。以前にも書きましたが、モノリンガルの親は自分の母語に対しては厳しく評価し、自分ができない言語は「子供はできている」と過大評価してしまう傾向があります。
親や教師がこのように間違った評価をしてしまうことで、子供のバイリンガル発達や言語発達そのものに悪影響が及ぼすこともあります。
もしもお子さんがどの言語でも学年相当の(学力ではなく)認知能力と言語能力に達していないと感じた場合や指摘を受けた場合には、どうしてそういう結論に達したのかをよく理解してから必要な援助を受けることをおすすめします。
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