日本語と英語のバイリンガルの人の発話をたくさん聞いていると、いろいろな気づきがあります。
例えば、日本語は受け身形(ぶたれた、 けられた、こわされた)をよく使うけれど、英語だと能動形
(Hit, Kick, Break)をよく使うのは、言語上の特徴によるものですが このメンタリティはバイリンガル話者の中で自然に構築され、自分が何かをされ、どんな気持ちになったかを伝えたい時には日本語に、誰かが何かをしたと言うことを人に伝えたい時は英語になったりします。
また以前にも書きましたが、日本語は一言で、感情を表すことができますが、英語は自分の感情を表現するときも文単位になります。例えば
うれしい〜! = I am happy!
同じことを日本語か英語のどちらかで伝えたい時、一般的に言うと、日本語の方が短く簡潔にすむことが多いと言われています。これはあくまで「話し言葉」での比較で、書き言葉になると、漢字表記の問題などから、比較方法が変わってきます。
映画の字幕の場合には、字数制限があって同じような意味に意訳する必要が出てきますが、吹き替えの場合にも口の動きに合わせて(lip sinking)で日本語から英語にすると、英語をかなり早口にしないと同じ意味への翻訳ができないことからもわかるように、同じことを言いたい場合には英語の方が口を忙しく動かさないといけない、と言うことになります。
この画像はこのページから借用しました。
私の好きな映画のひとつにボストンが舞台になった「Good Will Hunting」という映画があるのですが、この映画の中で
"You will be fine."
というセリフが
「君なら大丈夫だよ。」
と訳されていました。
これは英語の方が簡潔に言いたいことが言える例ですが、このしょっちゅう使われる
" You will be fine."を 我が子はずっと
「泣かないで」と訳していました。
娘は小さい時に、私と別れる時 いつも大泣きしていました。その時にいつも先生に言われていたからそういう意味だと思っていたようです。
こういうちょっとした慰めの言葉、人を元気づける言葉は日本語も英語も 一言の決め台詞のようなものが多いです。
ただ、もっと複雑なことを説明したり、表現することになると英語の方が発話量が多くなる(長くなる)傾向があることはデータから推測できます。
それなのになぜ、日本語と英語のバイリンガルは 話すことに関して「英語の方が楽」だと感じることが多いのか。これについては現在、インタビューと脳波によって解明しようとしているのですが、私たち研究チームの仮説では英語のリズム(イントネーションと強勢)が流れるように口から出るのに対し、日本語のモーラを中心としたリズムは「話す」という作業において脳に負荷をかけているというものです。
次回は、なぜそのような仮説に至ったかについて書きたいと思います。
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