母語以外の言語(第二言語や外国語)が上達する要因として、学習者のモチベーション(motivation)や学ぶ言語に対する態度や姿勢(Attitude)が注目されるようになったのは、1970年代くらいからです。

ガードナー(Gardner)とランバード(Lambert)というカナダの学者が1972年にモチベーションと言語習得の相関関係に関する書を出版し、世界中で、研究が広まっていきました。

 

それから20年後、ベーカー(Colin Baker)が、Attitudes and Languageという本を出版しました。ベーカーは、Encyclopedia of bilingualism and bilingual educationというバイリンガル教育の百科事典のような本も書いているので、バイリンガルを研究する人なら誰でもこの人の著書を読んだことがあると思います。

 

ベーカーは、イギリスのウェールズ地方の若者に、英語とウェールズ語に対する態度や気持ちに関する選択肢式のアンケートを行い、彼らの英語とウェールズ語の言語能力との相関を調べました。

 

私は、このベーカーの研究を参考に、1998年から1999年にかけて、日本語と英語のバイリンガルの小学生に英語と日本語に対する態度や気持ちに関する選択肢式のアンケートを行い、彼らの英語と日本語の言語能力との相関を調べました。

 

この研究結果から、前にも書いたように私の研究に参加した子供達は

1 英語に対して、好意的で学ぼうとする気持ちが強かった。

2 日本語に対して、(海外にいても)学び続けようという意識が強かった。

3 自分の現在や将来に、英語と日本語が両方必要で、バイリンガルになりたいという気持ちが強かった。

 

ということがわかりました。この研究参加者の10歳の時点での日本語力と英語力を測った結果、

1 英語力が最も高かったのは、生まれた時からアメリカにいて、英語と日本語のバイリンガルプログラムにいる子のグループだった。

2 日本語力が最も高かったのは、日本にある英語と日本語のバイリンガルプログラムにいる子のグループだったが、日本からアメリカに来て、2年以内の子供が90%以上を占めるグループとの日本語力の差は、統計的に有意ではなかった(ほとんど差がなかった)。

 

ということがわかりました。

 

その後、2001年から現在まで、ロサンゼルスの大学で、日本語と英語のバイリンガルの大学生を対象に様々な研究をして来ましたが、大学入学時に高い日本語能力を保持し、英語が母語(あるいは優勢言語)である学生たちは、概ね「英語と日本語に対する態度や気持ちに関する選択肢式のアンケート」で、日本語、英語、日本とアメリカの文化に対して、好意的な態度を持っているという結果が出ています。

 

次から数回に分けて、「言語能力を測る方法」をご紹介します。