日本から移住した家族が子供をアメリカの「現地校」と言われる英語で教科を学ぶ学校に入れると、かなり早期から、家庭で「たくさん読むこと」をすすめられ、大変だという話をよく聞きます。
アメリカでは、80年代くらいから「Whole Language Approach (WLA)」という言語習得の方法が流行し始めました。私が90年代中頃に大学院で教育学の「Reading (読解)教育法」のクラスを取った時、「フォニックスを教えるのは、もう古い」という風潮がありました。
簡単にいうと、フォニックスは ボトムアップ、つまり小さい単位(音)からその音の組み合わせで単語を読み、さらに単語の組み合わせで文を読み、文の意味を理解し、読み進めていく方法です。Whole Language Approach (WLA)は、トップダウン、つまり大きい単位(文脈)からその文中にある単語の意味を推測したり、文を読み進めていく上で、必要な頻出語彙を習いながら理解していく方法です。
その後、90年代後半から、私の元同僚でもある英語教育の専門家が、フォニックスの見直しを提唱しました。確かにスペイン語などに比べると、英語は、一つのスペルにも複数の音があり、文字一つ一つの音を重ねても、その単語の音にならない例が多いです。けれど、すでに音声として習得している語を、目で見た(読んだ)場合、フォニックスを知っていれば、自分の知っている語(それまでは耳で聞いていただけの語)とリンクできるというのが、フォニックス支持者の見解です。
現在、アメリカの小学校で、WLAかフォニックスか、あるいは両方を取り入れているかは担任の先生がいつ頃、教職課程を取ったかに関わっているような気がします。現在、中堅からベテランの先生は、WLAの申し子のような人が多く、比較的若い先生は、フォニックスブームがリバイバルした時に、教育学部にいた可能性が高いと思います。
どちらの方法をとるにせよ、アメリカの小学校では「多読」をすすめます。「多読」やGraded Readerについては、また後日、詳しく書きますが、これは現在のアメリカ各州の統一テストのLanguage Arts の部門では、まだWLAで養った「全体をざっと読んで、内容把握の質問に答える能力」を測る問題が多いからです。
この能力を高める方法を、しっかりと学んでいない小学校の先生は、子供や親に「とにかく たくさん読め。」と指導します。
もちろん、たくさん読んで、どんどん知識を吸収していける段階まで、読解力や語彙力がついていればいいのですが、その段階に行くまでには、それなりの指導が必要となります。
自分自身、または子供が「読むこと」を嫌ったり、難しいと思う場合、それはその教材(読み物)が自分の読解力に合っていないことが原因です。Graded Readerは、習得語彙数から類推して難易度を決めていますが、それが全ての子供にとっての難易度に合うとは限りません。文化的背景や興味の対象によって、(特に子供の場合は)知っている言葉の数や種類に非常に幅があります。「今、何歳だから、このくらいの語彙数があって、この程度の本を読めないといけない」というプレッシャーに負けて、子供にレベルに合っていない本を与え続けてしまうのは問題だな〜と思います。
最近、アメリカの初等教育では 「Read (a) Just Right Book (RJRB) 自分にちょうど合った本を読む」という指導法が出てきました。これができるようになるために、学校での個別指導(differntiated instruction)をもっと徹底してほしいと思っています。
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