舞浜ユーラシア温泉 の後、帰り道で寄りたいラーメン屋があった。
ぼくの色んな意味での師匠の一人、写真家のⅠ氏から薦められていた店。
Ⅰ氏からは色んな表の文化より、どちらかというと裏の文化を色々教わったのだが
、実は食の師匠でもあった。
京都出身だけにこだわりが半端なく、自ら作る料理も素晴らしかった。
スッポン鍋ではキモが一番美味しいことを教わったのもそうだし、今はそこら中でやってるが初めて鯖寿司を炙って食べることを教わったのもⅠ師匠だ。
教えてもらった店に何軒か行ったが、ジャンルこそ様々だがどれも唸る店ばかり。
決してグルメ本などに載らない店ばかりだ。
中には危ない環境のためすでに閉めてしまった店も多い。
そんなⅠ師匠、ラーメンのことを語ることはほとんどなかったのだが、唯一熱く語った店が今回取り上げる「らーめん勝」。
麺シリーズなのでいつもみたいに3軒まとめてもう2軒も一緒に取り上げようと思ったけど、この1軒で長くなりそうなので他は次回に。
らーめん勝
江戸川区篠崎、14号沿いにある「らーめん勝」。
ラーメン業界でさほど話題に上ることは少ないが、すこぶる評判がよい。
まずあまり話題に上らない理由として考えられるのが、今風のラーメンではないこと。
といって昔懐かしい東京ラーメンとか、そういうのでもない。
あえて例えると、ぼくが学生時代に流行り始めた恵比寿の香月系のラーメンなのだ。
すなわち今の趨勢から見てシンプルな醤油ラーメンに、背脂チャッチャと施した系だ。
この手のラーメンは一時期大変流行った。
もちろん今でもたくさんあるが、流行はすでに違う方向にあるのはご存知の通り。
といって、この系統が廃れてしまう理由もない。
丁寧に美味しければ残るのである。
そう、この「らーめん勝」の評判の一つは、その丁寧な仕事だ。
開店10分後ぐらいに入店。
すでに先客が一人居たが、基本的には並ぶ店である。
すぐ入れたのはラッキーだった。
ご主人と、同じぐらいの年代の男性との二人で切り盛りしている。
作るのはご主人一人。
カウンターのみの店で厨房との境が無いため仕事がよく見える。
その仕事の所作が何とも惚れ惚れするような品のよさなのだ。
一つ一つの動きが実に丁寧。
無駄が無く、そしてリズムがある。
ラーメンを作る体の動きに研ぎ澄まされた躍動がある。
何よりすべての所作が、まるで茶道や華道の達人を見てるがごとく美しい。
思わずじっと見入ってしまった。
どんな分野でもプロの仕事は結果だけでなく、やはり経過も見たい。
意識してやってるのではなかろうが、それは十分食べるまでの時間を楽しませてくれた![]()
そして出された一杯。
大きめの器の中には細めだがベストな固さの麺。
十分過ぎるぐらいに盛られたメンマ。
分厚く大きな2枚のチャーシューはスープの中に沈められ、丁寧な仕事のネギがたくさん盛られる。
特に盛り付けにこだわりを持った感じではないのだが、経過を見てるだけに素直に受け止められる美しさ。
スープはその背脂の量から喚起されるイメージよりかなりすっきりしている。
甘味もあるがほろ苦さもあり、何とも大人なまとめ方。
やはり流行り系ではないが、ぼくの世代には間違いなく懐かしい味。
こちら系ラーメンではもうここしか食べたくないと思わせる完成度。
あの頃のラーメン道を体験した人にはぜひ食べてもらいたい、一杯である。
らーめん700円。
らーめん勝
東京都江戸川区篠崎町7-13-20
03-3678-6339
18-26時
日曜定休

