出雲湯村温泉で宿泊した宿が「湯乃上館 」。
「ゆのうえかん」と読む。
出雲湯村温泉の湯守的な存在であり、歴史のある宿だ。
一般的には出雲湯村温泉なのだが、この宿では「奥出雲湯村温泉」という呼び方をしている。
いずれにせよ宿に内湯はなく、向かいの元湯である共同湯 を使用する外湯スタイルというのも逆に風情がある。
1月と2月で結局この宿に3泊したことになる。
まずは宿について。
奥出雲湯村温泉 「湯乃上館」
国道314号線からわき道にそれ、斐伊川にかかる橋のところにさらに川岸へ降りるように続く細い道がある。
その道に入った瞬間、タイムスリップをしたような感覚になる。
細い道の両脇には古い家屋が並び、電信柱も見当たらない。
温泉街というにはあまりに何もないが、宿へのアプローチとしては期待が高まる。
宿の目印は旧式の赤いポストと、「湯乃上館」と小さく書かれた照明内蔵の看板。
石を積んだ塀は城壁のように立派だが、宿自体はさほどの大きさではない。
手前には茅葺屋根の庵があり、これは後で囲炉裏のある食事処とわかった。
1月の際はチェックイン16時よりちょっと早く着いてしまった。
案内を乞うと、それでもちゃんと入れてもらえた。
玄関も簡素であり、特に飾り立てているものは一つもない。
古い木造家屋を大事に使っている感じ。
家屋自体、特に重厚な造りというわけではなく、これは急拵えで造った建物だと後にご主人の弁。
つまりかなり素朴な印象である。
部屋は2Fに5室あるが、宿泊は2組しかとらない。
それでもある程度の人数には対応できるようで、小グループ用と大グループ用とで部屋を使い分けている。
我々は3人なので、小グループ用の手前の部屋。
部屋は広々としており、2面に回廊がある。
回廊と部屋を隔てているのは雪見障子。
あまり見なくなったものだ。
綺麗に手入れされていた。
トイレと洗面所は部屋の外。
隣の部屋とはふすまで仕切られているだけだが、隣は食事用に使う部屋なので問題は全くない。
洗面所もタイル仕様のかなり年季の入った体だが、清潔感があり気持ちよく使える。
ちゃんとお湯も出た。
トイレの写真は無いが、そこはしっかり近代的なウォシュレットだった。
さて、部屋についてご主人と少しお話をし、お茶とお茶うけをいただいた。
お茶は地元産のほうじ番茶。
これが何ともふくよかな味わいで美味しい。
聞いてみたら温泉で淹れているとのこと。
お茶の味を素直にそして豊かに引き出す温泉力。
出雲湯村温泉の底力。
そしてお茶うけに思わず唸った。
1月に訪れたときは、紫蘇の葉を漬けて丸めたもの。
そして2月に訪れたときは、いちじくを漬けたもの。
共に素朴なものだが、なぜこんなに美味しいのか。
雲南の地がもたらす素材の豊かさ、おそらくここでも使ったであろう温泉の力ももちろんだが、料理するご主人の腕も素晴らしいことをこの時点で確信した。
食事が俄然楽しみになった。
そのときは知らなかったのだがこちらのご主人の西村さん、有名な老舗日本料理屋「○ん熊」で修行されていたとのこと。
「でもああいう料理は一切出さないですよ」と仰るのもなんだか頼もしい言葉じゃないか![]()
確かに一泊二食付きで1万2~3千円なのでそもそも会席料理などは期待してないし、湯治客には必要ない。
素朴で結構なので、一つ一つをしっかり味わいたい。
久しぶりに宿の料理に本気で期待した。
…そんな料理の話は次回に。
奥出雲湯村温泉「湯乃上館」
島根県雲南市木次町湯村1336
0854-48-0513
一泊二食付 平日12,855円(二人以上)など
詳しくは宿のHP を参照
昼食休憩付きの日帰り入浴もあり








