斐伊川のほとりに
薬湯あり
浴をすれば心身
やはらぎ
再び濯げば萬の病
いゆ
老若男女
昼夜をわかたず
往来す
なづけて薬湯
といふ
出雲国風土記より
さて、島根の温泉シリーズも次第に佳境へと。
1月頭にプチ湯治を兼ね闘病中の両親を連れて訪れた出雲湯村温泉「湯乃上館」。
その湯と宿をいたく気に入った両親が、どうしても間をおかずに再訪したいと。
ただ雪の道中、足腰を悪くしている父がいるので自力では行けない。
再びぼくが関東の自宅から冬仕様の車を駆り、兵庫の実家で両親をピックアップし連れていくことに。
九州でのイベント出演が延期になって空いた数日を使い、2月頭に2泊した。
出雲地方では昔から玉造温泉を神の湯、出雲湯村温泉を薬の湯と称していたそうな。
上に挙げた薬湯がすなわち出雲湯村温泉である。
「湯乃上館」のHP
にも出雲国風土記からの薬湯の一節が引用されている(ぼくはそこから引用
)。
1300年前から万病に効く湯として大事に守られて愛されてきた湯は果たしてどんな湯だろうか。
出雲湯村温泉には宿が3つ。
斐伊川を挟んで源泉がある方の岸に「湯乃上館」、「オーベルジュ雲南」。
向こう岸に国民宿舎の「清嵐荘」。
「オーベルジュ雲南」は外湯で共同湯を使用する。
後ほどランチを記事にする予定。
「清嵐荘」も立ち寄ったがその話もまた後で。
宿泊した「湯乃上館」にも内湯はない。
通りを挟んだ向かいにある共同湯「元湯」を、宿泊者に限り無料で24時間使用できる。
ちなみに立寄りだと320円。
宿の話は改めてするとして、まずはその「元湯」から。
出雲湯村温泉 元湯共同浴場
地元の共同湯として使われている「元湯」、最近になって改装されており新しくて非常に清潔感がある。
それでいて風情もしっかり残されていた。
浴場は男女別それぞれに室内浴場1つと露天風呂1つ。
貸切の家族風呂1つ。
それと足湯。
全て源泉は同じである。
まずは室内のメイン浴場。
実は湯気がスゴくて翌朝にならないと撮れなかった。
湯口は奥の角にあるのだが、そのほか3方から注がれている。
カランは無く、すべて源泉を枡にためてそこから汲んで使う方式。
そして溢れ出る湯は浴槽に注がれているのだ。
湯は澄み切った無色透明。
ごく僅かに塩味を感じるか感じないかほどのほとんど無味無臭。
自然なスベスベ感のある柔らかなアルカリ性単純温泉。
源泉温度は42.6度あり、これをそのまま加温・加水・消毒なしで完全にかけ流している。
浴槽の底が玉砂利を敷き詰めた様に造ってあり、なかなか心地よい。
薬湯と言うと何かドロドロとした濃い源泉を思い浮かべるが、見た目が個性に乏しいアル単のこの湯こそ、1300年に渡って人々を癒し続けてきた名湯なのである。
実際、いくら飲んでも飲み飽きないというか、非常に美味しい。
後に触れるが宿ではこの温泉水で煮炊きをしており、これまたちょっと驚くべき美味しさ。
そしていくら浸かっても湯もたれしない、包み込むような浴感。
成分表の数値には決して現れてくることのない、長い年月で何度も試され確認されてきたその効能。
どうやっても良くならなかったアトピー性皮膚炎を患ってられるとある人は、仕事上泊まることができないので毎日のように芦屋市から通い、ついにほぼ治したという。
進行したガンを患ってられるとある人は定期的に車で通って何百リットルとここの温泉をポリタンクで持ち帰り、飲用を続けガンを消したという。
このような話は全国の温泉でよく聞かれるが、この出雲湯村温泉でもそんな話には枚挙にいとまが無い。
ウチの両親も実際自分でその湯を体感し、ある意味この湯に賭けようと思ったらしい。
温泉は宿を通じて定期的に取り寄せることにし、またできる限り通うつもりで母も落葉マークをつけながら長距離運転を頑張る気になっている(父は免許を持ってない)。
温泉はアル単に始まりアル単に終わるとは誰が言ったか知らないが、まさにそう言う意味で究極の温泉なのかもしれない。
話が長くなった。
次に露天風呂。
囲いがあるためそばに流れる斐伊川の景観はあまり眺められないが、外気に触れて少しぬる目適温の湯。
もちろん何もいじらない完全かけ流し。
たまたまかもしれないが、朝入ったときには少し泡が付いた。
ぬるいと感じたらメイン浴場に戻ればよい。
貸切家族風呂は通常は1050円だが宿泊者はやはり無料。
こちらは湯口からの湯量がわざと絞ってあり、若干ぬる目である。
壁の材質がカビが生えやすいため、湯気を減らすようにそうしてあるとのこと。
冬期にここだけ入るのはあまりオススメしない。
ぜひメイン浴槽のほぼ源泉温度の湯を味わってもらいたい。
オマケ程度に足湯はこんな感じ。
これは誰でも無料で利用できる。
この奥には斐伊川を眺めながらくつろげるデッキがある。
さすがに寒くて誰も居なかった。
この共同湯を少し川上に行ったところに実はジモ専の浴場がある。
もちろん一般入浴不可である。
これは未湯であるが、写真だけ。
でも地元の人も共同湯の方を利用している人が多いようだった。
源泉は同じなようだし。
さて、次は宿の話の前に、出雲湯村温泉を湯マニアの中でもう一つ有名にしている斐伊川沿いにある足元湧出の露天風呂へ続く。
出雲湯村温泉 元湯共同浴場
島根県雲南市木次町湯村1336
0854-48-0513(湯乃上館)
入浴料 320円(湯乃上館に宿泊の場合は無料)
アルカリ性単純温泉(アルカリ性・低張性・高温泉)
42.6度
成分総計0.46g/kg
無色透明
ほぼ無味無臭
柔らかくスベスベ感あり
完全かけ流し











