ここのところ温泉に行けてないんですわ。
まあ週末に「音泉温楽2010」 があるし、それまでにも1~2湯ぐらいはいけるかもしれないけど、かなり浴欲が溜まってきております。
と言うわけで、なかば仕方なくだけど、以前にやはり温泉に行けてないときにネタにした温泉本コレクションの紹介シリーズ をまたやります。
にっぽん湯どころある記
「粋人博士の温泉随筆 経済学博士 岡部寛之著」
昭和40年に発刊されたこの本の著者・岡部寛之氏は経済学博士となっているが、経歴については詳しく載っていない。
つまり経歴を載せるまでもない、当時の有名人だったわけだ。
確かに軽くググるとすぐヒットする。
昭和4~50年代に一世を風靡した「稀代の個人投資家」。
いまだにそちらの分野では人気があり、投資関係の著書は高値で取引されているらしい。
家族ももたず出世にも興味なく自由人であり続けた人のようだ。
そんな著者は、この本以外にも温泉関係の著作があるが、もちろん今で言う温泉ガイドブックの類ではない。
前に紹介した「日本列島マル秘温泉旅行 」と同じように、泉質だかけ流しだアメニティだなんて視点でない、いかに男目線の温泉情緒を楽しむかのエッセイだ。
もちろん具体的な温泉名は上げられており、有名な全国の歓楽地温泉に混じって、青森の恐山温泉や富山の鐘釣温泉なども取り上げられている。
そのどれもが「エロ」視点![]()
もう見事なまでに。
芸者や女中さんとの戯れならわかるが、そんな女性が居ない、たとえば山奥の鐘釣温泉の章だと、夜中に露天風呂で自慰にふける若き「砂の女」のような女性…となる。
ホントかウソかなんて野暮なことは言わず、これぞ昭和高度成長期に興った温泉ブームの幻影だ。
そんな話は前回 もしたが、日本の温泉文化の厚みは、実はここにもあることを確認させてくれる。
最近はTV番組でもガイドブックに載らない野湯などが取り上げられいる。
温泉好きとしてはそういった流れは、本物の温泉に目を向けるきっかけになるひとつとして、好ましいとは思う。
ぼくもそれぞれの湯が持つ成分的本質に向かいそれを味わうことを最大の目的として湯巡りをしているが、共同湯や温泉銭湯などを巡っていると、泉質や湯使いを超えた、日本の湯文化の大きなうねりを文字通り肌で感じることも多い。
この本は昭和の壁を隔ててはいるものの、間違いなくその延長線上にある。
岡部寛之著の温泉本、もっと強烈なのを所持しているが、それはまたの機会に。
