前の事業所勤務時代、とある企業様の元代表の方のお別れの会に参列したときのことです。永く会社の高額商品をお求め下さっている企業様でもあるので訪問させて戴いたのですが、葬儀業のホールではなく、ホテルで執り行われました。
どこでどうなったのか、なぜか私は祭壇向かってほぼ中央、最前列の席に案内されました。すぐそば真ん中の席には、とある業界でかなり著名な方が座っておられます。
私ごときがこんな席に着いていいものか、かと言ってこのような状況下では辞退も出来ません。
どのような業界のお方か...。ある社会集団の、と書いておきますが、その方が代表として弔辞を読み上げられたときのことです。
「故人は○○□□型という車両がお好きでした」
時代考証を鑑みて、○○には三等中間電動車を表す片仮名二文字、□□には算用数字二桁が入ります。
ちなみに私には、これがどのような車両だったかすぐには思い浮かばないのですが。
このような広い会場、たくさんの列席者を前に読み上げられるお別れの言葉、故人はよほどこの車両がお好きだったのでしょう。そしてこの著名な方もある程度車両のことをご存知で、ひょっとしたら鉄の方なのかもわかりません。
私は直接故人とお会いしたことはなかったのですが、この著名な方にお伺いすれば詳しいことが分かるのかも知れません。でも、足元にも及ばないほど高貴な方、私がご挨拶出来るような立場ではありません。ましてこのような席では。
先輩セールスマンがこの方とお取り引きさせて戴いていたのでそこから訊いてみるというのは.....もちろん実行していません。
この先輩セールスマン、これまた別の著名人とも取り引きがあって、その方も鉄の方なのです。来社されたときは私は先輩に取り次ぐ役回りであったため、この方とは直接商談や名刺交換をしたことはありません。全国的に有名な方で、来社時に名前を伺ったり、名刺をお預かりするとそれこそ失礼になりますから。
別の日、葬儀業ホールで私の身内の葬儀受け付けをしていたとき、その鉄の著名人がひょっこりとおひとりでお出でになったのです。当時はSPの取り巻きが居られた方がおひとりで来場され、慌てたってなんのって。でも記帳受け付けですから、当然名刺はお預かり出来ました。しかし、これはあくまでもご参列としてお預かりした名刺です。
鉄の方としてもう1枚戴くようお願いするのは.....もちろん実行していません。
