※ 前回の続きです。
(私用でだいぶ間が空いてしまいました。続きを楽しみにして下さった方々、ごめんなさい)
 
 

大会の朝、ププ姉妹が私の髪に中庭に咲いていたハイビスカスの花を挿してくれました。

 

 

大会会場は海辺のコンベンションホールでした。

(注)写真は全てイメージです。

 

 

壁は無く、海風が気持ち良く通る会場です。本会場はタヒチ語、サブ会場はフランス語のみだったので我々はププ姉妹の家族と一緒に本会場に座りました。一言も理解できませんがJW大会の講演なんて何語で聴いても意味不明なので、言葉が分からないのは全く気になりませんでした。

 

何だかディズニーランドの「魅惑のチキルーム」を連想させる会場だなぁと思いながら、旅の疲れもあって私は深い眠りに落ちました。

 

母も爆睡していたので、怒られなかったのはラッキーでした。

 

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昼休み、私はサラと一緒に給食部門の自発奉仕に参加しました。

芝生の庭に並べられた長テーブルに一列に並び、バゲットサンドを作るのです。

 

 

端からバゲットに切り込みを入れる人、バターを塗る人、チーズやハム、野菜を挟む人や最後に紙で包んで渡す人、とそれぞれの係が決まっていました。

 

私はチーズ係です。

 

昼食タイムが始まってサンドイッチを受け取る人の列がどんどん長くなってきたので、私は素早く見栄え良くチーズを挟んでササっと隣の人に渡す事に集中していましたが、タヒチの姉妹たちはすぐに手を止めてお喋りをしながら作業をするので中々サンドイッチが仕上がりません。

 

チーズを挟んだバゲットだけがどんどん山積みになっていきましたが、並んでいる人たちも一向に気にする事なく、自分の順番が回って来るのをただのんびりと待っているようでした。

十代の私は日本とタヒチでは流れる時間の早さが全然違うんだな~と感心したものです。

 

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2日目だったと思いますが、午前のプログラムが終わるとバプテスマ、つまり洗礼の時間でした。

私が今までに見たことのあるバプテスマは全て会場に設置されたプールで行なわれましたが、驚いた事にタヒチでは目の前の透明な海でバプテスマを受けるのです。

 

南国風の生演奏とコーラスが流れる中、男性は腰巻、女性はパレオを着用して海の中で待っている二人の兄弟たちに支えられ、鼻をつまんで仰向けに水没します。

水から上がった新しい信者たちは盛大な拍手で迎えられ、この日のために手作りで用意された生花のレイを首に掛けられ、皆から祝福のキスを受け取ります。

 

 

何とも感動的なひと時でした。

私もこんな美しい海でなら毎日でもバプテスマを受けたい!と思いました。

 

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タヒチに滞在中、私たちは家から家の宣教奉仕にも参加しました。

 

日本のように一か所に集まって司会者の指示通りにブロックを囲むという方法では無く、区域カードを受け取ったらそれぞれの車に乗り合わせて出発し、宣教が終わったらそのまま自然解散します。

 

私たちは海辺の真っ直ぐな大通りを一軒一軒訪ねて歩きました。門前払いされるようなことは無く、家の人は見知らぬ訪問者との会話をとても楽しんでいる様子でした。ほとんどの住民がキリスト教徒なので、聖書からの話は抵抗なく受け入れてくれます。

 

奉仕の終わりがけ、姉さんのマリーがこの近くの山に再訪問の家があるから寄って行く、と言いました。サラは両肩を震わせ、怖いから行きたくないというジェスチャーをしながらも、

 

「プー子、行く。プー子、きっと好き」

 

と言いました。

 

何だろう?吠える犬でもいるのかな?と思いながら私はマリーの後に続いてジャングルに足を踏み入れました。

 

 

近道なのか、人がやっと一人通れるくらいの細道をぐんぐん登っていきます。ジャングルはうっそうとして陽の光がほとんど届かず、湿気を含んだ空気に息もつまりそうです。幾つかの沢を飛び越えながらやっとトタン屋根の素朴な造りの家に辿り着きました。

 

マリーと同じくらいの年齢の女性が嬉しそうに我々を迎えてくれ、新しい雑誌を受け取るとしばらくマリーと談笑していました。言葉は分かりませんが、聖書の話というより世間話を楽しんでいる様子でした。帰りがけにマリーがその女性に「ねぇ、この子にあれを見せてあげてよ」的な事を言ったのが分かりました。

 

女性はにっこりうなずくと、家の中から古いバゲットを取って来ると私たちを裏庭に案内しました。

裏庭には沢を引き込んだ小さな池があり、私はちぎったバゲットを持った手を水の中に入れるように言われました。鯉かな?それともカメかな?と動物好きな私はワクワクしましたが、ゆらりと現れた巨大な黒い影に私は腰を抜かしそうになりました。

 

それは豆柴くらいの頭を持った、特大の黒いウナギでした。

 

「ノースネーク?イール(ウナギ)?」

 

私は何度も確認してからもう一度バゲットを差し出しました。

ウナギはまるで猫が甘えてすり寄るように私の腕に胴体を押し当て、優しくそっと指の間からバゲットを受け取りました。まるで人の気持ちが分かるような繊細さに私は感動しました。

 

女性は静かに鼻歌を歌いながら水の中に手を入れました。

ウナギはこのひと時を待っていたかのように彼女の手の平に頭を預け、長い胴体を撫でてもらって気持ちよさそうにしていました。

 

車に戻るとサラが「どうだった?あれ、見た?」と尋ねるような表情で私を待っていました。

私はウナギの真似をして体をくねらせながら、

 

「ギャオ~~」

 

と両手でサラの頭をつかみ、二人でゲラゲラと笑い転げました。

 

タヒチでは大会も宣教奉仕も日本と比べてずっとストレスが少ない印象でした。JWがどうのと言うより、タヒチ人の大らかな気質と過ごしやすい風土が創り上げた心地良さだったのではと思います。

 

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次回はタヒチ島のお隣にあるモーレア島に足を延ばした時の事を書きます。

 

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おまけ

ヤップ島のエピソードはこちら↓↓↓