町田そのこさんの小説『うつくしが丘の不幸の家』を読み終えました。
2019年に単行本発刊、2022年に文庫本化された作品です。
僕が、町田さんの作品を読むのは、本屋大賞を受賞された『52ヘルツのクジラたち』、『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』、そして、『コンビニ兄弟テンダネス門司港こがね村店』、』『コンビニ兄弟2―テンダネス門司港こがね村店―』、『コンビニ兄弟3―テンダネス門司港こがね村店―』、『コンビニ兄弟4-テンダネス門司港こがね村店』のコンビニ兄弟シリーズに続き、7作品目。ハートフルな作品を書かれることに好感を持っています。
*表紙の画像はネットからお借りしました
出版元の東京創元社のHPで、本作は以下のように紹介されています。
内容紹介
海を見下ろす住宅地『うつくしが丘』に建つ、築25年の三階建て一軒家を購入した美保理と譲。一階を念願の美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々が始まるはずだった。だが開店二日前、偶然通りがかった住民から「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われてしまい……。わたしが不幸かどうかを決めるのは、家でも他人でもない。わたしたち、この家で暮らして本当によかった──。「不幸の家」で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の物語。本屋大賞受賞作家による、心温まる傑作小説。解説=瀧井朝世
目次
第一章 おわりの家――美容室開業に選んだ家を「不幸の家」と言われた女性。
第二章 ままごとの家――不仲の夫、家でした娘、反抗的な息子、迷える妻。
第三章 さなぎの家――男に騙された女性と、幼い娘を抱えたシングルマザー。
第四章 夢喰いの家――不妊治療がうまくいかず、離婚届を書いた年の差夫婦。
第五章 しあわせの家――恋人が置いていった子供と、かつて父に捨てられた私。
エピローグ
巻末・解説より
本作「うつくしが丘の不幸の家」』の舞台は、海を見下ろす丘に広がる住宅地にある、三階建 ての一軒家。連作短編集で、章が移るごとに主人公が前章の一代前の入居者となり、時間を週る形で歴代の住人たちの物語が編まれていく。それぞれ異なる事情があり、家族構成もばらばらで、自分たちで選んでここに引っ越してきた人もいれば、他に居場所がなくてやってきた人もいる。
誰かが幸せか不幸せかだなんて、他人が決めることで はない。当事者の事情や心情を知りもしないで何かを決めつけるのは勝手で傲慢である。幸不幸に限らず、生き方や価値観は人それぞれで、他人に判断されるものでも、押し付けられるも のでもない、と本作からは伝わってくる。
著者は、こう語っている。
「私、読み終えた後に「明日も頑張ろう」って思えるものを書く、というのが原点なんですよ。
私の本を読んだ後に「明日も、ちょっとだけでも頑張 ろう」と思ってもらえたら」
町田作品には本屋大賞受賞作『52ヘルツのクジラたち』や『星を掬う」のような必涙作品もあれば、「コンビニ兄弟』のようなコミカルで笑わせる小説もあるが、どの作品にも共通点がある。ひとつは、時に今この社会のどこかで誰かが実際に体験しているような厳しい現実が盛り込まれること、もうひとつは、そんな現実と向き合う姿を描いて、最後には必ず読者の背中を押してくれること。本作もまた、間違いなくそんな一作なのである。
