一昨日の3/12に京都市交響楽団 第665回定期演奏会を聴きに京都コンサートホールに行ってきました。

フライヤーに記載されているように、広上淳一さんの常任指揮者14年間の最終章となる演奏会の1日目です。 

メゾソプラノの藤村実穂子さんをソリストに迎え、マーラーの交響曲第3番の一本勝負の予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で「京都市少年合唱団」の出演が困難となり、以下に記載したプログラムに変更となりました。

出演

常任指揮者兼芸術顧問:広上 淳一

メゾ・ソプラノ:藤村 実穂子

コーラス:京響コーラス(女声)

管弦楽:京都市交響楽団

コンサートマスター:石田泰尚

 

プログラム

前半

尾高惇忠:女声合唱曲集「春の岬に来て」から「甃のうへ」「子守唄」(合唱:京響コーラス)

マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌曲(メゾ・ソプラノ:藤村 実穂子)

 1.美しさゆえに愛するなら

 2.私の歌を見ないで

 3.優しい香りを吸い込んだ

 4.真夜中に

 5.私はこの世から姿を消した

後半

マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」

 第1楽章 ゆっくりと、引きずるように、自然音のように
 第2楽章 力強い動きをもって、しかし速すぎずに
 第3楽章 厳粛に悠然と、引きずられずに
 第4楽章 嵐のように速く

 

アンコール 尾高惇忠:「子守唄」

 

ホール内のホワイエには、笑みを浮かべ、指揮をする広上さんの大きな写真が飾られていました。

僕は、クラシックを聴き始めた頃は、「変な動きやし、気合が入ると唸るし、なんやねん、このちっちゃいオッサンは!」という印象が強く、あまり好きではなかったのですが、コンサートに通ううちに、演奏される音楽を身体全体で表現しオケの素晴らしい演奏を引き出す姿を見るにつけ、苦手意識は消え、今ではすっかりファンになりました。

 
下方に貼り付けた画像は、京響のFacebookページからお借りした、1日目の定期の写真です。
いつもの定期同様、指揮者のプレトークがあるので、開演30分前の14時頃、広上さんがステージに登場(写真①)。
プログラム変更について、集大成にはむしろ良かったのではないかと思っていると言われました。
理由は、昨年6月の定期では、広上さんの師匠である尾高惇忠さんのヴァイオリン協奏曲を世界初演(★)されましたが、やはり、今回も尾高さんの美しい歌唱集の作品を京響コーラスと披露出来ること、また、ソリストの藤村さんの歌唱も交響曲3番なら5分程度なのに対し、リュッケルトの詩による5つの歌曲なら、たっぷり20分聴けること、そして、メインプロの「巨人」は広上さんと京響が信頼関係を築き飛躍を遂げるに至った記念の曲であること、だからとのこと。
ということで、僕も少し残念かなと思っていましたが、プレトークを聞いてむしろ楽しみになりました。
 
最初の、尾高惇忠さんの女声合唱曲集「春の岬に来て」から「甃のうへ」「子守唄」では、オケの編成は弦5部16-14-12-10-8。
コンマスは、特別客演コンサートマスターの石田泰尚さん、アシスタントコンマスに泉原隆志さんが入るWコンマス。
写真②のように空席にしてあったP席に51名の京響コーラス(女声)が登場。初めて聴く曲でしたが、温かく素朴な感じがして、とても美しい。コーラスの皆さんはマスクをしたままの歌唱でしたが、それでも素晴らしい歌声だったと思います。
 
続いて、藤村実穂子さんが写真➂のような真っ赤なドレスで登場。
オケの編成は、10-10-8-6-4となりました。
僕は恥ずかしながら、藤村さんのことを全然知りませんでしたが、日本を代表するメゾ・ソプラノ歌手で主役級として、日本人で初めてバイロイト音楽祭にデビューし、9シーズン連続出演をされたり、MET、スカラ座、ウィーン国立歌劇場等々に出演すると共に、ウィーンフィル、ベルリンフィル、RCO等々のオケとも共演されたとの凄い方。広上さんの節目を祝っての出演ではないかと思います。
「リュッケルトの詩による5つの歌曲」も初めて聴く歌曲でしたが、藤村さんは、力強いけどクリアで美しく心に染み込んでくる、とてもとても素晴らしい歌唱でした!
 
後半は、「巨人」。この曲を聴くのは、昨年9月、びわ湖ホールでの沼尻竜典芸術監督指揮による今回と同じく京響の演奏(★)を聴いて以来。
同じオケでしたが、びわ湖の時は、結構早めの演奏で躍動感はありましたが、今回の演奏は、それよりは遅めながら丁寧だったように感じられ、感動も圧倒的に大きかったというのが正直な感想です。
広上さんは、指揮台上を動き回り、ダンスのように舞ったり、ラジオ体操的な手の動きがあったりもしましたが、オケに的確に指示を出し、いつもにも増して素晴らしい演奏を引き出していました。
弦は厚みがすごくあり、第1楽章のバンダのトランペットの演奏を始め金管もすごくなっていたし、鳥のさえずりのような小谷口さんのクラリネットなど木管の音もよく響いていました。
特に僕がいいなと思ったのは、第3楽章の冒頭、首席奏者の中山航介さんのティンパニの伴奏で、コントラバス首席の黒川冬貴さんが奏でた深い音色の独奏と第4楽章クライマックスのホルン・トランペット・トロンボーンの立奏を含む盛り上がり。
演奏が終わる間際から感動で少しウルっときました!
 
数度のカーテンコール後、広上さんがマイクを持って登場。
14年の京響との歩みを振り返り、オケが成長したこと、を本当に喜んでおられました。
元々、潜在能力のあったオケが「お客様とオケのメンバー自身の努力」によって成長し、自分もオケに育ててもらった、それをまたオケにフィードバックしてオケがまた成長して、今度は指揮者が育つというスパイラルアップが重要だと思っているというようなこともおっしゃいました。
アンコールとして、もう一度、「子守歌」をお送りしますとのことで、再登場した京響コーラスと共に、〆に相応しい演奏でお開きとなりました。
 
京都コンサートホールの館長は継続されるし、京響との関わりも死ぬまで続けるとおっしゃいましたが、やはり節目の演奏会ということで、2日公演なのに客入りは80%以上。放送日は未定とのことですが、NHKのテレビ収録もされていました。
開演14時30分、休憩20分を挟み、終演16時55分。とても感動の大きい素晴らしい演奏会でした。 
 
以下3枚の写真は京響のFacebookページからお借りしました。

写真① プレトークの様子

 
写真② P席に登場した京響コーラス(女声)と16型のオケ
 
写真➂ 真っ赤なドレスの藤村実穂子さん
 
プログラムには、退任のメッセージも掲載されていました。広上さん、本当にありがとうございました。