好みの作家、瀬尾まいこさんの『あと少し、もう少し』という本を読みました。
この前、読んだ2017年発刊の『君が夏を走らせる』(★)に繋がる話で2012年に刊行されています。
*写真はネットからお借りしました
新潮社のHPでは、以下のように紹介されています。
「寄せ集めのメンバーがぶつかり合いながら挑む中学最後の駅伝大会。感涙必至の青春小説。
陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。」
物語は、駅伝を走る6人の少年が、1区ごとに駅伝に参加するまでに起こった出来事から、どのように本番に臨んだか、そして、どういう想いで走り、次の走者に襷を繋いだかが、各々、第1人称で語っているように綴られています。
各人なりのエピソードがあり、何れも心を打たれる内容ですが、それが襷のリレーで繋がっていくので、感動が増します。
また、第1人称で語る部分はありませんが、陸上とは無縁の美術教師で素人顧問の上原先生という女性キャラクターの言動もハートフルに物語を装飾しています。
中学生にしては、各自、しっかりとした考えを持ちすぎでは?
僕が中学生の時はもっとのほほんと生きていたけどな、と思うところはあるし、
高校生の話にしてもいいのでは?
という感じもしますが、全体的には、とてもいい作品だったなと思っています。
箱根駅伝を題材にした小説、三浦しをんさんの『風が強く吹いている』(★)を読んだときには、この作品以上に感動し、読みながら涙しましたが、その三浦しをんさんが、この本の巻末で「思いと言葉は襷のように」と題して書評を書かれています。
「走ることを描く小説は、なぜこんなにも、ひとの本質に迫ることができるのだろう。」という書き出しで始まり、「私たちは決して、決して、一人ではない。あなたがだれかを思うとき、だれかがあなたを思っている。必ず。そう信じて前進ずる姿は、なんと崇高なのだろう。」と綴られています。
この作品も『風が強く吹いている』同様、その崇高な姿が襷リレーという形で描かれている作品と思います。
今夜は、辻井伸行くんのリサイタルを聴きに、びわ湖ホールに行ってきます。
