下のような お話。

こんな風に 親子で話し合えるなんて ステキね。


特に お金のこと 将来の夢


今の日本の子供達の現状に とっても危機感を抱いている私は

こういう お話が 好きよ。


みなさんは どう 思います?


東洋経済さんから お借りしました。 ありがとうございました。 m(_ _)m


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息子にも説明できない所得格差の根深さ」ハーバード大学教授 ケネス・ロゴフ(1)

(2007/12/03)
 今、世の中には天文学的な大きさの所得格差が存在する。私は11歳になる息子のガブリエルに、その格差について説明する必要があると考えている。rogoff
 
 私の息子は数年前、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツを知った。オランダ政府主催の会議の席で、私が彼の前座役を務めたからだ。それ以降、ガブリエルは、「自分もゲイツのようになれば、600億ドルもの富を得られる」と興奮している。
 
 私が息子に、「美術館に飾られた絵画のように、世の中にはおカネ以上に価値あるものもある」と話しても、彼はいつも、「でもビル・ゲイツは、その絵を買うことができるでしょ」と答える。確かにそのとおりだ。ゲイツは絵画どころか、美術館さえ買い取ることができる。しかしゲイツは、買い取った美術館をひととおり観て回ったら、おそらく一般に公開するだろう。だからゲイツにとって、美術館を買うことに意味はない。そう説明しても、息子はなかなか納得してくれない。

 息子は大人になったら、プロのバスケットボール選手になるのが夢だ。だが、もし選手になれなかったら、おカネを出してチームを買い取ろうと決めているようだ。私が息子に、「NBAに所属しているチームを買い取るには、3億ドルから5億ドルがかかるぞ」と言っても、彼は「でもゲイツなら買い取ることができるでしょ。リーグ全体だって買い取ることができるでしょ」と返してくる。

 美術館の絵画やバスケットボールのチームを簡単に買うことができるのは、何もビル・ゲイツだけではない。『フォーブス』誌に掲載された「アメリカの長者番付」によると、マイケル・ブルームバーグ・ニューヨーク市長を含む高額所得者の上位9名は、昨年1年間で50億ドルから90億ドルもの資産を増やしたという。この9名の収入を合計すると550億ドルにも達する。この額は100カ国以上もの国の国民所得を上回っているのである。

 こうした天文学的な金額を理解させるために、私は息子に「アメリカで最も豊かな9名になるためには、寝食の時間を含めて、1秒当たり少なくとも150ドルは稼がなければならない」と話した。その額を稼ぐということは、1分当たり9000ドル、1時間当たり54万ドル稼ぐということだ。

 今や、このような高額所得者と、世界中にいる貧困層との格差は顕著である。仮に、先に述べた高額所得者9名が、所得を全額貧困層の人々に寄付したとすれば、100万人の貧しい人々を3カ月間養うことができる。もちろんゲイツや投資家ウォーレン・バフェットといった高額所得者は、既に何百億ドルもの資金を寄付している。息子も、ゲイツやバフェットに限らず、世界中の資産家が、恵まれない人に寄付している事実を知っている。



だが、重要なのは“寄付”ではない。仮に貧困が寄付で解決できると考える人がいれば、それは浅はかだ。貧困問題に真剣に取り組む学者であれば、豊かな国が市場を開放し、貧しい国の社会的インフラを支援することで、貧困問題を真の解決に導くことができると考えているはずだ。

 貧困問題を解決に導いた国として挙がるのは、中国とインドである。両国は独力で貧困から抜け出した。しかし、両国が成功した理由は複雑すぎて、とても私から息子に説明できそうにない。では息子にはどのようにして、この格差の問題について説明すればいいのだろうか。

 高額所得者と貧困層との格差拡大は、急速な経済成長の影の部分として、避けられない事実なのだろうか。歴史を振り返ると、答えは「イエス」である。中国の1970年以降の経済成長は、人類史上類を見ないほどの速さで、所得配分の格差を生んでいる。もはや中国国内の格差は、アメリカを追い越し、ラテンアメリカのレベルにまで近づきつつある。

 こうした所得格差を、国の政策で解決することは容易ではない。高額所得者の多くは、自らの創造性で大きな付加価値を生んでいる。イギリスでは、投資収益に対して異例ともいえる優遇措置を与え、裕福な外国人を積極的に受け入れている。しかも高額所得者は、国境を越えて移動できる。1時間当たり54万ドルを稼げる人は、ロンドンにだってアパートを買うことができるのだ。

 また、高額所得者に税金を課すといっても限界がある。アメリカの上位9名の高額所得者は、ヒラリー・クリントン上院議員が大統領選挙のために四半期かけて集めた選挙資金を上回る金額を、わずか2日間で稼ぎ出しているのだ。いま世界は、こうした高額所得者に高い税金を課すより、適切な非課税枠を設定し、均一税率を適用する方向に動いている。旧来の複雑な税制を維持することは、もはや困難になってきている。いま抜本的な税制改革に向かっている国は少ないのが現状だ。

 私は子供の世代が、現在のような経済の効率性だけでなく、人として平等が保たれた社会に育ってほしいと願っている。どうすれば、そうした社会を実現できるのか。息子に問うと、彼は「自分で考えてみる」と答えた。

ケネス・ロゴフ
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名をはせる。