「まってー!」
息を切らしながら叫んでも、3つ上の姉と友達はからかうように笑いながら走って行ってしまい、のろまなわたしは置いてけぼりにされる。

このあいだの日曜日、父にねだって買ってもらったビニール製の「きらきらのサンダル」はとても走りにくいうえに、くるぶしのあたりが擦れて血がにじんてきた。

姉たちを見失ったわたしはヒリヒリと焼け付くように痛む足を引きずりながら、泣きべそで家へ戻るしかなかった。
汗と涙と鼻水で夏休みの西日がいやに眩しかった。

「また、ミサだけ買ってもらってる。」
「お父さんはほんまにミサに甘いんやから。」

そんな姉と母の冷ややかな視線なんて気にせず、値札を切ってもらったばかりのその「きらきらのサンダル」を履き、見せびらかすように鏡の前に立つ。

つま先に小さなフルーツの飾りがついて、見るたび有頂天になれるほどわたしは幼かった。
と同時にどうしようもないほど、わがままな甘ったれであった。

そうか、あのとき、姉が待ってくれなかったのは、自分だけ欲しいものを買ってもらえる妹に対する、ちいさな仕返しだったのか。

ふと30年も昔の夏の出来事が鮮やかによみがえり、あのときの姉の気持ちをやっと理解できた金曜日の深夜。