子育てと家事に追われる日々を過ごしていると、ふと甘酸っぱいものに触れたくなり、久しぶりにジブリ映画の「耳をすませば」を観た。


青春と言えばカントリーロードである。

夏休みの校舎、片想い、坂道、2人乗りの自転車。

最後に観たのはたしか、わたしが高校生の頃。

当時の甘じょっぱい感覚が蘇るかもしれないとTSUTAYAでレンタルした。


本当に驚いたことに、これが全く違う作品になってた。


作品自体は変わる訳ないので正しく表現するなら、変わったのはわたしの受け止め方だ。

三児の母として奮闘する主婦が観賞するとこうも変わるものなのか。

もはや、雫と天沢聖司は脇役となり、早々に舞台袖へ退場した。

カントリーロードもどっかいった。


まず、主人公が雫ではなくなっていた。

雫の姉の汐(しほ)が主人公である。

同じ家庭を支える者として敬愛をこめて、以下、しほ姉と呼ばせてもらうこととする。


しほ姉は現役の大学生でありながら、家族のために家庭をブイブイ回している人物だ。


夏休みだというのに、しほ姉は叔母さんの家から帰ってくるなり、ひたすら家事をこなす。


彼女の夏休みの一日はこうだ。


トイレと風呂場に玄関掃除して、生協に行って、布団を取り込んで、買い物をして、晩ごはんの支度をする。

ついでに空想しがちな中3の妹(※雫)の生活指導まで、実に多岐にわたる。

こんなに家族のためを思って献身的に尽くしているというのに、雫目線だと彼女はただのガミガミと口うるさいお姉ちゃんである。


しほ姉の青春どこいったんや…しほ姉にもカントリーロードさせてやってくれよ…

本来の雫と天沢聖司のピュアラブストーリーが全くもって頭に入ってこない。


しほ姉だけ家事フル稼働なのなんでなん。


大学の課題や卒論もあるはずなのに、どうか彼女にも学生生活を謳歌させてあげて欲しい。

サークルで友達とワイワイしたり、カフェで恋バナしたり、飲み会でオールしたりして欲しい。


甘酸っぱい青春ストーリーだったはずの「耳をすませば」は、気づかぬうちに、しほ姉スピンオフ『家事をすませば』の物語に変貌をとげていた。


更に二十年後に観たら、次はどのキャラクターに感情移入するのだろうか。


そんなことをぼんやり考えながら、カントリーロードを口ずさみ、今日もまた洗濯物を干すのである。