先日、ある先輩陶芸家の方が言いました。
「いつまで元気に制作ができるかしら?
と考えると、そろそろ自分の作品に
集中する時間をしっかり持ちたい!
と思うのよ。」
確かに、作品によっては
体力勝負のことも多々ある故に、
人ごとではないなぁ。と
身が引き締まってしまった
陶芸家の辻本喜代美です。
「好きだから」では説明つかないもの
ふと気づけば、
ずっと続けていることがあります。
「どうしてこんなに
長く続けられているんだろう?」と
考えてみると、それはただ「好きだから」
では説明できないものだと感じます。
例えば、私にとって陶芸は、
人生と深くつながる大切な仕事。
作品をつくることは、自分の内側を表現する
“もうひとつの言葉”のようなものです。
だからこそ、無理なく、
自然と続いてきたのだと思います。
幼い頃の私と、言葉にならない思い
「なんでそんなに楽しそうに話せるのですか?」
最近、こんな言葉をかけられることが増えました。
でも、実は私、子どもの頃からわりと大人の年齢まで
自分の気持ちを口に出すことがとても苦手でした。
家族で食事に行って、
「何でも好きなものを選んでいいよ」と言われても、
「なんでもいい。」と、つい他の人に合わせてしまう。
本当はこれが食べたいのに、妥協してしまう。
その背景には、厳しい祖母の存在がありました。
「無駄遣いはいけない」「わがままはいけない」——
そんな価値観が無意識に私の心に刻まれ、
素直な気持ちを出すことを
避ける習慣が身についていたのです。
陶芸との出会いがもたらした変化
18歳の頃、陶芸に出会いました。
ある作家の作品に出会い。その自由な表現から
陶芸を本格的に学びたい!と美術大学に入りました。
そして言葉にならなかった自分の思いが、
手のひらからカタチとなって
現れることに気づきました。
作品を作る時間は静かで、口は沈黙しているのに、
心の中の感情や願いがそのまま表現される。
言葉にできなかった自分自身の気持ちが、
作品を通して伝わる瞬間があったのです。
この体験が、「陶芸は私にとっての言葉」だ
という確信に変わりました。
だからこそ、今も変わらず続けていられるのです。
長く続ける時に立ちはだかる壁
ただし、好きだからといって
長く続けられるわけではありません。
長く続けているものには、
必ず「向き合わなければいけない壁」が現れます。
それは、過去の辛い思い出や、
自分では見たくない部分に
向き合う時間だったりします。
私は、そういう時期に対して
遠回りをしたこともありました。
忙しい予定を詰め込み、
あえて違うことに集中する——
そうやって心を守ろうとしたこともあります。
でも振り返ると、その遠回りも
必要な時間だったのだと感じます。
それを経てこそ、自分の内側にある
本当に大切なものが見えてくるのです。
好きだからではなく
必要だから続けられる
私が長く陶芸を続けられている理由は、
単純に「好きだから、楽しいから」ではありません。
楽しい時間も確かにありますが、
陶芸は、私にとっては呼吸のように
必要不可欠なものだから。
言葉にできなかった思いを形にすること、
誰かに届けたいという願い——
それがあるからこそ、
今日も手を動かし続けているのです。
最後に
あなたが続けていることも、きっと
「好きだから」だけではないはずです。
自分にとって必要不可欠だから、
自然と手が伸び、時間をかけることができる。
そのことに気づいたとき、
あなたの中でまた新しい花が咲くかもしれません。
長く続けていることを、
ただ楽しむだけでなく、
深く味わう——
それが、人生をより豊かにする
秘訣のひとつなのだと思います。
「fantasies」/wool & jewelry & ceramic
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会期:10月3日〜11月2日(金土日)
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時間:12時〜18時(最終日17時まで)
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会場:Cafeギャラリー陶水花
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東京都立川市錦町5−1−13(アトリエ陶喜同地)

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