トクホ コラコーラの嘘
→ https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170410-00519526-shincho-life&p=1
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効き目ゼロ「難消化性デキストリン」が呼び起こした「怨嗟」と「矛盾」
デイリー新潮 4/10(月) 6:00配信
静岡県に住む46歳の男性会社員は、2012年に「ペプシスペシャル」が発売されて以来、なんと、1・5リットル入りのペットボトルを毎日飲み続けていた。夏場にはペットボトル2本を空にしてしまうこともあったというから、まさに“トクホコーラ漬け”の日々を送っていたわけだが、
「週刊新潮の記事を読んで、えーっ! と衝撃を受けました。騙された、と。だって、あれを読めば確かに効果ゼロなんだって分かるじゃないですか。愕然としましたし、怒りもこみ上げてきた。すぐにサントリーに電話しましたが、消費者庁から許可をもらっているので問題ありません、という対応で、余計に腹が立ちました」
そう怒りをぶちまける彼は計算してみたという。一体この商品にいくらつぎ込んでしまったのかを。
「単純計算で36万5000円。驚きましたよ。そんなにお金をかけて毎日飲んで、脂肪の排出を増加させることも吸収を抑制する効果もないなんて悪質な詐欺。訴えたいくらいです。現実的には時間とお金がかかるから裁判を起こすのは難しいでしょうが、泣き寝入りするのも悔しくて……」
本誌(「週刊新潮」)3月30日号では、トクホ全体の約3分の1を占める「難消化性デキストリン」(難デキ)が入った商品として「ペプシスペシャル」以外に「キリンメッツコーラ」、「からだすこやか茶W」、「食事と一緒に十六茶W」を取り上げた。
「ショックです。今年一番のショックです……」
と、うなだれるのは「すこやか茶」を愛飲してきた都内在住の女性会社員(29)。
「すごい衝撃でした。駅前のコンビニには置いてないので、わざわざ出勤前に遠回りしてまで毎朝買っていたんですよ、あのお茶を。今はそんな自分が不憫でならない。でも、どうりで痩せないわけだ、と納得する部分もありました」
何しろトクホの市場規模は約6400億円にもなるのだから、2人と同様に怨嗟の声を上げた人は数えきれないほどいたに違いない。彼らは言わば、トクホを崇め奉る「トクホ教」の信者だった。しかし本誌記事によって「洗脳」が解け、ある者は怒りに打ち震え、別の者はショックのあまり呆然としているわけだ。
何とも間の悪いことに、そんなタイミングで難デキ入りの新トクホコーラを発売した会社がある。3月27日から「コカ・コーラ プラス」の販売を始めた日本コカ・コーラ社である。
〈脂肪の吸収を抑え、食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする〉──これが新商品のキャッチコピーだ。トクホコーラの先行2商品は、〈脂肪の吸収を抑え、排出を増加させる〉というものだったが、新商品のコピーには、どこを探しても〈排出を増加させる〉という文言が見当たらない。一体どういうことなのか。
その背景が分かる資料が内閣府のHPで公開されている。トクホの有効性と安全性の評価について審議する「消費者委員会新開発食品調査部会」の議事録だ。昨年9月、「コカ・コーラ プラス」などについて審議された際の議事録を確認すると、元々、日本コカ・コーラ社は〈脂肪の排出を増加させる〉という文言も含まれたコピーの使用を求めていたことが分かる。しかし、消費者委員会側が、
〈キャッチコピーとして強調できるほど、製品として脂肪の排出を増加させるのかを確認するため、その根拠の説明を求めました〉
すると、日本コカ・コーラ社は、
〈許可表示から「排出を増加させ」を消去し、キャッチコピーも修正〉
してきたといい、それ故、成分が同じトクホコーラなのにコピーが異なる、という珍妙な現象が起こってしまったのである。
〈消費者はパッケージの裏面を見て比べたりする、すると、こちらに書いてあってこちらに書いていない。そういう状況がいいのか、どうなのでしょうか〉(審議の席での委員の意見)
本誌3月30日号で難デキの効能を裏付ける論文の「嘘」を看破した千葉大学名誉教授の山本啓一氏(生理学・生化学)が言う。
「おそらく、各企業は、難デキには脂肪の排出を促すことで身体への吸収を抑制する効果はない、と認識し始めたのでしょう」
おさらいしておくと、難デキに脂肪の吸収を抑える効果がある、と謳うトクホの多くは特定の2つの論文を根拠として取り上げている。難デキの国内シェア8割を誇る松谷化学工業の研究者などが2007年と09年に発表した論文で、山本氏はそこに以下のような「嘘」が含まれていることを指摘した。
◎〈09年論文〉では、難デキを摂取した実験群は未摂取の対照群の倍の量の脂肪が糞便として排出された、との実験結果が明らかにされているが、これは数字上のゴマカシ。糞便として排出されなかった脂肪量の割合は実験群が97・4%、対照群が98・6%でその差は1・2%。これは生物学の世界では誤差の範囲で、故に難デキには脂肪の吸収を抑制する効果はない。
◎〈07年論文〉では、難デキの量が5グラムの実験群の血中の脂肪の減少率は27・2%で、難デキ10グラムの実験群では20・1%になっている。難デキの量が2倍になっているのに効果が下がるのは、科学的にあり得ないこと──。
新発売された「コカ・コーラ プラス」の根拠論文で触れられているのは、〈07年論文〉のみだが、
「実は、血中の脂肪の減少率が異様に大きな値を示したのは、松谷のこの実験だけ。その後、各企業が実験を重ねるごとに値はどんどん落ちてきているのです」
と、山本氏は言う。
「08年に発表された『からだすこやか茶W』の根拠論文では、難デキ5・2グラムを摂取して約16%の減少。10年の『十六茶W』の根拠論文では“有意に低い”とだけ言って数値を示していない。私が表をもとに計算したところ、良くて12%減。11年の『ペプシスペシャル』の論文にも数値がなく、私の計算では6%しか下がっていない」
各企業が「再現実験」にトライするも、軒並み失敗。14年に、あの“割烹着の女性”が引き起こした騒動と似た状況なのである。
■「謝罪して欲しい」
そして今回の「コカ・コーラ プラス」の根拠論文では、減少率は7・9%となっている。しかし、
「論文には、有意な差があったとはどこにも書かれていない。この実験結果には有意差と呼べるまでの信頼性がないのです。この実験では、『P値』が0・054となっている。『P値』はデータのばらつきが大きいほど高い値が出ますが、生物学の世界では、それが0・05以上の場合、その結果には有意差があるとは言いません」
山本氏のこの指摘とも関係する“ある疑問”が、先に触れた「消費者委員会新開発食品調査部会」での審議で取り沙汰されている。実験では、参加者94名のうち17名が最終的に解析対象から除外されたのだが、それについて委員から次のような意見が出たのだ。
〈途中でこの人は生活が乱れているのではないかということで除外するというのは、恣意的と言うと失礼かもしれませんけれども、その可能性も否定できないわけで、九十何名のうち17名がそうだというと割にパーセンテージとしては大きいので、これはいかがなものかという気がいたします〉
この委員の指摘について山本氏は、
「私もその通りだと思います。まず、そもそも、途中で解析対象者から除外された人数が94名中17名もいるのは多すぎます」
と言う。なぜなら、
「実験の参加者はあらかじめ食事の摂り方や生活記録のつけ方について、注意を受けている。にもかかわらず、その内容がおかしいという理由で、これだけの人数が途中で除外されるのは明らかに不自然。この実験では、中性脂肪値のばらつきを小さくするために、言い方を変えれば『P値』を下げたいがために恣意的に途中で解析対象者の数を減らしたのではないか。委員はそう疑ったのでしょう」
除外された人数の多さに、実験を行った企業の“苦労”が表れている、ということなのかもしれないが、大本の〈松谷の07年論文〉について、早々にバツ印をつけていた組織がある。
〈この参照資料からは、主張されている効能を科学的に立証するためのいかなる結論も導き出し得ない〉
11年にそう判断した欧州食品安全機関(EFSA)は、難デキの食後血糖値上昇抑制効果についても、〈因果関係は確認されていない〉と結論付けている。
さて、ここまで縷々述べればもうお分かり頂けただろう。難デキには何の効果もないのだ。
怒りが収まらないのは、4年間、毎日「ペプシスペシャル」を1・5リットル飲み続けた会社員(前出)である。
「まさか何の効果もない商品がトクホとして堂々と売られているなんて思ってもみませんでした。消費者庁とメーカーには責任を取って謝罪して欲しいです」
国がお墨付きを与えた「消費詐欺」。これほどタチの悪いものもあるまい。
特集「6400億円市場の虚飾! 『脂肪吸収抑制』喧伝で消費者を裏切り続けた罪!
大反響! トクホの大嘘 告発第2弾」より
「週刊新潮」2017年4月6日号 掲載
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