世界的な大麻解放の流れに逆行し、日本が取締まりを強化するのはなぜ?
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2017.01.09 ニュース
大麻関連での逮捕者が続出している。その陰で、日本の“安全な大麻”が消滅の危機に陥っているという。この逆風のなか、あえて「大麻復活」を叫ぶ人々を直撃した。
大麻取締法は栽培を“保護する”法律だった
伊勢麻の栽培復活を目指す農業法人「あさって」代表の松本信吾氏は「国産大麻が希少になりすぎて、神事でさえも使えないということを知り、『このままではいけない』と思いました」と語る。
「神社では大麻を祓え具にしたり、注連縄や鈴緒にしたり、熨斗袋を縛るのに使ったりしています。しかし、この大麻が希少になりすぎて、お金のない神社では中国産を使い、中国産も使えない神社は大麻に似せたビニールで代用しているという状況です」(松本氏)
大麻
神社にとって大麻は欠かせない素材。国産大麻の価格高騰で、各神社は中国産など代用の素材を使わざるをえなくなっている
そもそ
も、逮捕者が続出している「大麻」の栽培を守りたいというのは、どういうことなのか?
「現在、逮捕者が続出している“薬物”としての大麻は外国産のものです。
一方、産業用の国産大麻は精神作用を持つ物質であるTHC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)がほとんど含まれていないんです。
ノンアルコールビールやドリンク剤にもアルコールが微量含まれているものもあるのと同じで、酩酊するほどの量が含まれているわけではありません。日本にはもともと大麻を吸う文化はありません。国産大麻の成分がドラッグとして適さなかったためです」
(『伊勢麻』振興協会理事の新田均教授)
厚労省は鳥取県智頭町の大麻栽培・加工販売会社「八十八や」代表・上野俊彦氏の逮捕後、「ご注意ください! 大麻栽培でまちおこし!?」と題したパンフレットを作成。その中で「大麻は極めて有害な薬物です」と警告を発している。
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これに対して、松本氏は「まったく矛盾した内容です」と語る。
「栃木県などで栽培している産業用のトチギシロを『低毒性品種』と紹介しながらも『無害な大麻はありません』と書いている。また、『最近では簡単にTHCを濃縮する方法がネットで公開され、濫用されています』という。
そんな方法があったら、世界中が注目するものすごい技術になりますよ(笑)。厚労省もマスコミも、“安全な大麻”と“薬物としての大麻”を混同して、世間に大麻のいかがわしいイメージを振りまいているのです。そのたびに、真面目に伝統的栽培にかかわる人たちが後ろめたい気持ちにさせられています」
(松本氏)
パンフレットには、国産大麻と外国産大麻の成分の違いなど、どこにも書かれていない。それはなぜなのか。厚労省に聞くと「多忙のため」回答はできないとのことだった。大麻の世界的状況に詳しいジャーナリストT氏はこう語る。
「現在、産業用だけでなく嗜好用・医療用も含めて世界は『大麻解放』の潮流にあります。
欧州各国や米国の一部の州、南米各国などに続き、来年春にはカナダも嗜好用大麻まで合法化する予定です。
モンサントなど、外国の大企業も大麻ビジネスへ続々と参入してくるでしょう。大麻産業は、今後注目の成長ビジネスといえます」
こうした世界の流れに逆行して、日本が取り締まりを強化するのはなぜなのか。
「厚労省麻薬取締部は、世界的な大麻解放の流れに危機感を抱いているのです。医療用・産業用にしても、解放されれば組織の縮小や予算削減に繋がりかねない。
ここ最近逮捕が相次いでいるのは、上野氏の町おこしが注目されたり、高樹沙耶氏が参院選で医療大麻解禁を主張していたりといったことと無縁ではありません。
医療用や産業用の大麻利用推進を主張する人々も、結局は薬物を濫用したいからなのだというイメージを植えつけるのに最適でした」
(T氏)
実は、大麻取締法はもともと、“大麻を禁止する法律”ではなかったのだという。
「戦後、占領軍はTHC濃度の高い外国産大麻と日本産大麻を同一視し、『栽培を禁止し、種子を含めて本植物を絶滅せよ』と命じてきました。そこで当時の農林省は日本の伝統的な大麻栽培を残すために占領軍と折衝し、一定の制約のもとに栽培を許可することとなりました。
つまり、もともとは大麻栽培を守るための法律だった。ところが厚労省は当時の農林省の苦心を忘れ、『原則として栽培は認めない』という姿勢を崩そうとしないのです」
(新田教授)
「伊勢麻」振興協会は昨年11月28日、三重県に大麻栽培許可の申請書を提出も、今月6日に「盗難対策が不十分で不許可」との報道がなされた。
「すでに伊勢の大麻を使いたいという声が全国から寄せられてきています。ぜひ、消滅の危機にある国産大麻栽培を守るため、注目していただきたいと思います」(同)
取材・文・撮影/北村土龍 谷崎テトラ 写真/「伊勢麻」振興協会
― [国産大麻を守る人々]の主張 ―
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