彼氏、彼女ともに

顔見知りのカップルが

大喧嘩をしているという

噂を聞きつけ、

相談に乗ることになった。

 

 

彼氏は言った。

 

 

 

「今回は彼女が悪い。

だって、聞いてくれよ。

休日出勤に

なってしまったことを

私より仕事のほうが大事なの?

とか言って、

怒り狂ってるんだよ?

俺だって、

好きで休日出勤

してるわけじゃねーの!」

 

 

彼氏の話を聞いて、

それはたしかにひどいと思った。

 



 

彼女は普段は温厚なのに、

なんでそんなことを

言ったんだろう?と、

疑問で仕方なかった。

 

 

そこで僕は彼女にも

話を聞くことにした。

 

 

すると彼女は言った。

 

 

「今回は彼が悪い。

だって、聞いてよ。

出勤になったその日は、

ランチのお店を予約してて、

一緒に行こうねって

言ってたんだもん。

それなのに、

そのことには触れずに

仕事だから

しょうがないだろって。

最悪じゃない?」

 

 

彼女の話を聞いて、

それはたしかにひどいと思った。

 

 

そりゃ悲しいよね。

 

 

休日出勤することを

責めてるんじゃないよねって。

 



 

だからこそもう一度、

彼氏のところに出向き、

彼女が怒っている本当の理由を

伝えるのだった。

 

 

すると彼氏。

 

 

「いやいや、ちゃんと

謝ったから!

仕事になってごめんね!って。

また行こうね!って」

 

 

おかしいと思って、

彼女に確認すると、

彼女は言った。

 

 

 

「はあ?あれが、

ちゃんと謝っただと!?

あいつ、ヘラヘラしながら、

ごめんねーって

言っただけだから!」

 

 

もう訳が分からなくなった。

 

 



彼氏に聞けば、

彼女が悪いと思う

真っ当な理由が返ってくるし、

彼女に聞けば、

彼氏が悪いと思う

真っ当な理由が

返ってくるのだから。笑

 

 

そして、この状況を味わいながら

僕はあるひとつの風刺画を

思い出していた。

 

 

 

それがこれ。

 

 

テレビに映るのは、

鋭利なもので

人を刺そうとする

犯人の腕と、

その被害者。

 

 

しかし、実際は、

まったく真逆の関係性で、

犯人に見えていたのは

被害者の足で、

被害者に見えていたのは

犯人の顔だったのである。

 

 

 

そう、いわゆる「切り取り」

というやつだ。

 

 



今回のカップルの喧嘩も

多かれ少なかれ、

お互いがお互いの

都合の良いところだけを切り取り、

都合の悪いところは伝えないで

いるのだろう。

 

 

 

つまり、真実は、

カップルにしか知り得ないのだ。

 

 

 

そして、だからこそ、

自分自身が、風刺画で言うところの

「カメラ」になっては

いけないなと思った。

 

 

つまり、片方の意見だけ聞いて、

確認することもなく切り取って、

他の誰かに伝達するみたいなことだ。

 

 

少なくとも

何かの意見を支持するなら、

まずはその意見の反対意見を

確認してみることから。

 

 

文字や伝達を行う職業人として

そうやって、常に冷静で、

フラットで、なるべく人を

傷つけない表現を

心がけたいなあと、思っている。

 

 

 

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