★★★★自己紹介は★★★★

★★★★こちらから★★★★

 

 

 

 

 

僕は人の会話を盗み聞くのが好きだ。

 

 

 

 

前世は「盗聴器」だったのかも、と思うほど、

レストランに、カフェに、

隣に座った人たちの会話を聞いてしまう癖がある。

 

 

 

 

 

それで家族によく怒られる。

 

 

隣の話聞いてないで、

目の前の家族の話を聞けよ!と。

 

 

 

許してほしい。

 

それもこれも全部、僕のせいじゃなく、

前世の記憶のせいなのだから。

 

 

 

 

さて、これは喫茶店で優雅なティータイムを楽しんでいた時のこと。


隣の席に「母親」と「保育園生の男の子」の親子がやってきた。

 

 

 

男の子は、メニューも見ずに

「メロンソーダ」と「ポテトフライ」をオーダー。

 

 

 

いつもながら、子どもというものは

「願い」に対して忠実だなぁ、と感心する。

 

 

 

しばらく沈黙が続いた後、母親が、口火をひらいた。

 

 

 

さあ、ここから前世で盗聴器をやっていた男の出番です。

 

 

 

「ねえ、あっくん。

どーして、先生にバカとか言うの?」

 

 

指でかつかつと机を叩いている様子から、

明らかに母親はイライラしていることが分かった。



どうやら、あっくん。

保育園の先生に暴言を吐いてしまった様子。

 

 

「ねえ、ちゃんとママの話聞いてる?」

 

 

ママ特製の、怒りのわんこそばが、あっくんに追い討ちをかける。

 

 

ところがあっくんは、

「無視」という名の盾でママの攻撃を回避した。

 

 

 

ため息が聞こえた。

 

 

 

もちろん、そのため息の持ち主はママ。

体内に存在する全ての憂いを込めた、渾身のため息だった。

 

 

 

「ねえ、あっくん?」

 

 

表情が変わった。

 

「鬼殺隊の皆さん、ここから鬼の匂いがします!」

と、S O Sを発するほどの殺気が喫茶店中を駆け巡った。

 

 

僕からしたら、「無視」は経験上、最大の悪手。

 

火にガソリンを注いでいることに他ならないからだ。

 

 

そして、母親は続けた。

 

「ねえ。ママを

イライラさせないで!!」

 

 

 

 

O M G。

 

あっくん、もう僕は知らないよ。

 

 

なぜなら僕は日輪刀を持っていない。

特別な呼吸法も持っていない。

できるとしたら、過呼吸くらいだよ、あっくん。

 

 

ところがあっくんはこの後、

ありえない角度で母親の攻撃を交わすのだった。

 

 

 

 

「じゃあ、

ママ、

イライラ

しなきゃ

いいじゃん」

 

 

 

あっくん? ねえ。あっくん?

 

さらにガソリンを撒いてどうするの?

言わんことない。母親の怒りの海はますます炎上した。

 

 

「イライラしなきゃいいって、

イライラさせてるのはあっくんでしょ!?

ママだって、イライラしたくないの!」

 

 

 

あっくんの次なる手に固唾を飲んで見守った。

 

 

「いや、だから、

だったら、

イライラしなきゃ

いいじゃん。

イライラしてるのは、

ママでしょ。


だったら、

ママが

イライラを

やめれば

いいんじゃん」

 

 

 

あーーーーーーっくん!

もう、口を塞いであげたかった。

 

 

 

「この中にお医者さんはいませんか!?

口を縫って欲しい少年がここにいます!」

と喫茶店で叫びそうになった。

 

 

 

ところが、このあっくんの発言、

不覚にも一理あるなとも思った。

 

 

 

なぜなら、「イライラ」という感情を選択しているのは、

他でもない、あっくんのママだ。

 

 

 

ママのイライラを止められるのは、

感情の操縦士であるママしかいないからだ。

 

 

 

 

例えば、友人に

「イライラしちゃうんだけど、どうしたらいいと思う?」

と相談されたとして。

 

 

きっと僕なら、

「じゃあイライラしなきゃ

いいんじゃない?」

と答えると思う。

 

 

 

すると友人は還す刀で言うだろう。

「でも、イライラしちゃうの!」と。

 

 

すると僕は、きっと

「じゃあ、

イライラすればいいんじゃない?」

と返すだろう。

 

 

 

だって、イライラしているのは他でもない、自分なんだから。

イライラしたくてイライラしているとしか思えないから。

 

 

 

 

イライラしたい理由があって、イライラしているなら、

その人の願い通りではないだろうか?

 

 

ホースの水を自分でつまんでおいて、

「勢いがすごい!どうしよう!」

と、騒いでいるように僕には見えるのだ。

 

 

だったら、対処法はふたつ。

 

 

 

つまんだ手を離すか、

水が無くなるまで、

つまむことではないだろうか。

 

 

 

この構造が分かると、感情を客観的に見られて、

いつもながら、少し冷静になれる気がする。

 

 

さらに、これは「イライラ」に限らず、

「全て」のことに言えると思う。

 

 

 

どんなことも選択しているのは自分自身。

 

 

 

鶏が先か、卵が先か、今も議論が交わされているテーマ。

だけど、世界が先か、自分が先かは簡単な問題。

 

 

 

どんな時も、

世界が生まれるよりも先に

自分がいるのだ。

 

 

 

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