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言葉を生業としている。
言葉と向き合い続けて10年。
つくづく言葉ってすごい、と思う。
たった「ひと言」で人の命を救うこともあれば、
たった「ひと言」で人の命を奪う可能性だってあるからだ。
本当によかったと今でも思う。
すみれちゃんというのは、
生まれる前の記憶を持つ女の子。
本を出した当時、まだ小学5年生だった。
発売たちまち、39万部を突破した大ベストセラー。
すごい。
そんなすみれちゃんと出会えて、
本を出すお手伝いをできて本当によかった。
ボーナスが
たんまりもらえたからだ。
嘘。嘘じゃないけど、嘘。
いや、本当。
本当だけど、T P Oを間違えた。
ある時、中学2年生の女の子から
僕宛に読者ハガキが届いた。
すみれちゃんの2作目『かみさまは中学1年生』を読んで、
お便りをくれたらしい。
そこにはこう書いてあった。
「私はすみれちゃんと同じ
中学2年生です。
すみれちゃんの書いた本を読んで、
自殺するのをやめました」
やっぱり言葉の力ってすごい。
ひとつの命が救えただけで、もうこの本は
十分役目を果たしたな、とさえ思えた。
だからこそ、発する言葉には非常に気を使っている。
発した側にそんなつもりがなくても、
些細な表現が誰かを傷つける可能性があるからだ。
それでも万人は難しいのも正直なところだけど。
この前なんて、髪の長い女性に、
「髪、長いですね」と言ったら、
「汚らしいってこと?」
とキレられた。
もう口とって。僕から口を取り除いて、とすら思った。
ところで、先日、友人と散歩をしていた時のことだ。
彼は、現在32歳。
今でこそ元気に毎日を過ごしているが、
20代で初めて入社した会社が
いわゆるブラック企業だった。
配属先は「クレーム対応課」。
毎日、客から文句を言われ、
それを会社は守ってくれるどころか、
「お前のせいでお客は怒っている」と言われる始末。
心はあっという間に、鈍色になり、
会社からの帰り道、
「このまま、死にたい」思うことすら、あったそうだ。
それからと言うもの、今まででは考えられないくらい
些細なことでも悩むようになったらしい。
例えば、上司から「頼んだあれ、もうできてる?」と
聞かれるだけで、「お前は仕事ができない奴だ!」と
責められている気持ちになったとか。
そんな矢先、彼の友人が心配してこんな言葉をかけたそうだ。
「そんな些細なことで
悩んでないで、
気楽にいこうよ!」
彼は逆に傷ついたそうだ。
その友人にとっては
些細なことでも、
彼にとっては
全く些細じゃないからだ。
彼にとっては命が危ぶまれるほど大きな壁。
それを「些細なこと」と言われて、
とても悲しい気持ちになったと、言っていた。
一生この人には相談したくない、とも思ったそうだ。
もちろんこれは決して、
彼の友人を責めたいわけではない。
ただ、人と人が行き交うこの地球。
僕たちは、「思いやり」という名の引力で繋がる唯一の生物だ。
だからこそ、いつも想像力を膨らませて、
紙風船のようにふうーと膨らませて、
細部にまで思いやりを行き渡らせたいなと
さらに考えさせられるきっかけになった。
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