第51話「卒業Ⅱ」
静香と最後に会ってからどれぐらいが経っただろう・・・
今日は・・・帰るね・・・
あれから俺たちは会っていない・・・
静香は、第一希望の私立高校に推薦で合格してからも、
しばらくはずっと塾に来ていたけど・・・
それは・・・
俺に会うためだけであって・・・
だいたい、受験の終わった生徒が、
その後も塾に来る方が珍しいわけであり・・・
「ヒカル先生、すごいなぁ。
小川なんて受験終わったのに、
よくここまで引っ張ってるよねぇ。」
な~んて、他の先生たちに感心されたりしてたけど、
それは決して俺の指導力によるものでなく・・・
むしろ、俺のなんていうか・・・
特定の生徒と仲良くなりすぎた
俺の不徳によるものであり・・・
_| ̄|○
なんてこったい・・・
当然といえば当然なんだけど、
今まで都立志望の子たちと一緒に授業を受けていた静香が
急に塾にこなくなってしまい・・・
「最近、小川さん見なくなりましたね。」
なんて俺に聞かれたって、
理由なんて説明しようがねぇ・・・(汗)
「ま、やっぱり受かっちゃったら、
遊びたくなったんですかねぇ。はははは。」
なんて他の先生たちに笑われても、
俺に訂正できるはずもないじゃんかヽ(;´Д`)ノ
ハァ・・・なんかどうでもいい気分で・・・
鬱だ・・・
優香に静香との連絡を頼んでからは、
毎日1時間おきぐらいに携帯をチェックしてさ・・・
「携帯ばかり見て、なんかあるんですか?」
事務バイトのお姉ちゃんにニヤニヤされる始末ヽ(;´Д`)ノ
な、なんだよー?!
まるで俺が出会い系やってるみたいな言い方すんなよ(汗)
パートのオバちゃんまで笑ってるじゃんかよ・・・
自分じゃ意識していなかったけど、
どうやらあまりにも頻繁に携帯を見てたみたいだね・・・
やべぇやべぇ、程々にしとかないと・・・
そう思いながらもまた携帯をのぞいてみる・・・
無い・・・
静香からの受信なんて
影も形もねぇ(涙)
あるのは秘密のメールとかエロメールばっか・・・
くっそう・・・すげぇムカツク・・・
思い切って電話してみようかしら・・・
ああ、ダメだダメだ!!
決着をつけようと思って、ああいう形をとったのに・・・
今更になってさ・・・
やっぱり静香に会えないのは寂しいから
また会ってくださいよ~なんて・・・
そんなカッコ悪いことできるかよ・・・_| ̄|○ililil
今は、辛いけど・・・
絶対に会わない方がいい・・・
に決まってると思う・・・
静香のためにも・・・
静香の携帯番号を眺めては、番号をつぶやいてみる・・・
この番号を押しちゃえば静香の声が聞けるのに・・・
℡℡℡℡℡・・・
「はい、小川です・・・あ、せんせぇ♪」
俺の声を聞いて、
溢れんばかりに嬉しそうな声をだしていた君は・・・
もう俺の生徒じゃなくて・・・
もう俺のことなんか好きじゃない・・・よね・・・きっと(涙)
思い切って静香の番号を削除しちゃおうか・・・
本気でそう思ったさ・・・
その方がきっとスッキリするだろうって・・・
でもやっぱ出きねぇよ・・・
だってしょうがねぇじゃん。
まだ静香のこと好きなんだもん・・・
いいじゃんかよっ!!
別に静香のことを好きでいたって・・・
会わなきゃいいんだろ?
会わなきゃさ・・・
ああもう・・・
俺の方が完全にまいってるじゃん・・・
こうなったら・・・
静香に非通知で電話して、
声だけ聞いたら切ってやろうかしら・・・
(゚Д゚;≡゚Д゚;)
ってストーカーじゃねぇかよっ!!
あかんあかん、犯罪はダメよん・・・
あ!!
思い出した!!
俺、中3の奴らに連絡しなくちゃいけないんだった・・・
自分のクラスの生徒に祝賀会の案内するの忘れてたよ。
生徒たちに時間と場所を伝えて、
出席の確認をとんなくっちゃいけないんだった。
自分のクラスの生徒全員に
電話しないといけないのかぁ・・・
面倒くせぇなぁ・・・
全員かぁ・・・
優香とか智恵とかタカシとか・・・面倒だなぁ・・・
ちっ、だりぃぜ・・・
と言いつつ、電話のボタンを押してる俺は、
何故かドキドキワクワクしてたりして・・・
つうかさ、ドキドキしすぎじゃねぇか?!(汗)
家庭に電話するぐらい、どうってことないのにさ。
大学生講師の初めての電話じゃねぇっつうの。
そうそう、大学生のアルバイトたちの電話ってさ、
見てるとホント面白いんだよ?
何度やってもなかなか慣れなくてさ、
しょうがないから横について見てあげることもしばしば。
たかが保護者と電話するぐらいで
ガタガタ震えて緊張してどうすんだよ(笑)
やっと電話したと思ったら、
「も、もしもし、僕、○○塾の▲▲です。」
僕ってなんだよー!!
(爆笑)
周りで聞いていたベテラン講師たちも
受話器先に聞こえないように笑いを抑えようと必死ですw
おいおい、相手はただのオバさんだぜ?
な~んて言ってる俺も・・・
たかだか家庭に電話するだけなのに・・・
心臓がドキドキバクバクしちゃってさ・・・
やべぇ・・・こんな緊張すんの久々だ・・・
い、言っとくけどさ・・・
この電話は・・・
仕事で仕方なく電話してんだからね・・・
別に未練があって電話するんじゃねぇからな・・・
って俺はいったい誰に言い訳してんだよ・・・
℡℡℡℡℡・・・℡℡℡℡℡℡・・・
しばらくコールしてみたけど、誰もでなくて・・・
待ってる間、ますます心臓が痛くなる・・・
ダメだ・・・今はいねぇみたいだ・・・
後でかけなおそう・・・・
これ以上コールしてたら、俺、心臓発作で死んじまうわ・・・
誰も出なくてホッとしてる俺は・・・
ヘタレか!?(死語)
諦めて電話を切ろうとして・・・
「ガチャッ、はい、もしもし・・・?」
・・・・・・!!!