世界50憶人がエンゲージすると言われるワールドカップ。
 

スペイン vs フランス 戦

まさにスペインの独断場であった。
知将ディディエもここまでとは。
ただただ茫然。

前回の記事では結果的に持ちうるポテンシャルが最後はものを言う、と申したがそれはあくまでも接戦になった時の最期の幕引きを想定したもの。

 

確かに個の力、チームとしての戦術展開はスペインの方が上であることは間違えない。今回の見どころはそんな完成形フットボールにフランスのプレスがどこまで突き刺さるかが見どころだった。

それがまさかここまで差を見せつけられるとは、それだけスペインの底力が私が思っている以上のものだ、ということの証左。
 

ウナイシモンの戦術眼からのスタート。
ロドリのボール回しによるポゼッションは私が見る限りでは世界一の質だろう。オフサイドトラップも見事なものだった。

スコアレスで前半を終了するのかと思えばよもやのPKでスペイン先制。これは正直フランスにとってみれば然程の痛みは無かっただろう。まずは1点とって同点に追いつけばよい。それだけのことだし。

だがスペインは勢いに乗じず、冷静に戦術を崩さない。
これも凄い。
ハーフスペース、レーン管理、そこからのビルドアップなど見事な完成形を見せつけられた。

感動すら覚える一つ一つの事象の言及は避けるが、兎に角凄いということだ。

フランスの体力を徹底的に削りに削る、まるでウクライナの対ロシア戦術の様にさえ見えた。

フランスのプレスは「暖簾に腕押し」「糠に釘」の様に虚しく見えてくる。

こうなってくると焦りも見え隠れし、心の悪循環を生む。
それでも諦めず球を追い、プレッシャーを与え続けた。

でもプレッシャーの先にスペインはいない。
追い込んだと思えば既に出口を構築されている。


結果的に体力はどんどんと削られていき、遂に力尽きた。

後半の立ち上がりは恐らくスペイン怒涛のプレスが押し寄せて来るだろう、とツイッターの方で呟いた通り、当にその展開になり、開始そう時間も経たないうちにフランスゴールのネットへ追加弾を突き刺す。

もうこの1点は、一撃で相手を仕留める極擊であり、事実上ここでフランス攻撃陣の意欲を、強引に力で折り曲げたまさに死刑宣告の様に絶望的だった。

フランスは心が折れるというか、完全に戦意喪失してもおかしくないくらい衝撃、ダメージだっただろう。

スペインゴールに近づけてもククレカレーの冷静、且つ冷徹なライン管理のスパイス味付け対応で撥ねつけられ、届きそうで届かないという見え方以上に、スペインの冷徹なネガティブトランジションに目が行く。

ただ、途中から見ているのが辛くなるほど球に食らいつき、最後まで諦めない姿勢を見せたフランスには最大限の敬意を表したい。

今回フランス代表にフランス人は居ないだとか、チラベルトのギャグとは言えないアフリカ代表発言など、場外での質の低い話題に晒されていた。

それでもあのスペインとここまで出来たことを胸に、次回のスペイン・モロッコ大会に戻って来て欲しい、そう思った。

破れゆく敗者の涙は本物だと信じたい。


よくここまで勝敗当てられる、とかどうやって計算しているんだ、とか言われるが実は数学的なものは半分くらいしかあてにしていない。

あくまで自分の目で見て玄人なりの経験からくる肌感覚で判る直感というものがその半分を占めている。

あとユーロは見ていなければ予想するのも烏滸がましい。視聴は前提の必要十分条件。
それだけのこと。

明朝もイングランド vs アルゼンチン戦がある。

世界ランキング1位のアルゼンチンが、実質完全格上のイングランドにどこまで抵抗し、耐えられるか。持ち堪えられるか。

ライオネルを出場させたら10人のディフェンスで簡単に負けるだろう。

もしライオネルを出して来なかったら、能力を見定められていない未知数な若者から英雄が誕生し、番狂わせを起こす可能性も否めない。

だが順当に行けば格上のイングランドには勝てないというところは固いだろう。
大差敗北もあり得る。

ここはEloレーティングやxGモデルに従いたいが、アルゼンチンの大敗は見たくない。

だが、何を信じるか、だ。
前回ワールドカップ優勝、コパ連覇。
スカローニという偉大な名前を持つ監督は、ライオネル・メッシを出場させ、集大成を計るだろう。この二人の関係は単なる絆では説明できないのだ。


英雄は、ただ去るのみ。


ついこの間までアスタマーニャな見下しをしていた日本人だが、労働時間も勤勉さもOECD指標でスペインに負けている。
今では勤勉なスペイン人という見方が正確だろう。先日の国会で共産党金子満博が言っていたのは大分過去の話。日本人は働き過ぎ。ではない。今では世界でも最も働いていない人種の一つだ。

日本人の頭の中はなかなかアップデートされない。

そんなスペイン・モロッコで、次大会が開催される。
スペインが10年かけて育んだ壮大な戦略に、単純な戦術で挑む日本はどこまで戦えるのだろうか。

 

スペインとモロッコは更に強大な壁となって戻って来るだろう。