- 神の啓示(オレドム2019) -

最終話:『メスティエリの矢、木馬に届く』

セイラのコアブースターの一撃をホバーリングで回転して避けたガイア機であったが、セイラ機の放った射線の見えない向こう側から躍り出てきたアムロのガンダムによってビームサーベルの下、一刀両断にされた。


「オルテガ・・、マッシュ・・たった1機のモビルスーツにぃ・・」

ガイアのドムは爆散した。


ルウムの戦役でヨアヒム・レビル大将を捕虜にして有名を馳せた黒い三連星ドム3機は、ソチから北上する木馬の部隊の進行を阻止できず、5分程の戦闘で全機撃破された。

ガンダムは最後にガイア機を仕留めた後着地し、アムロは暫くの間茫然としていた。

戦闘開始直後に、連携がとれた三連星のドムの攻撃を避けきれなかったところにミデア輸送機が間に入り、邪魔をしたことがアムロの危機を結果的に防いでいた。

その助けに入ったミデア輸送機は撃破されて墜落している。

(あれは僕のミスだったんだ)

アムロは、撃墜されたミデア機に、マチルダさんを見てしまった気がした。

「あれは、マチルダさんだった気がする・・・」

自身の力量では、黒い三連星相手に死んでいたかもしれないという”負の発想”はアムロには無かった。

オデーサ作戦は進行中なのだ。
時間的な余裕があろうはずもない。

アムロには考える時間さえ持つことを許されないかのごとく、インカムに連絡が入る。

フラウからだ。
急ぎ補給に戻る様に指示が来た。フラウの甲高い声が頭に響く。




その時であった。
前方からホワイトベースを挟み込むように左右から突っ込んでくるメスティエリ隊2機のサンドブラウンの飛翔能力のあるドムが突っ込んできた。

メスティエリの放った矢が、ついに木馬に届く刻が来たのだ。

ジョブ・ジョンの機転により、ホワイトベースからはビームライフルが射出され、アムロはガンダムを上空へジャンプさせ、空中でビームライフルをにキャッチする。

そのまま咄嗟に攻撃行動に移る。

まさに芸術的な動きをガンダムは魅せる。

「あの、動きのいいドム!」

「もらった!」

アムロはホワイトベースの対空射程圏内にも関わらず、縦横無尽に接近してくる1機のドムに照準を合わせ、ビームライフルを撃つ。

そして見当違いのところに向かう射線。

(予測が外れた?)
(それとも射撃の軸がズレている?)
(いや・・・)

直感だが、この瞬間とても嫌なプレッシャーを感じた。
嫌な汗が全身からいっきに噴き出してくるのが自分でも判った。
悪寒とでも表現すれば判るだろうか。

ドムの方角全域から包み込むように自分に突き刺さる恐怖のプレッシャー。

(あのドム、何だ・・)
 

鳥肌も立つ。

今までに味わったことの無い嫌なプレッシャーだ。

上空からそのドムへ2斉射したが、ドムは余裕で交わす。

「あのドム・・・」



それなりにパイロットとしての自信も着いたし、正直戦場の会敵でプレッシャーを感じることは今ではほとんど無く、自分の手足の様に自在に動かすことができるガンダムへの操縦は自信満々で極めた感覚を持っている。

(ぼくにはできるんだ!)

アムロは自分に言い聞かせた。
ミスは犯したが、直前に戦闘を行った黒いドムに対してもプレッシャーは何も感じなかった。

でも今まで積み上げてきた自信が一気に崩壊するような感覚。

「いただきっ!」

何度叫んだことか。

まるでビームライフルの射線軸がドムから外れていくような気すらした。

(なぜ、当たらない!)

アムロの動体視力が正確なら、サンドブラウンのドムの赤い肩には黄色の数字で「7」と記載されている。


アムロはシャアと初めて対峙した時以来、自らが死に直面しているかも知れないという恐怖感に包まれていた。

(ダメだ!やられる!)

何度かそう思ったが、ドムが射撃してこなかった。

(何故撃ってこない!)
(エネルギー切れなのか?)
(あの赤い肩のドム・・・パイロットは・・・)

連邦軍の白い悪魔として認識されてジオン軍に恐怖を与えて来たアムロであったが、今はその真逆で相手のモビルスーツ「ドム」に対して死の恐怖に慄いている。

「ぼくだって、・・ぼくだってガンダムを上手く操縦できるんだ!」

手狭なコクピットに、アムロが叫ぶ喚き声に包まれる。

ドムは、アムロの心を完全に読み切っているのか、研ぎ澄まされた洞察力の更にもう一歩上の何かを持ち合わせているのか、自分自身で思うのもどうかと思うが、全く被弾する気配すらなかった。

アムロは焦りを感じていた。


それでも流石に気づいたが、静かに近づいてくるもう1機のドムから目を逸らす目的で動き回っている感じがした。いや、間違えない。

(そうか・・・もう1機のドムから目を逸らそうとして自ら囮になってるんだな!)

アムロはもう1機のドムに攻撃対象を移そうと思ったが、その時・・

気が付いたら背後についたドムが右肘を、ガンダムの頭部に振り下ろす瞬間だった。

何とか避けようとしたアムロであったが、ドムの方の動きが一瞬早く、肘はガンダムの頭頂部に直撃し、その衝撃で頭部は吹き飛んだ。

しかしその直前にアムロはもう1機のドムに照準が合った瞬間を見逃さずにトリガーを引いていた。


ところが、どう戻ったのか理解できないが、そのドムを庇う様に、射線の先に赤い肩のドムが立ち塞がっている。

「どうやって もどったんだ!」
アムロが絶叫する。

ビームライフルは直撃したはずが、ドムが閃光に包まれ、光の球体の様なものに包まれていく。

(直撃じゃ、なかったのか?)

アムロは自分の目を疑った。

次の瞬間、もう1機のドムがホワイトベースの右エンジンに特攻し爆発。
右側エンジンを再度破壊され、ホワイトベースは煙を吐きながら墜ちていく。

(ミノフスキークラフトへの被弾ではない推進エンジンへの被弾だから、ミライさんの操艦で大丈夫だと思うけど・・・・)

その光の球体はどんどんと大きくなっていき、ガンダムを機体ごと閃光の中に取り込んだかと思うと次の瞬間現実に戻った。

その直前、霊的な何かが自分の身体をスッと突き抜けていった気がした。

消えた。

ドムが消えた。

あの動きの異常に良いドム。
死をも覚悟したドムが、自分の目の前で消えた。

アムロは、まるで神に触れたような、そんな感覚を持ったのであった。

この後、アムロは不思議な感覚に目覚め、目まぐるしい撃墜数を誇っていくことになる。
まるで異能者に触れたような、アムロにとってそんな出来事であった。

2019年オレドムより






登場人物解説:

ジオン公国第2次降下隊 メスティエリ小隊
3番機 アブドゥル・ハミード大尉

7番機 キリコ・キュービー中尉

5番機 アル・フセイン曹長

6番機 タグ・クェイド一等兵

10番機 コレン・ナンダー二等兵

11番機 ハックル・トンプソン二等兵


ハミード大尉は、被弾したドムから脱出して、原隊に復帰。
後日支給された青いリゲルグで、トゥグレグ族のアフリカ解放戦線を取り込み、重モビルスーツガンプと激闘する。砂漠のキツネ、ロンメルと呼ばれた。


タグ・クエイドは、撃破されたドムから脱出して部隊に帰還。
後日支給されたサーモンピンクのゲルググでテーベ戦線に参加。負傷しその傷を現地一般人ブルネット髪の女性マサイ・ンガバに手当してもらうも死亡。マサイ・ンガバはそのゲルググで後日重モビルスーツガンプと戦い、シャアが乗ったことのある百式を撃破している。タグはリコール社の疑似旅行体験シートから目覚めた。


コレン・ナンダーは、地球連邦軍の捕虜となり、凄まじい拷問にも耐え抜いたが、冷凍刑務所で終戦を迎え、木星戦線、ガイアの戦い、3度の厄災戦、ディアナの帰還と何度も復活し、歴戦の勇者として恐れられた。しかし、晩年渾身のカプル:ロケットパンチが運悪くシステムターンXの月光蝶に跳ね返されて身体が消滅。享年数え年12345+67歳。


ハックルは、20光年離れたデロイア星に地球連邦軍兵士として赴任したが、戦闘で捕虜になったことを切っ掛けにゲリラ側に協力。コンバットアーマー「ダグラム」の整備士として活躍するも終戦後に復員。地球圏に戻り、ジオン軍に参加して戦死。


キリコの説明は不要だろう。


以上オレドム2019より。






そしてオレドム2024
( ゜∀゜)ガハハハハ八八ノヽノヽノヽノ\/\
 ↑パパさん

 構想降臨


諸氏検討を祈る。
 

 

 

 

つづく