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ふと「そういえば、わたしはカレーよりもハヤシの方を食べていたのかも」
そんなことを思った。
特に10代から20代には外で食事をする時には圧倒的にカレーじゃなくて
ハヤシを頼むことが多かったのだ。
10代の終わりに始めた一人暮らし。
それまでは(よその家よりは自分で作ることが多かったけれど)台所の主は母で
その母が出かけるからとか、どちらかというと手抜きな時に作るのがカレーだった。
カレーは父の好物で、それだけじゃなくて父と母が離婚してからは家族が減った
おそらくそれもあって、以前よりもカレーの頻度は減った。
それでもやはりたまにカレーの日となると、
テーブルの上に「お鍋にカレーがあります」とのメモを残し
母は遊びに行っていた。
カレーと言っても、家庭ではなかなか作らないような
インドやネパール、タイなどの本格カレーを知るのはもっと後のこと。
カレー専門店だって今ほどは無かったような時代だもの。
だからカレーと言えば家で食べるもの、
そういうものだったのだな。
一方、ハヤシというと
我が家では食卓に上がることはほとんどなく
わたしは祖父と一緒に谷中へお墓参りに行った時に食べる
上野精養軒のものや、銀座や浅草に買い物に行った時に食べる
祖父との思い出の味だったりする。
カレーとはずいぶんと違う、すましたお出掛けの味なのだ。
最初に一人暮らしを始めたのが自由が丘、
家から駅へ向かう途中にあった喫茶店『ピコ』
ここでお店に置いてある雑誌を読みながらハヤシライスを食べるのが
なんの予定も入っていないお休みの楽しみでもあった。
あとは残業して日付が変わる手前で駅に着き、
家までの帰り道にあるパスタ屋さんの『ピッティ』で食べる
アスパラのサラダとハヤシライスが疲れを癒してくれた。
喫茶店の『ピコ』はもう建物ごと無くなってしまっていたけれど、
パスタ屋さんの『ピッティ』は今もある。
某口コミサイトを見たら、ハヤシライスもアスパラサラダも健在のようだ。
アスパラサラダは缶詰のホワイトアスパラを使っていて
3種類ぐらいのドレッシングを好みでかけるように提供されたのだが
いつも手作りのマヨネーズを選んでいた。
これも変わっていないといいなぁ。
お昼ごはん用に前夜に作ったハヤシライスを盛り付けながら
近いうちに自由が丘でハヤシライスとアスパラサラダを食べよう。
そう決めた。
思い出の店は自分が思っているよりもずっとずっと
不変的ではないのだから。
(6月頭に行く予定だった飯田橋の『鈴や食堂』さんが今月いっぱいで閉店と知ったばかりなので余計に、ね)
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