ここのところ、グルメ系のコミックを買うことが多く
久しぶりにそうではないものを買った。
表紙の雰囲気もさることながら、
原作が山本周五郎なところも気になり、深夜にポチッと。
わたしが「山本周五郎が好き」と言うと半数以上の人が「意外ー!」という表情をする。
市井に生きる庶民や名も無き流れ者を描いた作品が多く
そこが好きな所以である。
とりわけ、黒澤明の『どですかでん』の原作となった『季節のない街』が好きだ。
ひとりひとりのキャラクターが立っていて、
出てくる言葉に頷くものがとても多い。
話は逸れるが、時代背景で一番好きなのは戦後~高度成長期。
人々がなにかに向けてつっぱしる、そんなパワーがある時代のように感じるからだ。
この時代を描いた作品は笹沢佐保の『拳銃~家族たちの戦後史~』が好きなのだけど
残念ながらこちらは絶版となっている。
さて、話を山本周五郎に戻すと
『ちいさこべ』が時代背景を江戸から現代(平成)に変えた作品が
この『ちいさこべえ』だ。
画のタッチは好き嫌いがあるかもしれないけれど、
わたしは好き。
原作は、江戸の大火ですべてを失いながら、孤児達の面倒まで引き受け
再建に奮闘してゆく大工の若棟梁の心意気がさわやかな作品、なのだけど
これが平成版になるとさわやかばかりではない。
けれど、亡き父親の「どんなに時代が変わっても人に大切なものは、人情と意地だ!」
の言葉に再建に向かう姿は「時代遅れ」ともとれるくらいにカッコいい。
出てくる子供たちが揃いも揃って「無邪気な子供」ではない。
でも無邪気ではない子供は現代っ子としてはリアルな感じ。
主人公はひげもじゃの茂次のはずなのに、
なぜか2人のヒロイン、りつやゆうこの方が魅力的に感じる。
ちなみにゆうこのデニム姿はすごく色っぽい。
谷間とかそういう直接的なものではなく、普通にシャツにデニムなのに
すごく色っぽく感じる。
必見!(笑)
よく「東京の人は冷たい」と地方から来た人が言うけれど
そんなことはない、
本当の、根っからの東京もんはあきれるほどにおせっかい。
頑固でせっかちでおせっかい。
そんな良き東京の人がここには描かれていて嬉しくなった。
山本周五郎の原作と読み比べるのも面白いかもしれない。
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