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さっきすれ違った男性が、石井文具店(仮名)の息子に似ていた。
石井文具店は小学校の隣にある文房具屋で、生徒御用達。
学校指定の帽子や上履き、体操着も置いていた。
その石井文具店のご子息とクラスメイトだったkimimatsu。
彼がもし、あの事件後暗い人生を歩んでいたらその半分くらいはkimimatsuのせいかもしれない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その時、kimimatsuは小学校5年生だった。
夏休みの近いある日の帰りのホームルーム中、なにやら異臭。
鼻がいいkimimatsuは、誰よりも早くその異臭に気づき、それがどこから発せられているのか、担任の話なんて上の空で真剣に犯人探しにきょろきょろしていた。
もう一歩で犯人特定というその時、チャイムが鳴ってしまった。
教室には異臭の残り香。
犯人を検挙出来ずに無念のkimimatsu。
でも、偶然にも
学校が終わって、校庭で遊んでいた時に犯人のものとおぼしき遺留品を発見してしまった。
・・・校庭の隅に捨てられていたBVD。
白いブリーフはところどころが茶色く染まっていた。
・・・誰かがうんこをもらしたのだ。
悪友ハルコを呼び、
ホームルームで異臭がしたこと、
あそこに見えるBVDがあやしいことを伝える。
ハルコとは実にくだらないことばかりをして来た仲だ。
土手や、緑地公園でエロ本を拾って読んだり、
フル-チェをボウル1杯作っておたまですくって食べるという夢をかなえてみたり、
声変わりが始まった男子に「夢精はしたのか?」と質問攻めにしたり、
まだまだ書けない様なことまでして来た仲だ、この事件にハルコが首を突っ込まないわけがない。
我々アホコンビはおそるおそる息を止めながらBVDに近づく。
ハルコがとんでもないことを言い出した。
『あんたは異臭を嗅いだんだからこのBVDとその臭いが同じか確かめてみろ』と。
嫌だった。
ビンゴでも外れでも臭いことは絶対だ。
首を横に振る。
が、しかしハルコはそれを許さない。
ハルコは『だめだ』と首を横に振る。
意を決して鼻で息をする。
く、くっさーーーーっ。
(こ、この臭いだ)
大きく首を縦に振る。
ハルコに手招きされ、一旦ダッシュでBVDから離れる。
風上へ離れる。
スーハーと大きく息をする2人(バカ)
『もう一度近づいて、誰のものか調べよう』
ハルコが言う。
それが私達チームの任務だと言う。
近くに落ちている枝を広い息を止めてダッシュでBVDに近づく。
枝でつついて名前が書かれていないか確認する。
そうなのだ。
夏のプールの時期はパンツに名前を書く生徒が多かったのだ。
推理が的中し、ゴムの内側にマジックで書かれた名前を発見した。
『5-2石井』
石井文具店の息子のだ!!!!
2人は任務を全うし、満足げに帰宅した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして翌日、石井君は欠席した。
『おやぁ、どうしたのかなぁ?誰か聞いているか?』
親から連絡が入っていないのか担任がたずねる。
ハルコと私は目で合図を送る。
『アレが原因だ』
・・・とその時、
担任があやしいkimimatsuに気づき、
『おい、kimimatsu何か知っているな?』
と聞いてきた。
どうも顔に出やすいようだ。
『いえ、先生、みんな。石井君はきっとお腹が痛かったんだと思います。だからうんこたれてもしょうがなかったんです。』
・・・教室内がどよめいた。
ハルコがこっちを向いて、口パクで『ばかっ』と言う。
え?????
え?
そうだったのだ、
私以外に異臭に気づいた生徒はいなかったのだ。
石井君は性格も良かったし、ドッジボールも上手かったし、面白かった。
だからいじめられっこにはならなかったけど、
なにかあると陰で
『でもねー、うんこたれだから』
そんな風に言われた。
かけっこが一番でも
下級生からラブレターもらっても
100点取っても
・・・でもね、うんこたれ。
翌年転校してしまったkimimatsuは石井君のその後を知らない。
かわいい子供の手を引く石井君似のお父さんの背中に向かって、心でさけぶ。
うんこたれでも幸せジャン。
あんなにバカなことばかりしたハルコの子供は来年成人式だ。