トリニティーの試験は、演奏だけではなく、音楽的な知識も同時にはかるテストです。それも、セオリーをペーパーではなくて、オーラルでやるところがすごい。…と私は思う。
紙の上での知識は、あくまでも紙の上での知識。「英検やTOEICで高得点を取れるのに、英語が話せない」というのと同じように、ペーパーテストでいくら良い点が取れても、実際の演奏や、音楽を聴くときにはその知識が生かされないのでは意味がありません。会話も、音楽も流れであって、一瞬で消えていってしまう。流れが滞ってしまっては取り残されてしまいます。
これから実際の試験のサンプルを流します。2回までは聴いて結構です。その後でその曲の特徴について、できる限り解説してください。さあ、どのくらいわかりますか?



回答の一例です。

この曲はラグタイムやケイクウォークといわれるシンコペーションを使ったスタイルです。左手パートの5度のオンビートのペダルノート(同じ音がずっと続くこと)と、それとかみ合わせるようにオフビートの右手の2度3音による和音で始まります。スタッカート、およびフォルテです。その後、右手がホールトーンスケール(全音のスケール)のメロディーになり、メロディーの途切れた部分で左手が2度3音の和音をオフビートで刻みます。その後、右手がクロマティックの上昇スケールをクレッシェンドで弾いて、最後はオクターブの音で終わります。フレージングはイレギュラーです。

とまあ、こんな感じです。このほかにもモードが入っている曲があったり、19世紀のスタイル、印象派のスタイル、ロマン派のスタイルなど、スタイルの特徴もそれぞれです。カデンツもいろいろです。

言われて見れば、「なるほど、そのとおり」と思うことはたくさんあるんだけど、これをテストのときに2回聴いただけで、すらすらと答えられるということは、実際のセオリーが体の中に染み込んでいないとできないのでは…。インターナショナルスクールの生徒たちは、本当に幅広い音楽を演奏したり、勉強したりしているので、皆スラスラと答えているみたいです。でも、私だって、楽譜を見て、考えればわかるんだけど…という人も案外多いのでは。

いろいろな音楽について幅広い知識を持つ、理論の試験を実技でやるって、意外と大変で、重要なことだと気がつきました。


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