2011年3月11日 14:46


 仕事中の私は8階の従業員食堂で少し遅めのランチ。

食堂内には私と、食堂のおばちゃん2人だけ。


いつものように、食後に単行本を広げた。


ぷくぷくと泡がはじけるような感覚で体の下から突き上げてきた。

異変。


あ、地震だ。 またいつもの地震がやってきた。しばらく様子を見よう。


グラグラ・・・。 あ、 いつもよりちょっと大きいな・・・。


グラングラン。 グラングラン。 横揺れ。


あ、違う。これ本物だ。やばい。


これまで、震度3程度の地震は何回も経験してきたので、油断していた。

すごい、横揺れ。

窓にかかったブラインドが左右に大きく揺れ、洗面台に置いてあった

鏡が落下して割れる。

すぐ隣にあった、私より背の高い業務用の食器保管個が2つ(家庭用の

冷蔵庫4つ分くらいの大きさ)が前のめりに倒れた。

文字通り、夢なら覚めて欲しいと本気で思う。


避難しなきゃ! ここで、初めてことの重大さに気づく。


たまたま、出入り口の近くにいたおばちゃんに怒鳴る私。


「そこ 開きますかっ!!!」


そこは8階。出入り口は1つ。閉じ込められたら最悪だ。

おばちゃんはその場で腰を抜かしてしまったので

私が扉を開ける。


そして、また愕然。  普段なら、移動しやすいようにと

車輪をつけてあるシェルフなど、ありとあらゆるものが

避難経路までを遮っている。


幸い、最寄の避難経路までは頭に入っていたので、

まさに障害物競走のごとく、障害物をまたいでよけ、

腰が抜けたおばちゃんの手を引き、非常階段まで辿り着いた私。

そして、ゆっくり、ふるえるおばちゃんを励ましながら1階へ。


途中、非常階段の壁面から崩れ落ちたコンクリートのかけらを見て

ぞっとする私。余震がきたらどうしよう。


1階まで辿り着き、私は考える。


私はホテルで勤めている。本来ならば、また客室階へあがり、ゲストの

避難誘導にあたるべきだ。でも・・・・・

 人として、恐怖だった。せっかく8階から避難してきたのに、さらに

そこより上の階に上ると思うと心が萎えた。

 母として、保育園に預けている息子の事。

おそらく保育園自体は大丈夫だと思うけど、息子は怖がっていないか。

怪我をしていないか?お迎えに行くための車を立体駐車場から出せるか?

自転車の方が早いか?それとも道路がダメなら徒歩で?

 色々なことが頭の中を駆け巡った。


ホテルロビーは館内から避難してきたゲストでごった返していた。

過呼吸で倒れるゲスト。救急車は捕まらない。転倒して流血しているゲストの

応急処置。

パーティ会場から避難してきたゲストは、露出の多い服装のまま、外気同様の

寒いロビーに放り出されてしまったので、暖を取るためにダンボールを大理石

の床に敷き詰め、テーブルクロスとバスタオルでゲストを暖める。

その最中にも強い余震。


息子の様子が気になったので、定時より1時間遅れで退社。


外へ出て、また愕然。明るいはずの空が異様な色に・・・。

そう、近くのコンビナートで発生した火災で、空が赤黒くなっている。

市内を走る大型消防車。


一度自宅に戻り、無事に立体駐車場から車を出し、保育園まで。

大渋滞の道路。液状化現象で泥水。

車の中で始めて涙が出てきた。


息子は無事。どうやら迎えが遅い私を息子の方が心配していたらしい。


夜7時過ぎ。家族全員の無事が確認された。


その日は、リュックサックに非常用の荷物をつめ、足元に置いて就寝。

たびたび襲う余震で眠れなかった。



翌日 3月12日。 職場。

改めて、地震の被害の大きさを実感。

宴会場のシャンデリアが落下し、破片が絨毯に突き刺さっている光景をみて

背筋が凍る。(ゲストがいなかったのが何より)

最上階のスイートルーム。 ガラス製品はすべて落下して、散乱。

大画面テレビも横転し、クローゼットも落下、横転。

足の踏み場もない。ところどころの壁に入る亀裂。


一晩中、寝ず食べずで奔走したホテルスタッフ。

日常を取り戻すにはまだまだ遠い。


その中でひとつ心に響くことが。


阪神大震災を経験したゲストからの一言。

「直下型じゃないから大丈夫。阪神大震災のときは洗濯機で回され

てるようだった。横揺れは、心配しなくていいから・・・・。」

すごく、安心できた。説得力があった。

あの震災で友人も亡くしたそのゲストからの言葉がすごく

勇気をくれた。


私がその瞬間に強く感じた不安は、地震の揺れも怖かったけれど、

それよりも周りにたよれる人がいなかったこと。


励ましあって、助け合うことの大切さを実感。


海外の友人からも心配メールが続々。

聞けばハワイも一晩中、津波警報が鳴り響いていたらしい。


これまで私は逆境や、傷ついてきた事をバネにして、

前向きに乗り切って来たつもりだけど、この自然災害だけは

どうしても前向きには捕らえられない。


でも、あの恐怖を忘れないように常に自然災害には備えなければ

と思う。


このアメブロを通して、心配してくださった皆さん。温かいメッセージを

くれた皆さん。本当に元気が出ました。ありがとうございます。

この場を借りてお礼申し上げます。


                    motoクローバー