ずっと母の家の玄関にあった小さい箱
なんとなく開けたら
手作りの船の模型の入ったケースだった。
『これなに?』
『お父さんの戦友から送って来たんだけど捨てられないし』
と、明らかに迷惑な言い方。
その船は、いわゆる
特攻隊が乗る船。
父は志願兵として戦争に行った。
戦地に出向く前に終戦になったと聞いている。
その時の部隊の仲間とは結束が固く随分長く付き合いがあった。
父が、亡くなった時も皆さんには、たくさんの励ましの言葉を頂いた。
船は、その時の仲間から生前の父に送られてきた物だ。
『かざるとこもないし、捨てれれないし。』
今さら言う母。
父の仏前に飾れば良いのに。
生前に送られたのなら父の枕元に飾ってあげたら良かったのに。
私は、やっぱり母のそんなところが嫌いだ。
控えめなおとなしいひとで、酒飲みの父に苦労しながら商売して、老後は父の介護をした良い奥さん。
て、言われるけど…
私からしたら
母親らしい事してもらったことないんだよね。
この船みたく平気で、人の親切踏みにじるんだよね。
悩んで贈ったプレゼント使ってるのも見たことない。
なんで使わないのか聞いたら似合わないとか持って行くとこないとか…
戦友が、リタイアして余暇の中で昔の仲間を思い作ったであろう
その気持ちを考えることはない人。
その船は、私が持って来て父の写真の前に飾りました。
その戦友も今年、あちらに逝かれたとか。
父や他の戦友仲間と 久々の再会をしているのでしょうか。