友人に教えてもらった感動実話をご紹介いたします


母の葬式を終えて、一番最初に思い出したのは誕生日の事だった

母子家庭だった我が家は、いたく貧乏だった

六畳ひと間と三畳ほどのキッチンという間取りの古いアパートに、私と幼い二人の弟と母と四人で暮らしていた

旅行に行った思い出も、何かを買って貰った思い出もない

お金がない事は隠しようもなく、学校でもネタにされ、よくいじめられた

それぐらい貧乏だったが、母を恨んだことはなく、寝る間も惜しんで働く母の姿を見て「僕も母さんを助けなきゃ」と思い、なるべく甘えないようにした

余裕のない我が家だったが、誕生日には必ずケーキを買って来てくれた

「お誕生日おめでとう。あなたが生まれたこの日は、母さん本当に嬉しい日なの。何も買ってあげられないけど、せめておいしいケーキを食べようね。いつもお兄ちゃんが助けてくれるから本当に助かっているわ」と私を抱きしめてくれた

私はそれが本当に嬉しくて、その温もりでまた一年間頑張れると思った


時は経ち、高校卒業、就職、そして恋人ができ、結婚することになり「近々彼女を連れて行く」と電話で報告すると「もうすぐお前の誕生日だから会いに行く」という

いつものようにケーキを持って上京して来た

母と彼女と三人で食事をした後、母は嬉しいと泣きだし、昔のように私を抱きしめた

少し恥ずかしかったがそれを受け入れた

20年ぶりの母の体は昔と変わらず暖かかったがすごく小さくなったことを実感し母の苦労を思い出し、危うく泣きそうになった

「お誕生日おめでとう、結婚おめでとう。母さん本当に嬉しいね。今まで苦労ばっかりかけて、いい思いなんて一度もさせてやれなかったね。うちが貧乏なせいでお前らが笑われた事もあったよね。堪忍ね」と母は泣いた

そして、最初で最後のプレゼントだと言って私名義の貯金通帳をくれた

いらないと言ったが親らしい事をさせろと置いていった

約60万円もの貯金があった

毎月毎月三千円、二千円と入金されていた

通帳を握り泣いている私を見て、彼女は「60万円のお金でなんで泣くのだろう?」と不思議そうな顔をしていた

しかしこのお金は、本当に苦しい生活を送っていて、本当に余裕などない中で、本当に苦労して毎月毎月少しずつ貯めてくれた60万円だった


母の葬式を終えて、私はそんな事を思い出した


*お母さんの真心が心に染み込んできますね